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8:謎の地下施設

皆さんお久しぶりぶりです!若干スランプになっていたFMです。投稿がこんなに遅くなってしまい本当にすいませんでした。ですが安心して下さい!次回は早めに投稿できると思います!

無事にヘリで城跡に降下した第1空挺団第1普通科大隊第3中隊の42人は1チーム13人の3チームに分かれてそれぞれ別々の所を捜索しに行った。第1騎兵師団第2旅団戦闘団「ブラック・ジャック」に所属する第5騎兵連隊第1大隊24人も2チームに分かれて自衛隊の捜索していない所を捜索する。

「ここか」

山口達一班は前の監視で狙撃部隊が見た子供達が連れ去られたとされる地下への階段を見つけていた。石で作られた階段だが、隙間から雑草が顔を覗かしている。しかも明かりが全くなく、奥は真っ暗で何も見えない。夜戦は想定していなかったので暗視ゴーグルなどは持って来ておらず、89式小銃(折曲銃床式)に付けたタクティカルライトの明かりを頼りに慎重に階段を降りて行く。薬品の匂いだろうか、鼻にツンとくる匂いがして来た。しかもその匂いは階段を下りるに連れ濃くなって行く。

「もし毒ガスとかだったら最悪だな」

山口が思ったことをそのまま口にすると、隣で89式小銃を構えて周りを警戒している田村が言った。

「もしそうだったら今頃俺達は踠き苦しんでるだろ」

「後から来るやつかもしれないだろ」

「うぅ。怖い怖い」

田村はそう言うとわざとらしく身震いをした。半分冗談で毒ガスかもと言ったが、これが毒ガスでは無いと言える証拠などはどこにも無い。もし本当に何か危険なガスが発生しているのなら・・・いや、今は任務に集中しよう。程なくして階段を降り終え、地下に着いた。地下は魔石のランプなどで明るくなっている。山口達は各部屋を1つずつ慌てず静かに慎重に調べて行く。7つ目の部屋に入ろうとした時、部屋の中から暴れるような物音と女の喘ぎ声が聞こえて来た。もしかしてさらわれた少女がレイプされている⁉︎そう考えた山口は怒りを覚えハンドシグナルでこの部屋に突入することを伝えた。山口の部下の1人がドアノブを掴み、山口が手で3つカウントしてからドアを一気に開けて一斉に部屋に突入する。本当は部屋に突入する前にスタングレネードを投げ込むのだが今は隠密行動中なので余り派手な音は出さないようにスタングレネードは使わずに突入した。部屋の中には甘ったるい匂いと濃い雌の匂いが充満しており、鼻をつまみたくなりながら89式小銃を構えた。部屋には大きなヘッドだけがあり、そのヘッドの上に全裸の中年の男と同じく全裸の女のエルフがいた。あ〜ありゃぁ入ってるな。田村は少し気まずく思いながらも中年の男に接近し89式小銃の銃口を向ける。

「動くな!」

他の人に気づかれないように男だけに聞こえるくらいの大きさで言う。男は慌てて立ち上がるとエルフを庇うような姿勢をとった。

「な、何者フグッ⁉︎」

男が大声を出そうとしたので男の口を手で押さえる。そして大声を出さないように脅す。

「次大声を出そうとしたら指を一本切り落とす。良いなら頷け」

男はブンブンを何度も頷いた。頷いたのを確認した田村は押さえていた手をどかす。

「連れ去った子供達はどこにやった?」

「し、知らん!」

田村は中年の男の顔面に拳を叩きつけた。手につけているグローブには指の付け根の所にカーボンが入っており、普通に殴るより威力が高い。ベッドの外に転げ落ちた男を見下ろしながらナイフを首に当てた。ここの世界の人達は銃と言うものを知らないので銃口を向けても全く怯えない。なのでナイフの方が効果的じゃないかと思い使ってみたのだが、効果は抜群のようだ。

