第42話 朝から父上
───次の日、時刻は早朝。
ドンッ、ドンッ、ドンッ
「アリシアっ、アリシアっ。いるんだろっ」
それは朝から突然、やってきた。乱暴に叩いてくるドアのノックする音に、居間で寝ている宗平は思わず眠いまぶたを拭い、起床してドアに足を運ぶ。
誰だよ、こんな朝から怒号を響かせてくるのは………常識のない奴だな。と、呟きながら。
「ハイハイ、今でますよ」
宗平はドアを開ける。
そこにいたのは執事のセバスチャンと貴族の中年男性。キリッと整えられた金髪、威厳ある瞳にくぼんだ両頬。体格は中肉中背に身長は180センチ、上着は毛皮のコートを羽織り、気品に満ちたタキシード。容姿は50代前半、じっと宗平を睨みつける。
「あの、どちら様ですか?」
宗平は尋ねる。
「私の名前を知らないとは良い度胸だ。セバスチャン、教えてやれ」
男性貴族の言葉に、セバスチャンはお辞儀し、紹介せる。
「はい、旦那様。この方はルーアン村を運営している領主であるバラッド・ヨハーソン子爵でございます」
「ヨハーソン?………あ、アリシアのお父様ですか?」
宗平は言う。
「貴様に父と呼ばれる筋交いはない。それより、そこの中にいる愛娘、アリシアを迎えに来たのだよ」
バラッド子爵は言うのである。
すると眠いまぶたを拭い、寝室から歩いて来たのはアリシア。宗平の横に立ち。
「あ、お父様。おはようございます」
バラッドはアリシアの姿を見て驚愕。
「アリシア、お前は何て姿をしているんだっ」
アリシアの姿、それは白のネグリジェ姿。
「え、何って………いつもの寝間着よ。こっちの方が涼しいから」と、アリシアは自身の姿を見回し、答えた。
バラッド子爵は手を振り上げ。
パンっと乾いた音が響き渡る。
叩かれた頬を押さえるアリシアに、バラッド子爵は怒鳴りつける。
「お前は人様に何を肌を晒しているっ!!人肌を晒してよいのは婚約者だけだといつも言っているだろっ!!」
思わず宗平は表情を険しくさせ、バラッド子爵を睨みつける。
「アリー、大丈夫か?………ちょっと、いきなり張り倒すなんて酷すぎるじゃないですかっ!!」
「ほう?農家風情が貴族の私に意見するのか?………これはヨハーソン家の問題だ、女性は婚約者以外に肌を晒してはならない。それが掟なんだ、意見しないでもらおうか?」
「貴族とか、掟とか。そんな事で、彼女に手を上げるのはおかしいと思う。服装なんて、個性じゃないか?」
「黙れ、アリシアは貴族の娘、貴様とは違うのだよ。将来は貴族男性と婚約し、ヨハーソン家を守っていくのが定めなんだ」
バラッド子爵は言った。




