第56話 緊張が解けるアリシア
「ソーヘイさんっ」
緊張の糸が解かれ、アリシアはへたり込む。まるで足元に支えが無くなったような感覚、震えてしまい、立てそうに立てない。
「おいおい、大丈夫か?」
宗平は駆け寄り、へたり込むアリシアを支える。
「ごめんなさい、少し立てそうにありません………」
アリシアは情けないような声を出し、微笑みかける。何故なら宗平が駆け付けて来たので、安心感が半端ではないから。
───すると宗平は頭を下げ、申し訳無い様子で。
「すまない、君を放って犯人を追いかけなければ、こんな事にはならなかったハズなのに」
もし、彼女の側にいたら連れ去りを未然に防げたハズ。子爵貴族である彼女の父から預かっている身、情けない限りであり、弁解の余地はない。
アリシアは宗平の両肩に、励ますように手を置き。
「頭上げてください、ソーヘイさんはこうして駆け付けて来たじゃないですか?………そういえば、どうしてここが分かったのですか?」
アリシアは質問する。彼女の質問に、宗平は答える。
「ああ、それは冒険者ギルドによる緊急情報と他の色々な情報を元にここを特定してね………」
頭をポリポリと掻く宗平。具体的に説明すると、町で多発する違法薬物、行方不明者の事件をギルドが独自調査していたら1つの事件として結びつき、この場所が割り出された。
「ソーヘイさん、少し手伝って下さいっ」
ミラの声。
「どうした?」と、宗平はミラ達の元に駆け付ける。
「このモンスターがすばしっこく飛び回っていて上手く攻撃ができませんっ」
「こっちも、当たらないっ」
ミラは手作り爆弾を投げようと、一方のリアーナは弓を構えるが、孵化した蝿人間は空中を飛び回っており、狙いが定まらない。
「任せろっ」
宗平はロングソードを構える。
「待って下さい、攻撃しないで下さい」と、アリシア。
「どうした?」
宗平は尋ねる。
「あれはモンスターじゃなく、人間です。ここに連れてこられてモンスターに変えられたんです」
───何だってっ。
ミラと宗平は驚愕。
「だが、モンスターに変えられたらどうしようも無い。残念だが、倒すしか………」
リアーナは弓を構え、残念な様子でアリシアに視線を向け、言う。
「いや、何とかなる。少し任せてくれ」
ロングソードを構え、宗平は一瞬のスピードで跳躍。空中でロングソードを振るい、蝿人間の羽を斬り落とす。
羽を斬り落とされた蝿人間は地面に叩きつけられる。
「これなら何とかなる」
宗平はメニューを表示させる。アイテム欄から状態異常解除できる万能聖具アイテム、(破邪の聖水)を取り出し、倒れている蝿人間に振りかける。