「次嘘を言ったらもっとキツイのをお見舞いする」

「分かった分かった!言うから首を切らないでくれ!あと指も!」

田村はナイフを男の首から離すと男はペラペラを話しさ始めた。

「さらった子供は全員地下の牢に入れられている!本当だ信じてくれ!」

「だから大声を出すなって言ってるだろ?次大声を出したら人差し指を切り落とす」

男は慌てて声のトーンを落とした。

「牢には何人入れられている?」

「ろ・・・6人だ。牢には6人入れられている」

こんな大きそうな施設にたった6人?何か嘘っぽいな・・・。

「もっといるはずだが?そのエルフだって連れ去って来たやつじゃないのか?」

男はブンブンと首を横に振って否定した。

「こ、これは私が奴隷館から買って来た奴隷だ」

この世界では普通に奴隷制度があり、ごく当たり前に奴隷となった人が奴隷館というところで売られている。

「ちがっ・・う!」

「「⁉︎」」

今までベッドの上で力なく倒れて肩で息をしていたエルフがいきなり叫んだ。その声を聞いて男の顔が一気に真っ青になる。山口達は驚いた。いきなり叫んだから山口達は驚いた訳ではない。エルフから発せられた言葉がここの世界の言葉では無く日本語だったのだ。エルフは先程まで男とやっていた行為のせいで出来上がってしまい上手く喋れていないが発せられる言葉は間違いなく日本語だ。

「んっ、はぁはぁ・・・私・・んっ、は奴隷ぃ、じゃぁ、あっ、な・・い。エル、ぅふでも無い!・・・んあっ・・・わた、しぃ、は・・っ・・日本人っ・・」

エルフのとんでもない証言にまたもや山口達は驚いた。田村を押し退いて山口は男の首を掴み壁み床に頭を思いっきり叩きつけた。男の顔は真っ青を通り越して白っぽくなっていた。

「今の話、どう言うことだ‼︎」

「し、知らん!知らん知らん知らん!」

「こいつとそのエルフをヘリに乗せろ、聞きたいことが山ほどある」

「了解」

田村ははエルフの身体に部屋の隅に置いてあったバスタオルのような広幅のタオルを服代わりに着せた。山口の部下3人が2人を連れて先に地上に戻って行く。残りの10人は子供達を入れている牢を探した。捜索途中に廊下でで捕まえた敵警備兵から聞き出した情報を元に山口達はさらに階段で下ったところにある牢を目指した。階段を降り終えるとそこには尋常ではない数の牢か並んでいた。ざっと数えただけでも20以上はありそうだ。1番手前の牢の壁には「被験体番号1」と書かれており他の牢にも番号順に数字が書かれていた。被験体と書かれている時点でこの牢は普通のとは違うと思った山口は嫌な予感がした。反射的に89式小銃のグリップを強く握る。

「異様にデカイな、この牢屋」

田村の言う通り、人を入れる牢にしては異様に大きかった。1つの牢に10人は余裕で入るだろう。

「各自、何時でも撃てるように用意しとけ」

「「了解」」

牢の中には何も入っておらず、時々汚れた衣類が散乱しているだけだった。ビリビリに破れた上着を見た山口は魔物か何かの餌にされたのではと思ったが、衣類などには血などが付いていなかったので違うのかと自分考えたを訂正した。しかし全部では無いが破れた衣類などが散乱している牢の鉄格子に掛けられている札に「変化完了」と書かれているのを発見した山口は一層警戒心を上げながら牢の並ぶ廊下を進んだ。牢の壁に書かれた番号が20を超えようとしたとき、奥の方から女の子のすすり泣く声が微かに聞こえて来た。山口達はその声が聞こえた瞬間に走り出した。50メートル位走ると奴隷服を着て首にチェーンの付いた首輪をつけられた少女が牢の隅っこで体操座りの体勢で顔を下に向けて座っていた。しかし目標の日本人では無くここの世界の少女だった。それでもこんな幼い女の子を放っておける訳もなく山口は牢の鍵に89式小銃の銃口を向け、発砲。鍵を破壊して牢の中に入った。首に付けられた革製の首輪をナイフで切る。

