第21話 荷台にアリシア
────宗平は馬車を止めた。そして荷台の中を調べる。荷台の中は布のシートと空になったカゴが複数個か置いてあるだけだ。
「おや?…………」
布のシートが僅かに盛り上がっていた。
(何だコレ、置き忘れた荷物か?)
宗平は盛り上がった布のシートをめくり上げる。
「…………よっ」
アリシアはビシッと挙手。何と彼女は荷台に隠れていた。
「何をしているんだ?君は?」
宗平はタメ息を吐き、尋ねる。
「えっ~~~~と、かくれんぼを」
「こら、ウソをつくんじゃない…………何で君が、ここに隠れているんだ?」
宗平は腕を組み、尋ねる。
う~ん。と、アリシアは宗平から視線を反らし、何処か言いにくい様子を浮かべ、モジモジとさせる。
「すまん、言いにくい事なら、無理して話さなくても…………」
しまった、無理して聞き出そうとしてしまった…………と、宗平は反省して申し訳ない様子を浮かべる。すると、アリシアは口を開くのである。
「親と喧嘩した。それだけです」
「親子喧嘩?」
「はい、私はルーアン村を運営している子爵貴族の娘なの。黙って家から出たのがバレて、お父様と喧嘩してしまって…………」
宗平は腕を組み。
「う~ん、それで俺の馬車の荷台に乗って来たわけだ…………」
ポリポリと頭を掻き、タメ息を吐く宗平。何ともくだらない…………たかがの親子喧嘩で、人様の馬車に乗り込むなんて、良い迷惑だ。
「はい、ソーヘイさんが住んでいる場所に興味があります。村を運営している子爵の娘として、しっかり見定めておきたいのです」
アリシアはキッパリと言った。
「そうかい、それは責任重大だな…………」
「あと、私の事はアリシアではなく、アリーと呼んで頂いて良いですよ」
アリシアは言った。
「じゃあ分かった。よろしくな、アリー」
───すると突然、パキッと(何か)が割れる音が林道に響き渡り、空気がズッシリと重く、肌に突き刺さる感覚。木々に生い茂る緑が黒く変異していく。
「何だ?」と、宗平は辺りを眺める。これは、ヤバい雰囲気だ。
そのとき、空中に詠唱陣が描かれる。1体、2体、3体、4体の黒翼の鳥獣人。そして5体目、一回り大きな詠唱陣からは、ジャベリンを装備した悪魔人。
「何だ、コイツら」
宗平は驚愕。こんな場所に、詠唱陣を描いて現れるモンスターがいるなんて。
「ソーヘイさんっ」と、アリシアは突然、現れたモンスターにパニック。
「アリー、馬車の中に隠れているんだっ」
「はい、ソーヘイさんも、気をつけてください」
アリシアは荷台の中に隠れる。




