第十三話 手作りポテチ
「時間が唸るほどある今こそ、そんなのをやるべきだよね」
言い訳がましく正当性を叫んでみる。
まずはじゃがいもだ。コンビニゾーンから大きめのじゃがいもを5個取り出す。俺の拳くらいはある。流しでごしごし洗って皮を綺麗にする。皮ごと食べる予定だからね。
「わりと、洗いにくいな」
凸凹してるから、丁寧にやらないと洗い残しが出そうで真面目に洗ってる。
――スキルてもできますよ?
おっと調理スキルさんだ。
「全部はできないけどやれることは自分でやろうかと」
料理としてではなく工作的なイメージでやってるからか、地味な作業も楽しいんだよね。それで食べておいしいなら一石何鳥?
――そうなのですね。必要な時は念じてくださいね。
「ありがとうございます!」
話してたら洗い終えた。よしスライスするぞ。
スキルさんにまな板とナイフを出してもらってチャレンジだ。
輪切りにするから端から切り始めたけど、薄く切れない。
「まあ器用じゃないのはわかってたけどさ」
頑張っても2ミリほどになってしまう。ペラペラにしないとあのサクサク感がでなさそうなんだ。あれ、機械で切るんだろうけど、どうやってるんだろ。
仕方ない、最初のじゃがいもは厚切りポテチになってもらう。すまぬ。
「調理スキルさん、じゃがいもを可能な限り薄く切ってほしいんですが」
――お安い御用です。
「お、なんか懐かしい言い回し。でも礼儀正しい調理スキルさんがラクショーっすよ、とか言わないか」
――ご注文入りまーす。
「ブハッ、それ居酒屋!」
――ふふふ、ちょっと知る機会がありまして。でも面白い言い方ですね。
なんだそういうことなのか。
調理スキルさんが壊れたのかと冷や汗をかいた。調理スキルさんは俺の生命線だからさ。真面でいてほしい。
でもまな板の上のじゃがいもは、0.5ミリほどでスライスされていた。薄く切りすぎなのか、じゃがいもが崩れずにほぼ原型を保ってる。
「すごい、やっぱり調理スキルさんはパない!」
――どういたしまして。次は何をしましょう。
「次は、スライスしたじゃがいも洗って乾かしたらに串を通して加熱したいんです。火で焼くのではなく熱で焼く感じです。オーブンなんですけどわかります?」
――はい、大丈夫ですよ。それでは串を出しますので。
すっと、まな板に串が出てきた。木でもないし、金属でもない、不思議な串だ。表面はすべすべしてて、抜き差ししやすい感じ。
「触り心地は樹脂系だな」
――とある害獣の骨を削ったものです。
「骨!?」
あー、骨かー。ありうるなぁ。大昔は骨を削って道具にしてたんだし。人間なら考えることは一緒だよなー。
「なんにせよじゃがいもを洗って乾かして刺していこう」
よく水につけて洗った後に水気を切ったスライスじゃがいもの端に串を刺して、くっついてないお団子状態にする。間隔をあけつつもなるべくたくさん。
そんなこんなでじゃがいものスライスを刺した串が20本出来上がった。この段階で塩を振っておく。ぶちこも食べるからしょっぱすぎないように気を付けよう。
「これを宙に浮かせたままにしたいんだけど、やっぱり鍋のふちに渡すように置くしかないかな」
――コップなどで浮かすのはいかがでしょう。
「それだ! さすが調理スキルさん! マジリスペクト!」
早速吊戸棚を覗こうと思ったらまな板わきの作業台にコップがボボボボっと出現した。20個ある。
串1本にコップがふたつ必要なんだけど。
ん、待てよ。こうしたらいけるんじゃないか?
「コップを円を描くように配置して、その間に串を橋渡しすれば、いける!」
キッチンだと場所が足りないからテーブルに移動してカップを設置し、串を置いていく。電車のレールみたいだ。
「子供のころに見た工作番組みたいでワクワクする」
ふふ~んと鼻歌も出ちゃうぜ。
「よし完成! 調理スキルさん、これをオーブンのように熱してほしいんです」
――承知しました。時間はいかがしましょう?
「んー、強めの熱で5分やって、じゃがいもの表面を見て判断します。焼きが足りなければ追加で」
――わかりました。
調理スキルさんの返事とともに串刺しされたじゃがいもの周囲が熱くなった。手を近づけると、かなり熱い。触ったら火傷だなこれ。
俺とぶちことお供え用に皿を用意して、スタンバイオッケー!
で、焼くこと3分。
「んー、表面が固くなってきた感じだな。でもまだだサクッとした見た目じゃない」
急いては事を仕損じるって言うし、ここは時間まで我慢だ。
そして2分経って予定通り焼いたのだが。
「うーん、ふにゃふにゃしてるなぁ……」
見た目はこんがりきつね色で非常においしそうなんだけど串を持ち上げた時にポテチがふにゃっとしたんだよね。
「……と思ったら固くなった。お試しで食べてみよう」
指に挟んだ感触は、脂っぽくない!と驚くもの。カリカリ具合は売ってるものと変わらないくらいだ。もしかして、いけるんじゃ?
感触を確かめるために小さく齧ってみる。
カリッ。
少し熱いからか、サク、ではなくカリッと固い感じ。
「でも、ウマァァッ!」
塩が効いててバリウマだ。ひとつ、またひとつと手が伸びる。
「ハッ、だめだ、ぶちことお供えの分がなくなっちゃう」
半分近く食べて我に返った。
危険だ。危険なポテチだ。
「ぶちこの分とお供えを分けたてと」
神棚にお供えしたらすぐに消えた。待ち構えてたでしょこれ。
「実験的に作ったんですけど、きっとおいしいと思います」
聞こえるか知らないけど、声をかけといた。
――大変おいしゅうございました。食べたことのない感触で、ドキドキしてしまいました。
「やったぜ、大成功だ!」
なんだろう、達成感がハンパない。
やべぇ、調理楽しい。調理スキルさん頼みとはいえ、自分も作業してるからね。
畑でとれたじゃがいももポテチにしたらうまいんだろうなぁ。もちろんジャガバタもいけるだろうし、ハッシュドポテトにもなる?
「いやー、畑でのジャガイモ栽培にも熱が入るぜ」
他の野菜も植えたくなっちゃった。どっかに種がないかなぁ。