「大丈夫?歩ける?」

山口は身を屈め、なるべく優しい口調で少女に話しかける。少女は泣きながらも「うん」と返事をした。

「もう大丈夫、家に帰れるからね」

「本当?お家に帰れるの?」

山口はニコッと笑って見せると励ました。

「あぁ!本当だ」

少女は家に帰れると分かるとわっと泣き出した。山口は少女の頭を優しく撫でてやりながら部下に指示を出した。

「残りの牢屋を速やかに調べろ、こんな気味の悪い所からはさっさと脱出するぞ」

「「了解」」

あと少し進むと廊下は行き止まりになっているので残りの牢の数はもうそんなにないだろう。山口の部下達は早歩きで残りの牢を調べて行く。移動する為に山口が少女を立ち上がらせようとした時、残りの牢を調べに行った隊員達の叫び声が聞こえて来た。続いて聞こえて来る発砲音、そして人間のものとは思えない力強い咆哮。田村が牢から出て何が起きているのか確認すると血相を変えて叫んだ。

「ど、ドラゴン⁉︎」

山口も牢から出て廊下を見る。そこには赤い鱗の覆われたドラゴンがいた。しかも今目の前にいるドラゴンはただのドラゴンではない。この世界の軍隊が使っている黒竜と呼ばれるドラゴンは小型に分類されるものだが、それでもそれなりに強力な魔法攻撃でも無力化してしまう程の防御力を誇っている。そして今目の前にいるこのドラゴンは中型に分類されるドラゴン、火炎竜だ。大型に分類される炎竜の上位互換のような存在で、防御力は勿論口からブレスと呼ばれる火炎を吐き出して攻撃して来るのでかなり強いドラゴンだ。生け捕りにするのは不可能だの人間が制御するのは不可能などと言われているやばいやつだ。そんなやばいドラゴンとは空挺団のメンバーは知る由も無いが、ドラゴンという時点でやばいのは確実なので山口はすぐさま撤退命令を出した。

「総員撤退ッ‼︎地上に戻るぞ!」

10人の自衛隊員は我先にと階段を駆け上って行く。山口は少女を抱きかかえて走る。最後尾にいた田村は他の隊員を逃がす為無駄だと分かりながらも89式小銃を構え、セレクターレバーを「レ」と書かれたところに合わせる。照準を1番柔らかい腹に定めてトリガーを引き絞る!5.56×45NATO弾特有の軽い発砲音が地下牢に木霊する。狙い通り火炎竜の腹に命中した5.56×45NATO弾は硬い皮膚に弾き返されてしまう。それを見た田村は苦笑いする。

「おいおい、ただの皮膚でこの防御力ってマジかよ・・・ならば!」

田村は密かに隠し持って来ていたあるのもを89式小銃の銃口に装着して、セレクターレバーを「レ」から「タ」に変えた。。

「本来の撃ち方とは違うけど、大丈夫だよな」

銃口の先にある物を装着した89式小銃を普通に銃を撃つ時と同じような姿勢で構え、照準を火炎竜の頭に向ける。

「食らえ、エクスプロージョン‼︎」

パンッ!と少し抑制された銃声と共に銃口に付けていた物ーー06式小銃てき弾が勢い良く発射された。弾頭は多目的榴弾、もし人間がまともに食らったら木っ端微塵になることもある程の威力がある。榴弾は火炎竜の顔に命中し、次の瞬間には爆発し、爆煙で視界を遮られたうちに田村は階段を駆け上って行く。後ろからは火炎竜の怒りに満ちたような声が聞こえて来る。22mm口径よライフルグレネード弾を顔面に食らってもピンピンしているって色々おかしいだろ、と思いながら走り続ける田村。しかし階段に入ればもう安心だ、この階段は人が通れる位の広さしかない、あの巨大なドラゴンがついてこれる訳がない。

