第51話 捕まるアリシア
壁際まで離れた位置のテーブル席にて、ゴチャゴチャした客達の中で宗平達のやり取りを観察するフード付きマントを着用した無精ヒゲの男性。
───クスクスと笑うアリシアの姿をジロっ眺め、麦酒を片手に、男性は嫌な微笑みを浮かべる。
「コイツは、良い商品になりそうだな。何処かの貴族の娘か………」
男性は麦酒の入ったグラスを呷り、ぶつぶつと独り言。
───そして、昼ご飯を済ませた宗平達は大衆食堂を後にした。ちなみに飲食代は宗平の奢りだ。
中央広場にて。
「それでは、私達はここで」
「ソーヘイはともかく、アリシアは気を付けて帰るんだぞ」
「俺はともかくって…………君達も、最近は物騒だから気をつけてな」
宗平は苦笑いを浮かべ、頬をポリポリと掻きつつ、2人に忠告する。
「余計なお世話です」「余計なお世話だ」と、宗平の心配するセリフを一蹴して吐き捨て、ミラとリアーナはここにて解散。2人はギルド活動があり、これからクエストだからだ。
「まったく、人が真剣してあげているのにあいつらは…………」
「大丈夫なんですか、ミラさん達は?」
アリシアは尋ねる。
「本当にピンチなら、転移の光玉で呼び出してくるハズだから」
宗平は笑って言った。
「そうですよね」と、アリシアも愛想笑い。
すると、宗平はピクリと表情を変え、直感が反応した。何故なら中央広場からスッと裏路地に入って行くのは怪しい男性。そいつからは怪しい雰囲気を漂わせ、ミラの証言から聞いたカゴ、その中には大量のキャンディーが入っていた。
「アリシア、ちょっと待っててくれっ」
宗平は裏路地に向かい、険しい表情でダッシュして追いかける。
「ちょっと、ソーヘイさんっ」
アリシアは呼び止めようとしたが、ダッシュした宗平は裏通りに消えた。そして中央広場にて、一人ぼっちになるアリシア。
「もう、ソーヘイさんは………」
アリシアは軽く呆れ果て、辺りをキョロキョロと眺める………。昼間の為、人気の少ない中央広場、先程話していたキャンディー売りや行方不明の事もあり、とりあえず先に冒険者ギルドの前まで向かおうとした。
───そのとき、アリシアの後ろから忍び寄る緑色のフードで表情を隠した男性。男性は足音を消し、背後からアリシアを掴みかかる。
「何、ちょっと………何をするんです?」
ジタバタと、抵抗するアリシア。
フードで表情を隠した男性は、ポケットから催眠作用を含む布を取り出し、アリシアの口に当てる。
(…………ソーヘイさん………助け)
催眠作用により、アリシアはそのまま眠りについた。




