第15話 トロール製の栄養剤
───それから、ひょんなことに彼女達と出会ってから数日が経過していた。少しばかり個性的な面々だが、悪い奴らではなさそうだ。緑色のおかっぱ髪のミラ・バニングスに栗色の髪のエルフのリアーナ。彼女達は新米の冒険者パーティーとして活動しているが、やや突発的な言動もあり、この前トロールの群れから助けた事もあって冷や冷やさせられる。
朝、真っ盛り。宗平はいつものように、畑作業をしていた。
「ソーヘイ、生きてるか?」
やって来たのはミラ、そしてニコニコと笑みを浮かべ、付いてくるリアーナ。
ミラの余計な心配に、少しばかりムスっとしながら。
「生きてるよ。君達こそ、冒険者クエストは上手くいっているのか?」
畑作業を途中で止め、宗平は尋ねる。
「失礼な、上手くいっていますよ。そのうち、上位ランクまでたどり着いてみますの」
「この前、素材採取クエストを受注して成功したのですよ」
リアーナは落ち着いた様子で言った。
「ほう、大したもんだな。この前みたいに、無茶はするなよ」
ミラは少しばかりムキになって言う。
「うるさいです、余計なお世話です。私達の指摘より、ソーヘイは野菜を作っていればいいのですっ」
「なら、食べるか?今、採れたてのなすびだぞ」
宗平は苗から実っている夏なすびを2個もぎ取り、差し出す。表面は水滴により黒光りをしたなすび。
「何か、この前見た野菜より色合いが美しいです」
夏なすびを手に取るミラ。
「ホントだ、みずみずしい見た目です」
と、手に取るリアーナ。
「そうだろ?この前、倒したトロールから採取した素材から作った栄養剤を使ったんだぞ」
宗平は言った。トロールの素材は、町の錬金屋にて合成し、栄養剤にした。そしてそれを野菜作りの畑に活用し、栄養剤として活用すれば肉厚感とみずみずしい野菜に成長する。
「へ………へぇ………あの、トロールの素材を使ってね………」
なすびを持ったミラとリアーナは思わず、顔を青くして思い出す。記憶の中で思い出したのはトロールの事だ、何故ならトロールに殺されかけたからだ。宗平が駆け付けてくれなければ、間違いなく死んでいた。
「ま、食べてみな。美味いぞ」
宗平は言った。
「では、いただきます」
「いただきます」
ミラとリアーナはガブっとなすびを頬張る。むしゃむしゃと咀嚼し、口の中いっぱいにみずみずしい食感と甘さが広がる。
「美味しいです。この前食べた野菜より、格段に甘さがましてます」
リアーナは感想を言った。
「ソーヘイも、レベルアップですね?」
「だな、これからも試行錯誤を重ねるよ」




