第24話 小さい頃に見た父の背中のような味?
───そして数時間後。来た道を戻る形で、アリシアを乗せた宗平の馬車は家に帰って来た。2人で世間話をしながら、平穏な時間だった。あれからあのような変なモンスターには遭遇せず、無事に帰ることが出来た。アリシアは広い農地を見て、思わず。
「うわぁあああああ…………」
アリシアは眺め、瞳をきらきらと輝かせていた。中規模まで耕された野菜畑、そして実っているのはトマト、きゅうり、とうもろこし、なすび、えんどう豆。
「ここが、俺の農地だ。まだ始めたばかりだから、少し荒れているけど…………」
「このカカシ、ソーヘイさんが作ったんですか?」
アリシアはカカシを指し、尋ねる。
「そうだ。いい趣味しているだろ?」
「アハハハハハ、変なビジュアルですね?」
「やかましいよ…………だけど、このカカシのおかげで畑に集まる小動物とあらゆる害虫が来なくなるんだ。とは言っても、カカシに特殊なアクセサリーを装備させているだけだけどな…………」
宗平はポリポリと頭を掻き、言った。
「おお、どの野菜もみずみずしいほど、光ってる…………」
畑に実る野菜は、あらゆる害虫が来てない為か、生き生きしている。野菜畑を一通りに見学するアリシア、馬小屋に馬を入れてから、宗平は言う。
「とりあえず、家の中に案内するよ」
「あ、はい…………」
とりあえず、アリシアは宗平の自宅である木造家屋にお邪魔するのである。中に入り、宗平は荷物を置く。
「ま、何もないけど、ゆっくりしてくれ」
「はい、ゆっくりさせてもらいます」
テーブルに座り、アリシアは元気良く微笑み、びしっと挙手する。
「どうだ、うちの畑は?」
宗平は、特製の紅茶が入った木造カップを差し出す。
差し出された特製の紅茶を飲むアリシア。
「はい、どの野菜もみずみずしくて光っていて、美味しそうでした。あ、美味しいですねこの紅茶?もしかして、レモンとか使ってます?」
「ああ、正解だ。この季節ではレモンが美味しくて、それを紅茶に入れてみたらむちゃくちゃ美味しかったし、疲れも取れて一石二鳥だ」
「うちも紅茶を飲んでますけど、ソーヘイさんの紅茶は、何かこう…………」
「ん?」
アリシアは懐かしそうな様子で。
「温かさがあります…………。もちろん、レモンの風味もありますけど、レモンの酸味と紅茶の香ばしさが相まって、何か子供の頃に見た父の背中を見ているみたいな味でした」
「何だそりゃ?つまり俺が入れた紅茶、父の背中味ってことか?」
宗平は困惑し、苦笑い。甘い、苦い、辛い、酸っぱい、などの味は聞いた事はあるが、小さい頃に見た父の背中のような味と言われたのは初めてだ。




