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少年とJKと不思議な図書館  作者: 喜郎サ
最終章 異界巡り編
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第五十八話 迷路と新人類



迷路はその名の通り迷う者の道である。人のために造られた摩訶不思議な建造物だ。何のためにそれがあるのか。一説には怪物を閉じ込めるための牢屋の役割を持っているという。けれど人は自らそこに入って行く。


マサヤとミネコは秘宝の一つ「思い込みの塊」を探していた。それは生きているようで生きてはいない人造生物だという。カエデが標的を感知できないのはそのせいだろう。この迷路の中でそれを闇雲に探すのは厄介であった。


ナオスケは言っていた。秘宝は必要とするものの前に勝手に現れると。自分をしっかりと持っている者を惹きつけると。だからミネコが選ばれた。そして怪物のようなものも出てくる。だからマサヤは護衛だ。


異界と千手財閥のテクノロジーが合わさった装備。それに身を包んだマサヤはまるでサイバーパンクの世界から現れた登場人物のようだ。以前はフードでその形を隠していたがここでは必要ない。ただ何着もあるわけではない。絶対に壊さないようにと忠告されている。ミネコはその姿をからかった。


「超ウケる。もうマサヤロボだわ」


マサヤは顔の装備を外して不満そうな顔をした。けれどミネコはいつもこんな風だからと気にする事はない。近くで守れることの方が安心だった。


この異界はもう崩壊した後だという。元いた住人は何故か世界全土に迷路を作り中に閉じこもった。ほとんとかどうかわからないが人と人が出会わないようにもう争いが起きないように。そんな理由で自らの文明に終止符を打ったのだ。悲しい結末だ。けれどこの建造物はまだ稼働し続けている。時より機械音とサイレンが鳴り響き形状を変えるのだ。人類は滅びても迷路だけが生きながらえていた。


そしてサイレンがなった。また変化するつもりらしい。ミネコとマサヤは手を繋いだ。お互いの靴底が青色のネオン色に光る。現在の重力が変化後も同じとは限らない。床と靴が磁力によって固定される。落下の危険から身を守るのだ。


案の定、重力は90度回転して今では壁に立っている状態になった。ミネコがマサヤの首に腕を回す。その態勢で壁にワイヤーを固定してゆっくりと伸ばして下へ降下する。


床に着地した。通路とは違う広めのフロアだ。その中心に2メートルほどの球体がある。ツルリと継ぎ目のない綺麗な球だ。それはミネコ達の到着を待って起動する。


表面に筋が現れるとそこから手足と顔が出た。蜘蛛の脚のようでありカマキリの腕のようだ。見るからに戦闘用に造られたロボットである。マサヤは素早い反応で駆け出した。ロボットはそのコンマ何秒という刹那にレーザービームを発射してマサヤ達の居た方を攻撃する。当たった壁が溶け落ちた。間一髪である。


モトコは「ありがとう」とお礼を言ったがマサヤは「嗚呼」と返事をするだけでロボットの事で頭が一杯のようだ。だから申し訳なさそうに言った。


「マサヤさぁ。助けてくれたのは嬉しいんだけど…そろそろ降ろしてくれる?」


マサヤは事あるごとにミネコをお姫様抱っこする癖が付いていた。慌てて「ごめん」と言って下ろす。その間ロボットは彼らのやり取りを黙って見ていた。


追撃が来ない。数分睨み合いが続いた。その後ロボットは球体に戻った。噂通りである。ナオスケの話だと重要な設備がある所には護衛が待ち構えていて一定の距離に近づくと攻撃してくるらしい。


だがそんな所に用はない。反対のルートへと向かって移動した。そうしてそれは現れた。発光する粘体状の人型。壁や床の隙間から液体で染み出し集まって形を成した。明らかな敵意を見せ言葉を発した。けれど何を言っているのかさっぱりだ。ミネコが鞄から貝殻のような物を取り出す。するとそれの言葉は普通に理解出来るようになった。


(…危険だ。お前は危険だ。此処から去れ。でなければ排除する)


何と物騒な住人だ。出会ってすぐに「去れ」は余所者が現れたときの村社会特有の感性である。けれど自分達はこれに用がある。ミネコはまず話し合いで解決出来るか試す。


「こんにちは。はじめまして…。えっと私は別の世界から来ました。思い込みの塊という物を探しています。あれば欲しいです」


何故かカタコトになるミネコだ。外国人に一生懸命説明するとついこういう話し方になるのタイプの人間だった。マサヤはその様子を見て「普通でいいぞ。ちゃんと伝わるから」と素直に言った。けれどそんな事はわかっているミネコは「うん。今そう言うのいいから」とあしらった。少し可哀想である。


それは昔見た音楽のスペクトラム・アナライザーのように一定の周波数で形を複雑に変えて何かをしている風だ。危害は加えてこない。そして人型に戻った。


(そんな物はない。だから去れ。間もなく排除する)


知っていたが話し合いでは解決出来ないらしい。悲しいけれど倒すしかない。自分達の世界を救うためだとはいえ良い気はしないのだ。


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