第3話 恵まれたステータス
家庭用オンラインRPGゲーム(ドラゴン・フロンティア)、発売されたのは1年前、キャラクターはギルドに所属し、色々なクエストをこなし、モンスターを倒しにいくゲームだ。ソロでプレイするのも良し、オンラインで仲間を募り、パーティーを結成して挑むのも良し。そんな世界に転移した山下宗平は、頭の中がパニックになりながらギルドの建物の前で、あること思いついた。
「そういえば、俺はこのゲームでかなりのレベルまで上達していた。あと、装備やアイテムなどたくさん持っていた………」
宗平は咄嗟に手を掲げ、祈るように念じる。
───宙に表示されたのはステータスとアイテムの所持品欄。
name.yamasesan.(やませさん)。
レベル150。パワー300、魔力250、スピード300、防御力450、運200。
頭(未装備)腕(未装備)胸(未装備)腰(未装備)脚(未装備)。
ギルドランク10、所持金35000000Nt。
「所持品欄っと………」
宗平は表示している所持品欄をタップし、調べる。ちなみにyamasesanと言うネームにしているのは、電話で自分の名前を相手に伝えたら「やませさん?」と、返されるので、それが由来だ。所持品にはこれまでクエスト等で獲得した素材アイテム、使わなくなった装備品や装飾品のアクセサリー等が収納してある。そして、メインとして使っていた装備品も。ちなみにntはこの世界におけるお金の名前だ。
皇竜の兜、皇竜の鎧、皇竜のグローブ、皇竜のコート、皇竜のブーツ。武器、聖剣クラウ・ソラス。
「良かった………これまで作り上げた装備品が消えていなくて。皇竜シリーズの装備、作るのにかなり苦労したからな………」
まじまじと所持品を眺める宗平。とりあえず、ゲームの世界に転移して、また最初からやり直し。と言う事態は何とか免れた。
「まじ?俺、この世界で最強になっている?」
うはうはな気持ちの宗平。現実世界では社会的には底辺だったが、この世界では大変に恵まれた状態でスタート位置に立っている。ギルドランク、レベルと能力値、アイテム所持品、装備、過去にやり込んだ時のままだ。
「よし、ウォーミングアップがてら、クエストをやってみるかな………」
宗平は所持品欄から皇竜シリーズの装備をタップし、一斉に装備する。そして文字通り、皇金の竜を現したかのような。たてがみを生やした兜、鎧、グローブ、ウェストアーマー、ブーツ。
───そして、和気あいあいとギルド事務所に突入するのである。