第101話 リディクラに会う宗平(そうへい)
「この俺に会いたいなんて、どんな風の吹き回しだい?」
場所は裏通りの酒場、カウンターテーブルに腰掛けるリディクラは金髪をかき揚げ、ナルシスト風に尋ねる。
「普段は会いたくないよ、こんな状況じゃなかったらな…………」
宗平は言う。探していたのはリディクラ。裏通りを走り回り、あらゆる怪しい店や路地、そして時には変な輩に聞き込みして探し回り、リディクラを見つけた。
リディクラはグラスに入ったウォッカを飲み、言う。
「こんな状況って…………俺に会いたい、いや、会わないといけない事情がある。違うか?」
リディクラは見透かしたように投げ掛ける。
「よく分かったな、お前に聞きたい事がある」
すると宗平の言葉に割り込むように、リディクラは言う。
「最近、多発する魔族の事だろ?…………アレは、魔王様の怒りだ」
「魔王の怒り?」
「魔王様は、この人間界で起こった魔族の殺戮に、めちゃくちゃ怒っていてな…………そして報復として今、この人間界を支配する為、戦争を仕掛けている。そんな状況だ」
「そうか…………」
「下等魔族は魔王様の言うことは絶対。意見どころか、顔を見る事すら出来ない…………止まる方法なら、人間界全てを支配したらじゃないか?」
リディクラは言った。
───宗平は酒場を眺める。中央広場のような違う雰囲気、それは客層。客層は主に強面な傭兵やゴロツキ、怪しいオーラを放っている魔法使い。皆は酒を飲み、豪快かつ、柄の悪そうな笑い声を響かせている。
「この店、好きなのか?」
宗平は尋ねる。
「まぁな…………この汚い裏路地に佇み、そしてロクデナシしかいない光景の中で飲む酒が、魔族の俺にとってお気に入りなんだ」
リディクラはグラスを手で転がし、ロマンチックに言う。
「そうか、変わっているなお前」
「よく言われる…………それで、どうする?」
「どうするって…………俺がお前を探した本当の理由を言うよ」
「本当の理由か」
リディクラはグラスに入ったウォッカをグビグビと飲む。
「俺を、魔界に案内してくれ。そこで魔王と正面に向かい、説得する」
宗平は答えた。宗平の言葉に、リディクラは口に含んでいたウォッカを吹き出し、驚愕する。
「お前、それ本気で言っているのか?」
「ああ、本気だ。それしか方法がないしな…………」
宗平は言う。魔族を皆殺しにされ、魔王の怒る理由は分かる。こうして防衛戦争をするより、かなり無謀だが、魔界に入り込み、魔王を説得する方が早いからだ。
「分かった、案内してやるよ。魔界にな…………」
リディクラは駄賃を支払い、宗平と一緒に店を出る。




