表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/137

第31話 家には帰らない



 外には小鳥のさえずりが響き、ヨハーソン邸専用馬車が駐留。そして褐色の毛並みをした馬はブルブルと身体を震わせて唸り声を上げ、地面に広がる草花をムシャクシャと食べる。




───そして、自宅の居間には宗平そうへいとミラ、リアーナが集合していた。一方のアリシアはイスに腰掛け、テーブル越しにセバスチャンをムスッと睨み付けている。


「そうですか…………全ては私の早とちりでしたか…………このセバスチャン・スミス、安心しました」


 執事セバスチャンは上品にテーブルに腰掛け、スゥ…………と、瞳を閉じて紅茶を口に含む。あれから、何とか誤解が解けた…………理解するのに30分は掛かったので面倒臭かった。


(誰ですか?あの執事?…………)


 ミラはヒソヒソと、リアーナに尋ねる。


(アリシア殿の館に仕える執事らしいぞ…………)


 リアーナはヒソヒソと、答えた。


「父と母の命令で、私を迎えに来たのでしょう?私は帰らないわよ」


 アリシアは言う。セバスチャンは紅茶を口に含み、冷静な口調で言う。


「そうはいきません、お嬢様を館に戻すことが、私に課せられた使命なのです。さ、早く帰りましょう、父上殿も心配しています」


 セバスチャンは立ち上がり、アリシアに手を差し出して訴えかける。しかしアリシアはさらに言う。


「嫌よ、お父様は私と顔を合わす度にあれやこれやを言って何も考えていない…………私の人生は私が決めるし、やりたい事があるのよ。だから色々と口出ししないでっ」


 アリシアの言葉に、セバスチャンは言う。


「お嬢様…………しかし、父上殿はお嬢様の事が心配で…………」


「その心配が、コレよ。小さい頃から、あの子がどうだとか、この本は読むなとか、他の子が遊んでいる物に、私だけ遊ぶなとか。そして何より、結婚相手も勝手に決めて…………」


 アリシアは感情的にヒートアップさせ、今での不満を一気に爆発させる。


「確かに、色々と過保護過ぎるかな…………そりゃ、帰りたくないのも無理はないな…………」


 アリシアの気持ちを何となく理解し、宗平そうへいは腕を組み、納得するしかない。貴族は金持ちで領地運営も出来るから憧れは少なからずあるが、アリシアのような過保護行為をされたら自分でも嫌だ。


「お父様に伝えておいて、私の気持ちを尊重するまで帰らないって…………」


 アリシアは言った。


「ですが、アリシアお嬢様…………」


「帰らないったら、帰らないっ」


 セバスチャンの言葉に、アリシアは強い声ではっきりと答えた。


「そうですか…………分かりました。父上殿に伝えておきます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
かしましくなってきましたね。 スローライフが軌道に乗ってきたところで、これからアリシアが引っかき回していくんですね。 訪問ヒロインだったミラとリアーナは、これから居座るのか、どうするのか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