激突!!
炎の渦は円柱型で空まで立ち上り、炎の動く音があたりを包み込んだ。
炎はだんだん吸い込まれるように中心に集約され、注ぎ込まれていく、
一つの塊となった炎は、やがて人の形となり、現れた。
合体したノラスは、姿こそ前の合体と変わっていない。
しかし、その体からは強い熱が出ていた。
その熱は少し離れた距離にいるスレードも感じるほどだった。
「やるな……。楽しみだ」
スレードは心が躍っていた。
2人は空に羽ばたき、対峙した。
「はあっ!」
先に仕掛けたのはノラスだ。
火炎を口から吐き出し、スレードの眼前には炎が広がった。
「ふん」
スレードは氷の障壁を展開し、炎を受け止めた。
だが。
「はああああっ!」
ノラスの炎は障壁を溶かし、スレードに直撃した。
「何っ! ぐわあああっ……!」
スレードは炎に呑まれた。
「ふうーっ……」
ノラスは息と煙を吐いた。
「……どうやら、簡単にはいかないようだな」
スレードは少なからずダメージを受けたが、まだまだ健在だ。
「今度はこちらの番だ」
スレードは強烈な水流を放った。
「さっき私にやった……。ノラス!」
地上で戦いを見ているシャルスはさっきの攻撃と同じことに気づいた。
おそらく水流を移動して攻撃してくる。
「……ふん」
ノラスは両手を前に出し、火炎放射を放った。
水の蒸発音が響く。
だがスレードは氷の盾を2重にして前面に作りだし、溶けたそばから新しい盾を作って接近した。
「はあああっ!」
スレードは氷の剣で斬りかかってきた。
「ふっ!」
ノラスは左手から火を放ち、その反動で素早く右に移動した。
そして隙ができたスレードに右手から火球をぶつけた。
火球は命中と同時に爆発し、スレードはたじろいだ。
「おりゃあっ!」
ノラスはそのまま高速でタックルをかまし、スレードをさらに吹っ飛ばした。
「ちいっ!」
スレードは右手から氷のトゲを放ったが、ノラスの現在の熱の前には届くことすら叶わない。
「スレード……。ここで倒す」
「……面白い。だが、殺されはせん」
スレードは両手を前に出した。
そして次々に水の球を発射し、ノラスの周りを囲んだ。
「はあっ!」
スレードが声を出すと水の球が次々破裂し、ノラスからはスレードが見えなくなった。
「今だ」
スレードは水流を左手から出して加速し、ノラスの後ろに回り込んだ。
「はあっ!」
そしてスレードは氷の剣を振りかざした。
「くっ!」
「もらった!」
ノラスは口から炎を吐き、後ろ向きに加速した。剣が振り下ろされる前にスレードに突撃し、懐に飛び込んだ。
「何っ! ぐはっ」
そしてノラスは腕を曲げて左手から勢いよく炎を噴射し、くるっと回ってスレードを正面にとらえた、
「はああああっ!!!」
両手から今までより密度の高い、バーナーのような巨大な火炎を放ち、スレードにぶつけた。
「ぐわあああああっ……」
「……」
ノラスは構えたまま、スレードがどうなっているのか、待った。
「ぐっ……」
スレードは煙の中から現れた。
鎧に焦げができており、スレード自身もダメージを受けたようだった。
「くそおっ……。なぜ俺がっ……」
「まだ動けるのかっ……」
「くそ……。俺より強い者など。存在してはいけないんだ」
スレードは怒りに震えていた。
同じ実力なら良いが、自分を越えることは許されない。
「……許さんぞ」
スレードは氷の塊を作りだし、放った。
「そんなもの」
ノラスは軽く溶かそうとした。
「はあっ!」
スレードの声とともに、塊は破裂し、中から先程より太く鋭いトゲが四方に飛んだ。
「何!?」
トゲはノラスの熱でも溶け切らず、突き刺さった。
「ぐっ……」
刺さったトゲは次第に溶けたが、傷は残った。
「ようやく貴様に傷をつけることができた……。このまま殺してやる」
「くっ」
このままでは魔龍合体が切れてしまう。一気に決着を付けなければ。
「だあああああっ!」
ノラスは一気に接近し、炎を纏った拳をぶつけようとした。
「ふんっ!」
スレードはそれに対抗して水を纏わせた拳をぶつけた。
拳はぶつかり合い、激しい音が辺りに広がった。
「はあああああっ!」
「うおおおおおっ!」
2人はほぼ互角だ。
「ぐっ……」
「ぐうう……っ」
次の瞬間、下から電光が飛んできた。
「ノラス……。あとは、よろしく……」
そこには、合体が解け、倒れたシャルスがいた。
「何っ!」
電光はスレードにわずかな隙を作った。
「今だっ!」
ノラスは左手でもう一度拳を打ち込んだ。
その拳は、スレードの胸に直撃した。
黒煙が広がり、鎧の砕ける音がした。
煙が薄くなってくると、魔龍合体が解けたノラス、イルレをつかんで飛んでいるドラゴンの姿のハーカがいた。
そして、スレードもまた合体が解け、ドラサにつかまって、何とか浮いていた。
「はあっ……。はあっ……」
ハーカは地面に降り立てたが、疲労困憊になっていた。
「……もっと、戦わせろっ」
スレードはまだ、戦いたいようだ。だが、体がついていけているとは思えない。
「いえ……。主様、ここは引きましょう」
ドラサは冷静にそう言った。
「何だと……」
「このままでは両者共倒れ、そうなれば我々の征服事業には甚大な影響が出ます」
「ちっ…。今度会ったら……。絶対に決着をつけてやる」
そして、ドラサとスレードは攻城兵を引き連れ、撤退していった。
「お、終わった……、のか」
かろうじて目を開いていたノラスは安心し、眠りについた。




