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6:我が国旗は敵国王宮の上にあり

スッッゴイ長らくお待たせしました!第6話です!

午前6時52分、サマリア地区上空。

お世辞にも居住性が良いとは言えないMi-24VPの兵員用キャビンに搭乗している第56独立親衛空中襲撃旅団第2空中襲撃大隊の第4分隊に所属している僕、Ян(ヤーン)伍長は手に持っているドットサイトとフォアグリップとレーザーサイトを付けたAEK-971Sを握り締めた。真横にある小さな窓から外を見てみるとごうごうと燃え盛るサマリア地区が見える。ロケット砲の第3波はここではなく他の地区に降り注ぎ、第2次攻撃機隊などの戦闘爆撃機と攻撃機が街に白リン弾を投下している。

「伍長、緊張してるのか?」

外を見ていると僕と向かい合わせに座っているДавид(ダヴィード)分隊長(階級は曹長)が話しかけて来た。

「い、いえ!大丈夫です!」

ロシア軍の階級で伍長は下から3番目とかなり低い、自分は今回が初の実戦なので緊張していた。あー1発で嘘だとバレるだろうなぁと思いながらも僕は気丈に振る舞った。予想通り1発で嘘だとバレたようで、分隊長は鼻で笑った。

「お前は相変わらず嘘が下手だな。まぁ安心しろ、もしもの時は俺が助けてやるから」

「ありがとうございます」

分隊長と喋っているとコックピットのパイロットから無線越しに通信が来た。

《間も無くシナタ地区に入る。少々揺れるぞ》

サマリア地区から北に行った所にあるシタナ地区。まだ攻撃を全く受けていないこの地区には多数の敵魔術師がいると考えられていた。そしてその考えは当たった。ヘリがシタナ地区に入って数十秒後、四方八方から魔力弾が飛来して来た!低空を飛行していたヘリは速力を上げて敵弾を避けて行く。だが飛んで来る全ての敵弾を避けきれるわけがなく、ついに被弾してしまう。球体の魔力弾はMi-24VPの横っ腹に命中し派手に爆発する。幸いこのヘリは12.7ミリ弾まで耐え切れる事の出来る装甲を持っているので内部には全く被害は無かったが、爆風で機体が大きく揺さ振られる。このヘリのキャビンの座席にはシートベルトと言う便利な物は無いので、爆発の衝撃でほぼ全員が座席から転げ落ちてしまう。

「おいおい大丈夫なのか⁉︎」

余りの揺れに僕は座席に掴まりながら不安を口にした。そしてその不安は現実の物となる。ドゴォンッ‼︎と言う音と共に右側のキャビンのドアが吹き飛び、機内に風が流れ込んで来る。一撃目で少々バランスを崩していたこのヘリは今の攻撃で完全にバランスを崩し、機体が左に横倒しになった。滑り落ちない為に僕は必死に座席にしがみついた。

《クソッ‼︎全員対ショック姿勢、不時着するぞ!》

パイロットはなんとか機体を水平に戻そうと操縦桿と格闘していたが、パイロットの奮闘虚しくヘリは横倒しになったまま建物の屋根に衝突。メインローターが全て吹き飛び、ヘリは建物から滑り落ちて地面に横倒しのまま落下。2回大きくバウンドして数メートル滑って停止した。まるで時が止まったかのように周りが静かになる。

「痛つつ・・・全員無事か?」

分隊長の声が聞こえた。僕は痛む頭を手で押さえながら立ち上がった。他の隊員も「大丈夫です」と言いながらよろよろと立ち上がる。

「怪我した奴はいるか?正直に手を上げろ」

分隊長は僕達を見渡しながら聞いて来た。

「体のあちこちを打ちましたが、怪我はしていません」

「自分もです」

「自分も」

「私もです」

「僕も大丈夫です」

「この位何ともない」

「問題有りません」

全員無事なのを確認した分隊長は少しホッとしたような顔をした。地面に接していない左側のハッチをこじ開けると、僕達は外に出た。パイロット2名は墜落の時の衝撃で死んでいた。司令部に墜落した事を伝えると、分隊長は隊員を集めた。

「さて、さっさとここから離れないと追っ手が来る。後は歩いて行くぞ」

「「Да(ダー)!」」




火の海と化したサマリア地区から何とか逃げ出すことが出来た私は親友のミラに連れられてシナタ地区に逃げ込んでいた。ここにはまだあの奇妙な羽音の怪物は来ておらず、攻撃も受けていない。このままシナタ地区を抜けて王宮に向かうつもりらしい。王宮には親衛騎士団と呼ばれる騎士団の中でも選りすぐりのエリートだけで構成された精鋭部隊がいる。なので王宮に行けばその人達が私達を守ってくれると考えたのだ。同じ様な考えなのだろうか、私達以外にも大勢の人達が王宮に向かっていた。何時もは多くの馬車が行き交う大通りも今は王宮に向かおうとする避難民で溢れかえっており、悲鳴や怒号が飛び交っている。人々に揉みくちゃにされながら私達も王宮に向かう。しかし人が多いせいでなかなか進まない。