《田村、今どこにいる!》

山口から通信が来た。

「一つ目の階段を登り終えたところですよ!」

すると後ろから、またドラゴンの咆哮が聞こえて来た。しかも結構近くから聞こえた気がした。田村は1度止まり、ゆっくりと振り返る。しかしすぐ後ろは壁しかなく、それ以外は何もない。

「・・・・ま・さ・かぁ?」

田村は壁にゆっくりと近づき壁に耳を当てた。すると、壁の向こう側から何かが上に登って行く音が聞こえて来た。まさかと思い田村は最後の06式小銃てき弾を89式小銃に装着し、壁から離れてから構え、壁に向かって多目的榴弾を発射した。壁に当たった多目的榴弾は大爆発し、壁の崩れる音が爆発音に混じって聞こえて来る。爆煙が晴れると、そこには大きな空間が空いていた。どうやらこれは下の地下牢から地上まで繋がっているようだ。上を見ると手と足を器用に使いながらさっきのドラゴンが登って行っている。89式小銃の銃口に付いたままだった06式小銃てき弾の発射装置を外してから構え、ドラゴンの足らへんに乱射するが弾は虚しく弾かれるだけだった。撃つのを止め、田村は先に地上に着いているであろう山口に警告した。

「隊長、地上にさっきのドラゴンが出て来ますよ!気おつけて!」

そう言い終わると田村は地上に向け全力疾走で来た道を戻って行った。 一方ドラゴンが来るとの報告を受けた山口は自分達だけでは奴を殺す事は不可能だと思い、後方で待機している筈のヘリ部隊に支援を要請することにした。

「こちら第3中隊!大型のドラゴンに追われている、至急攻撃支援を要請する!」

山口が言い終わるか言い終わらないかのタイミングで地面の中からさっきのドラゴン、火炎竜が現れた。実際は地面から出て来たのでなく、穴を隠すために置いていた木製の板の上に少し土を被せて偽装していたフタを吹っ飛ばして登場したのだ。

「撃て撃て‼︎」

10人から集中砲火を浴びるが火炎竜はビクともせず、お返しとばかりに口から火炎を吐き出した。火炎放射器以上の威力を持つこのブレスは、この世界の大型ガレー船をも沈めてしまう程の威力がある。そこまでの威力があるとは山口達は知らなかったが、火炎竜の大きく開けた口の中に紅蓮に輝く炎を見た山口達は嫌な予感がしてすぐさま逃げたので直撃を受ける人はいなかった。山口は咄嗟に身を呈して少女を庇う。

「あっちっち!アッツ⁉︎」

離れていても服越しに感じる凄まじい熱気に思わず声を上げる。

《こちらスコーピオン、目標を目視で確認した!これより攻撃支援行う!》

軽攻撃ヘリ型UH-60JAが2機ともチェーンガンを撃ちながら火炎竜に急接近して、すれ違いざまにハイドラ70ロケット弾を数発発車。ロケット弾は火炎竜やその周辺の地面に次々と着弾し、火炎竜は06式小銃てき弾とは比べ物にならない程の爆煙に包まれた。しかし今使用しているハイドラロケット弾の弾頭はM151と呼ばれる対人・対資材用の高爆発威力弾頭(HE)なので貫通力が乏しくら火炎竜の鱗を焦がしただけに終わった。その後、アメリカ陸軍のV-280「ヴァーロー」2機もプロペラを上に向けた垂直離着陸モードで飛んで来て、火炎竜の周りを旋回しながら機体側面のガンナー席に装備してあるM134ミニガンで援護射撃を開始。ミニガンは毎分5000発と言う恐ろしい連射速で7.62×51NATO弾が発車されて行く。余りに連射速度が早いので発砲音はヴォーーーーーッ!と言う繋がった音に聞こえる。だがしかし、そんな猛烈な勢いで弾丸を浴びせかけられているのに火炎竜は全く怯む様子は無い。弾も鱗で弾き返されている。自衛隊のUH-60JAも来て同じようにサイドドアに装備しているM2重機関銃で援護射撃を行う。M2重機関銃はミニガンよりも連射速度は劣るが、12.7×99mmMATO弾という強力な大口径弾を撃てるので破壊力は抜群だ。しかし12.7mm弾までも弾き返してしまう火炎竜の硬い鱗。もはや空飛ぶ装甲車だ。だが火炎竜の注意を山口達からヘリに向けることには成功した。ヘリが火炎竜に攻撃しているうちに山口達以外の隊員達も集まり、それぞれ攻撃を開始する。アメリカ陸軍所属のブラック・ジャック部隊の隊員達もコルトM4コマンドーを構え、発砲を開始。全戦力を投入して火炎竜に総攻撃を仕掛ける。

