第44話 アリシアの料理
───それからバラッド子爵は馬車に乗り、ルーアン村に引き上げていったのである。バラッド子爵、それは嵐のような人物であり、とても疲れる朝だった。そんな事もあり、朝食がまだである。
とりあえず、父から了解を得たアリシアは機嫌が良い様子で厨房に立ち、エプロンを締める。
「ソーヘイさん、今日は私が朝食を作りますね」
アリシアは言った。
「君が朝食を?作れるのか?」
と、居間のテーブルに腰掛け、少しからかう様子で言う宗平。
「し………失礼ね、私は料理くらいは出来るわよ。見てて下さいよ」
アリシアは自信気に胸を張り、貯蔵庫から材料を取り出し、いざクッキング。材料はトマト、レタス、玉ねぎや厚切りベーコン、食パン。あとは卵を2つ。ちなみに料理は作った事はない。
初心者感丸出し、ガチャガチャと乱雑な音を立てる厨房。
(大丈夫か?)
アリシアのクッキングに、心配になりそうになりながらも見守る宗平。
トントンっと、包丁で野菜を切る音、グツグツと鍋で茹でる音、フライパンでベーコンを焼く音、が厨房から響かせる。厨房の奥からは香ばしい香りを漂わせる。
「心配はしたけど、以外と手際が良いんだな………」
手際の良い音に、安心する宗平。どんな料理を作っているのか。と、期待する。
───調理開始から十数分後………。
「お待せしました」
居間のテーブルに運ばれて来たのは目玉焼きを乗せたトーストとトマトサラダ、あとは焼きベーコン。ジューシーな香りが宗平の鼻腔を刺激し、食欲をそそる。
「なかなか、上手に出来たじゃないか」
朝食の光景に、宗平は驚く。何故なら貴族の子女が作った料理とは思えない完成度だ。目玉焼きにキレイに焼けたトースト、焼きベーコン、トマトとレタス、玉ねぎを材料にしたサラダ。
「ありがとうございます。お口に合えばいいですけど」
「どれどれ?頂くとしようか………」
まず、宗平が最初に手を付けたのは皿サラダ。フォークを伸ばし、トマトとレタス、玉ねぎを刺して口に運ぶ。
口の中にシャキとした野菜のみずみずしい食感、特製ドレッシングの味が広がる。
「どうですか?」
「うん、美味しいよ。料理の才能、あるかもな」
「ありがとうございますっ」
宗平のお褒めの言葉に、アリシアは喜ぶ。
「あとはトーストに、目玉焼き。この焼きベーコンの焼き加減がちょうどいいよ」
宗平はトーストと目玉焼き、フォークでベーコンを刺し、次々と口の中にパクパクと運ぶ。
「じゃあ私も、いただきますね………」
アリシアも席に腰掛け、朝食を頂くのである。




