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第4話 生のとうもろこしを食べる宗平(そうへい)



 イーストカロライナタウン郊外、方角は北東にある山岳地帯。突き抜けるような雲、一面に広がる青い空。そこは剣岳のようにゴツゴツとした岩肌が隆起し、神々しく表面を煌めかしている。気候が高く、酸素が薄い場所であり、棲み家としているのは主に飛竜ワイバーン竜人リザードといった竜系のモンスターが多い傾向だ。


───とりあえず、宗平そうへいが依頼したのは飛竜ワイバーンの討伐だ。ギルドランクは5、ギルドランク10の宗平そうへいにとっては、ウォーミングアップにはちょうどいいクエストだ。


 宗平そうへいは、死した飛竜ワイバーンの体の上に乗り、聖剣クラウ・ソラスを片手で担ぎ上げて座り込む。


「………退屈だ。普通にギルド活動をしていても、自分が強過ぎて何もやる事がない」


 空を仰ぎ、宗平そうへいは呟く。何も出来なかった前世、普通に派遣社員としてダラダラと1日が過ぎ、そして最期は逆走して来た車と正面衝突して死亡………。


「呆気ない人生だったな………自分がもう少し上手く人生を立ち回れたら違う人生を歩めただろう。しかし、この世界で恵まれた状態で転移し、いざ異世界チートライフと思いきや、さっそく虚しさを感じてしまう自分がいる………」


 ぶつぶつと嘆く宗平そうへい。この異世界に転移して、順風満帆な生活を期待していたものの、苦労しないと言う虚しさ、そして言葉では表せない孤独を感じてしまう始末だ。


───いったい、俺はこの世界に何をしにきたのだろう?。俺はこの世界で何のために存在しているのだろうか?。



 俺はクエストを終え、イーストカロライナタウンに戻る為、山岳地帯の道を歩いていた。


(何のために?………俺は、何がしたいんだ?)


 そして差し掛かる十字路の道、真っすぐ南に下ればイーストカロライナタウンの道だ。西は森林、東は隣国のサザーランド共和国に続くいている街道だ。


 さらに十字路を南に下り、農村の道を歩いていた。道端には田園風景が広がり、農家の人達が畑作業をしている最中だ。


───すると、途中で通り過ぎる馬車。荷台から覗かせ、運んでいるのは野菜だ。みんな知ってるトマト、とうもろこし、なすび、キュウリだ。


 ポトっ………と、馬車の荷台から落ちたのはとうもろこしだった。


「ああ、もったいない………」

 

 宗平そうへいはとうもろこしを拾い上げ、土を払う。


 宗平そうへいはとうもろこしも持ち上げ、眺める。表面は艷やかな黄色のつぶつぶ、一つ一つまるで淀みのない色合いだ。ちょうどいい、少しばかり小腹が空いていた所だ………生だけど頂いてしまおう、本来は生では食べないけど、導かれるように生のとうもろこしを口に運び、咀嚼。


「うまい………」



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