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第30話 執事セバスチャン



───ドン、ドン、ドンっ。


 次の日、時刻は早朝。ドアから響かせる乱暴なノック音に、宗平そうへいはビックリして飛び起きる。昨夜、アリシアとしゃべっていたお陰で眠気が…………。


「ごめんくださいっ!!」と、声が聞こえてくる。


「何だよ、こんな朝早くから…………はい、どちら様ですか?」


 何だ、朝から訪問サービスか?…………と、呑気にあくびをし、ふわふわした感覚による眠いマブタをゴシゴシと拭いて宗平そうへいはガチャと、ドアを開く。


───そこには、謎の執事がいた。


「朝早くから申し訳ありません、私はヨハーソン子爵邸の執事、セバスチャンと申します。父上と母上の命により、アリシアお嬢様を迎えに上がりました…………」


 執事セバスチャンは言った。凛とした雰囲気に身長は180センチ、40代のシャープな顔立ちの男性。そして肩まで伸びる長髪にキリッとした青い瞳、ナイスミドルな体格から伺える執事服。


「あら、セバスチャン?…………」


 聞き覚えのある声に反応し、寝室から出てきたのはアリシア。髪を整え、寝間着は袖無しのネグリジェ、右肩に掛かるヒモを乱して…………。


 セバスチャンは、もしや。となり騒然。


「なっ…………アリシアお嬢様、何てはしたない姿に…………」


 プルプルと震わせ、悲しい涙を流す。


「アリー、何て格好しているんだ?早く着替えて…………」


「貴様っ!!アリシアお嬢様を、お嬢様をっ!!よくも傷物にしてくれたなっ!!」


 宗平そうへいの胸ぐらを掴み、凄まじい表情でグイグイと揺らすセバスチャン。


「セバスチャン、止めてっ」と、アリシアはセバスチャンを押さえる。


───何ですか、こんな朝早くから?…………。と、同じ寝室からミラとリアーナがこの状況をひょっこりと、覗くのである。


「アリシアお嬢様は、まだ齢17歳。結婚前の貞操を、貴様はっ!!」


 セバスチャンの記憶の中、まだ幼き頃のアリシアの姿が思い浮かぶ。あの頃のお嬢様はお利口で誰にも優しく、お花の冠が似合う良い娘だった。


 それをこのそうへいは…………。


「まて、アンタ、勘違いしてるぞ。俺は彼女とは何の関係を持ってないっ。アリシアも、何か言ってくれっ」


 宗平そうへいは言う。


「そうよ、セバスチャン…………ソーヘイさんとはただ、2人で夜を一緒に過ごして…………」


「なっ?…………ヨルヲ、イッショ二?」

 

 アリシアの言葉を違う意味に聞こえてしまい、セバスチャンは怒りのオーラを放つ。


「アリシア、説明が…………色々とおかしいって…………」


「貴様には、万死に値にする裁きが必要みたいだな…………」



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