第29話 夜空での会話
「確かに、まだ結婚は早いかもな」
「私だって、まだやりたい事があるのに………」
アリシアはしゅんと、体育座り。
「やりたい事?」と、宗平はアリシアに視線を向ける。
「はい、村や町にいるだけでなく、色々な場所を見てみたい気もあるし………そこでしかない文化とか人や、料理とか景色とか、とにかく色々とやりたい事があるの。何も経験しないで結婚するのは、絶対に嫌っ」
と、アリシアは家の不満を打ち明け、言った。
「しっかりしているんだな、俺より若いに、向上心あって関心するよ」
宗平は微笑む。
「ソーヘイさんは、やりたいことははないんですか?」
やりたい事か………。恥ずかしい話だが、前世にいた頃はそう言っていたけど結局は何もせず、適当に人生を送っていて年月が過ぎていった。何故なら社会人になれば目の前の状況を優先してしまいがちになり、言っていられない。アリシアの質問に、宗平は言う。
「俺は………。そうだな、今の生活が安定しますように。かな?」
「それはそれで、つまらなくないですか?」
「大人になると、夢とかやりたい事とか、言ってられなくなる。君もいずれは、分かるさ」
「でも、ソーヘイさんは色々と出来るし、料理とかめちゃくちゃ美味しかったし、いっそのこと国一番の料理人を目指せばいいのに」
「生憎、俺は料理人になろうとは思わないな………。そうだな、今思いついたんだが、俺の育てた野菜が世界中に知れ渡って欲しいかな」
宗平は言う。
「すごく良い目標だと思います、きっとソーヘイさんなら、出来ますよ」
アリシアは無垢な笑顔で言ってくる。
すると、星空にキラッと流星が。
「あ、流れ星っ」と、アリシアは流星を見て瞳を閉じ、手を合わせる。
「何だ、願い事か?」
宗平は尋ねる。
「そうですよ。流れ星に3回、願い事をすると願い事が叶うらしいんですよ」
アリシアは言った。
「流れ星に願い事って………もう、今どきそんな事をする人、いないと思うぞ」
まず、驚いたのはこのゲームの世界に流れ星に願い事をする言い伝えを知っていたことだ。そもそも前世で流れ星に願い事をする人、自分が子供の時は一時的に流行っていたけど大人になった時にはもう死んだ言い伝えになっていて子供でも言わなくなっていた。
「ソーヘイさん、こーゆーのはロマンが大事なんですよ。偶然、流れ星を見たら目を閉じて願い事をしたくなりませんか?」
「ならないな、何故なら迷信だから………ちなみに君は何を願ったんだ?」と、一応尋ねてみる。
「もう、ソーヘイさんはドライです。なので教えてあげません」
アリシアはぷいっと宗平から視線を反らし、教えてもらえない。




