第52話 キャンディー売りの正体
───俺は奴を追いかける。
陽の光が当たらない裏路地の中を………地面に転がる生活ゴミとゴミ箱、生臭い匂いが充満。チョロチョロと動き回るネズミにグロテスクな見た目かつ生理的嫌悪を催すような百足、空中を飛び回る小虫。
地面から、そして建物の壁から建物の壁に湾曲し、突き出す配管。まるで迷路のように行き渡る細い道。
追いかける、目の前にいる奴を。表情をフードで隠し、足音を響かせない足取りで駆け走る。
「クソ、何てスピードだ………」
宗平は苦戦。あの男性、足の速さが人間ではない。走りながらスキル(ステータス察知)を唱える。
そして男性の能力値が表示される。
enemy.name.「フィリップ」。職業(売人)。
体力、120。攻撃力、80。防御力、90。魔力、10。スピード、800。
「スピードが異常に早いな………だけどな、俺だって前世でめちゃくちゃやり込んだんだっ」
宗平は詠唱し、速度上昇を発揮した。そして宗平の移動速度のスピードがアップし、一瞬にして男性の背後まで追いつく。
そして、グイッと手を伸ばす。
「ぐっ………あっ」
宗平に後ろ襟を掴まれた男性は変な声を張り上げ、体勢を崩した。
宗平は足を踏ん張って立ち止まり、さらに建物から突き出す配管を掴み、自身の体勢を整える。
「ハァ………ハァ………ハァ………捕まえたぞ」
男性の後ろ首の襟を掴み、宗平は息を切らし、整えながら口を開く。額からは軽く汗、少しだけ良い運動になった。
(………………)
しかし、捕まえられた男性は声すら発しない。怒りもせず、泣きもせず、無抵抗でただ無感情。
宗平はストレートに質問する。
「お前、あのキャンディーは何だ?あれに違法な薬物が入っているのは知っているんだ。どうしてあんな物を町にばら撒いているんだ?」
宗平の質問に、男性は表情を隠して微笑む。
「あのキャンディーを食べていないのに性質を見切るなんて、アナタは大したものだ。けど、答える訳にはいかなくてね………」
宗平は男性を解放し、後ろ首襟を掴んでいる手を離す。
「なら………少し慣れていないが、力ずくで話しもらおうか?」
メニューを表示させ、ロングソードを取り出して装備。
───すると、男性は身体をプルプルと震わせてフードを脱ぎ、全身に着用している衣類を剥いだ。それは人間の姿とは掛け離れ、獣のように飛び掛かる。男性の正体は魔族、額には2本の角、鋭い赤い目。屈強な肉体に紫の肌、肩から生えている悪魔の翼。
「魔族か」
宗平はロングソードを振るい、魔族化した男性を横に両断。




