第33話 子爵娘、初めての農作業
───野菜畑にて2人で農作業をすることに………。秋に向けて流れるそよ風、夏の残暑がほんのり残る気温に青い空。今日は絶好の農作業日和だ。
「どうですか、ソーヘイさん?似合いますか?」
作業着姿のアリシアはクルクルと回って見せてくる。まずメニューを表示し、所持品の欄にあるアイテムボックスから作業着を取り出し、用意したまでだ。
「うん、似合ってるよ」
宗平は腕を組み、頷いてホメる。何故ならアリシアの仕草が可愛いから。
「それでは、私は何をしたら良いでしょう?」
アリシアは尋ねる。
「まずは畑から野菜を収穫しようか」
宗平は言った。今まで1人で農作業をしていた為、仕事の教え方に関しては自信はないし、前世でも仕事の際、コミュ障の為か部下なども持った事もない。
「はぁ〜〜〜いっ」と、アリシアは笑顔で手を挙げ、元気に返事する。
(ま、何とか自分なりに教えていくしかないな………)
1人で仕事をする際には不安はないが、アリシアの健気な笑顔を見ていたら、逆にプレッシャーになる。
───そして。
アリシアはトマト畑にいた。ハサミで軸を切断し、1個、1個とカゴに入れて収穫していく。教えたのは、赤く実っているトマトだけを収穫すると言う事だけ。
「うん、上手だよ。その調子」
横で見守る宗平は言った。
「ありがとうございますっ」
アリシアは額から汗を流して言った。
その後、アリシアはトマトだけでなく、他の畑にて野菜を収穫していくように宗平にお願いされる。一方の宗平は新しく出来た家屋であるニワトリ小屋に足を運び、卵を収穫していく。
「ふぅ…………」
アリシアは流れる汗を拭い、黙々と野菜を収穫していく。カゴにはトマト、なすび、トウモロコシとえんどう豆、ピーマンが入っていた。カカシに着用された魔除けのペンダントによりあらゆる害虫や害獣が近寄らせず、細かい病原菌すら存在しない為、新鮮に育っている。
そこに卵を収穫したカゴを持って宗平が戻って来た。そしてアリシアが収穫した野菜を見て。
「うん、いい具合に育っているね。収穫してくれてありがとう」
宗平は言った。
「どういたしまして………。働いてみて思いました、当たり前のように食べている野菜が、こうして収穫されていくのを見て生産者の大変さとありがたみが分かりました」
「そうか、そう言ってくれて嬉しいよ」
アリシアの言葉に、宗平は嬉しい気持ち。
「お父様は、人の言葉を聞かずに勝手に物事を決めてしまう性格なんです。でも私は、ちゃんと物事は目で見て決めて、導いていくのが大事だと私は思います」
アリシアは言った。