《第3中隊、こちらスコーピオン!我々がドラゴンの注意を引きつけている内にチヌークに乗って脱出してくれ》

直後、2機の軽攻撃ヘリ型UH-60JAが火炎竜に急接近し、残りのハイドラロケット弾全てとチェーンガンをこれでもかと撃ち始めた。

「総員、ヘリに乗り込む準備をしろ!」

外側をグルリと一周して来たCH-47JAが城跡から少し離れた火炎竜のいるところとは反対側に着陸、後部ハッチが開く。

「行け行け行け!」

火炎竜に気づかれる前に山口達はCH-47JAに乗り込んで行く。CH-47JAは50人までの兵士を乗せることが可能なので山口達42人全員が乗り込むことができた。わざわざ図体のデカい大型ヘリを向かわせたのはこの輸送能力があるからだ。UH-60JAは1機に11人しか乗ることができないので全員逃げるまでに時間がかかってしまう。だがこのCH-47JAだったら一回で全員逃げることができるのだ。田村がドアの前で89式小銃を構え周囲を警戒する。山口が少女を抱えてヘリに乗ったのを確認して田村もヘリに乗った。CH-47JAはエンジン出力を一気に上げキュィィィィィィン‼︎と言う唸り声を上げて急上昇、火炎竜に見つかる前に城跡からの離脱を図る。しかし、出力を上げたT-55-K-712ターボシャフトエンジンの甲高いエンジン音とプロペラの激しい風切り音のせいで火炎竜がCH-47JAの存在に気づいてしまう。火炎竜は口からブレスを発射、しかし後部ハッチを既に閉めて距離をとっていたCH-47JAは外部センサー類がいつくかやられただけで目立った被害は出なかった。火炎竜は逃さんと言わんばかりにその巨大な翼を広げ飛び立とうとするが、火炎竜の真上にいた軽攻撃ヘリ型UH-60JAの機首に装備してあるチェーンガンがそのデカい的に照準を定め、発砲。流石の火炎竜も翼は柔らかいようで30mmチェーンガンのM789多目的榴弾でズタズタ引き裂かれた。火炎竜は吠えると嫌がるように身をよじり、軽攻撃ヘリ型UH-60JAにブレスを放つ。が、慌てていたのか火炎はヘリの横を通過して行った。その光景を見ていたアメリカ陸軍第1騎兵師団第2旅団戦闘団「ブラック・ジャック」に所属する第5騎兵連隊第1大隊のオーブリー中佐は奥の手を使うことを決断した。

「砲兵大隊、こちらオーブリー。砲撃支援を要請する」

同じくブラック・ジャックに所属する第82野戦砲兵連隊の第3大隊が城跡から西に10キロ行ったところにある、密林の中にある開けた場所を砲撃陣地として待機しており、チヌークで運んで来たM777 155mm榴弾砲5問をオーブリーからの指示を受けて砲身を城跡に向けていた。

「了解、目標座標への効力射の準備」

まずM795 155mm榴弾を大きく湾曲したさく杖で押して装填、次にM3A1装薬と呼ばれる砲弾を飛ばす為の発射薬などが詰まった緑色の円柱形の物を手で入れる。砲弾と装薬を入れ終わると上にあるレバーを倒し段隔螺式閉鎖機を閉める。

「ステンバーーーイ」

M777 155mm榴弾砲から隊員が離れる。

「ファイヤ!」

紐を持っていた隊員が身をよじって一気に紐を引くと同時にM777 155mm榴弾砲の砲口から口径だけなら軽巡洋艦の主砲と同じ大きさの砲弾が発射され、砲撃の時に発生した爆風で周囲の砂や砂利などが舞い上がる。5問同時に発射された砲弾は天高く飛翔して行く。砲撃後すぐさまさっきと同じ手順で砲弾を装填し、約15秒後には次弾を発射した。

「砲撃完了、約9秒後に着弾する」

飛んで来る砲弾に巻き込まれる前にオーブリー達はV-280ヴァーローに乗って離脱。最後まで攻撃を続けていた軽攻撃ヘリ型UH-60JA2機とUH-60JA2機は砲撃完了と聞いたと同時に攻撃しながら安全な所まで退避しる。予告通り約9秒後にM795 155mm榴弾が空から降って来た。最初に飛んで来た5発は1発が火炎竜の近くに着弾し、他の4発は崩れかけていた城の外壁などに当たり派手に爆発、城跡周辺は爆煙に包まれる。少し爆煙が晴れて来た時に砲撃の第2波が飛来し、爆煙の中に着弾。爆煙の中から顔を覗かせていた見張り台も垂直に倒れて行き、その姿を煙の中に消した。だがドラゴンのあの防御力を目の当たりにした山口は少し不安が残った。なので

「こちら第1普通科大隊第3中隊、危険生物への効力射を要請する」

ブラック・ジャック部隊がそうであったように第1空挺団も用意していた。同じく第1空挺団に所属する第1空挺団特科大隊の第1中隊と第3中隊が南に6キロ行った所で120mm迫撃砲RTを計10問準備していた。先程アメリカ軍が使用したM777とは装填方法が全く違う。

「半装填!」

隊員の1人が砲弾を砲身の先から半分だけ入れて一度止める。

「半装填よし!」

「よぉーーーい‼︎ 撃てッ!」

隊員が砲弾を手から離し、砲弾は砲身内に落下する。隊員達が両手で両耳を塞いだと同時にドンッ!と言う腹に響く音が鳴り、キィーーンと言う金属音を残しながら砲弾は6キロ先の目標に向かい飛翔して行った。

M777の砲撃で城跡周辺は土煙などで何も見えない状況だったが、さらにそこに120mm迫撃砲RTの120mm榴弾が降って来た。時間で見れば砲撃はたった5秒間だけだったが、6問から連続的に発射された砲撃はまさに雨だった。爆煙と土煙が混ざり合う城跡を見ながら山口は思わず呟いた。

「・・・やったのか?」

それを聞いた田村は山口に突っ込んだ。

「おいおい、フラグ立てるなよ」

UH-60JAが1機、城跡に接近しダウンウォッシュで土煙などを吹き飛ばして行く。他のヘリ達が何時でも撃てるように構えている。煙の中から現れたのは・・・完全に崩壊した城跡とえぐれた地面、そして背中にまともに砲弾を食らい完全に死んだドラゴンの死体だった。どこからともなく安堵の溜め息が聞こえて来る。

「こちら山口、目標は発見できず。ただし有力な情報を持っていると思われる人物を確保した。これより帰投する」

山口達は知らない、この後とんでもない事を聞くことになるとは。

M777や120mm 迫撃砲の発射手順は動画などを参考にしたため、色々と間違っている可能性があります。ご注意下さい。

どうでしたかね?第8話。色々と急展開過ぎたかもしれませんが楽しく読んでいただけたら幸いです。コメントお待ちしております。ではまた!ダスビダーニャ!

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