「おい早く行けよ!」

「早くしないとまた“あれ„が来ちゃうでしょ⁉︎」

「おい邪魔だボケッ‼︎」

前を歩く人達に向かって後ろの列の人達が「早く行け」と怒鳴り、中には人を殴り倒して前に進もうとしている人もいる。後から知ったけど、この時王宮は余りの避難民の多さにこれ以上は無理と言うことで門を閉ざしていた。

「邪魔だ!」

「きゃっ!」

私は突然後ろから背中を押された。突然だったので私はバランスを崩してその場に倒れてしまった。

「大丈夫⁉︎ちょっと何すんのよ!」

ミラが私を押した相手に向かって怒鳴ったが、相手の男性は振り向きもせず人々を押し退けながら進んで行った。

「大丈夫?アリサ。立てる?」

「うん」

膝を擦り剥いてしまったが、別に大したことではない。ミラの手を借りて立ち上がろうとした時、私は見てしまった。サマリア地区の方からあの怪物が複数こっちに向かって来ていたのだ。

「あ・・・あぁ・・・」

恐怖で足がすくんでしまい動けなくなる。

「どうしたの?どこか痛むの?」

まだその事に気付いていないミラは私がどこか怪我したのかと思って聞いて来る。私は震える人差し指で奴らを指差した。それと同時にあの羽音が聞こえて来た。私以外の人達も気づきだして空を見上げる。あんなに騒がしかった大通りが一気に静まり返った。

「に、逃げろぉ‼︎」

どこからか聞こえてきたその声を合図に、大通りにいた人々は一斉に王宮に向け走り出した。でも何故か怪物達はこっちには目もくれず王宮に向かって飛んで行く。

「喰らえっ!」

内地軍の甲冑を着た魔術師が魔力弾を手のひらに作り出し、そしてあの怪物に向かって撃ち出した。魔力弾は真っ直ぐ怪物の方に飛んで行き、そして怪物に当たった。魔力弾が爆発し、黒煙が怪物の姿を隠した。やっつけた!と私は思ったが違った。黒煙の中からあの怪物は出てきた。しかも傷1つ付いていない。

「こっちに来る⁉︎」

怪物はこっちに向きを変えると凄まじい速度で接近して来た。王宮に逃げる人達を通せんぼするように大通りの真上でなんとピタリと静止した。黒竜でも空中に完璧に静止することは出来ないと言うのに。耳をつんざくような爆音と吹き飛ばされそうなほどの突風を巻き起こしながら空中で静止している怪物は顎の下に付いている太い筒をこちらに向けた。それを見た私は嫌な予感がした。

「ミラ、逃げよう!」

私の“右にいた„ミラの手を引いて走り出そうとした時、怪物が吠えた。ヴバァァァァァァァッ‼︎っと言う聞いたこともない咆哮、それと同時に前を歩いていた人達が肉塊になって行き、砂埃が立ち上った。キューン!と言う奇妙な音が私の“右側„を通り過ぎて行った。ピチャっと私の右頬に冷たい液体が付く。それは誰かの血だった。

「ミラ、大丈ぅ・・・」

ミラのいた所を見た私は絶句した。私の右側にいたはずのミラがいなくなっていたのだ。

「・・・・え?」

ミラの手を握っていた右手を見るとミラの左手だけがあった。

「・・・・・」

いや、ミラはいた。数メートル後ろにまで吹き飛ばされた目を見開いたまま死んでいるミラの上半身があった。私は親友の死んだ悲しみよりも先に、吐き気がやって来た。抑えきれずその場で吐いてしまう。

Mi-24Dに搭載されているYakB-12.7(4銃身ガトリング式12.7mm重機関銃)は12.7×108mm弾を毎分5.000発と言う恐ろしい連射速度で撃ち出すことができる。12.7×108mm弾は対物ライフルや重機関銃などにも使用される強力な弾で、生身の人間が喰らえばミンチになる。

私は恐怖の余りその場で立ち竦んでいると、突然手を誰かに強く引っ張られて建物の陰に連れ込まれた。

「伏せろ!」

強引に地面に伏せさせられた次の瞬間、さっきまで私が立っていた場所に土煙が舞った。顔を上げると目の前には魔法防壁を展開している女性騎士が立っていた。

「奴らの攻撃は直接当たらなくても飛んで来た破片だけで致命傷になる。注意しろ」

魔法防壁を解除した女性騎士はそう言うとしゃがんむと私の体を見て来た。

「怪我は無いようだが・・立てるか?」

私は立ち上がりながら聞いた。

「貴方は・・?」

「マリシ地区に駐屯地を置く、第十二黒竜騎士団所属、ミリア・ビクトアだ」

黒竜騎士団?あの世界最強と言われている黒竜を操る精鋭騎士団の団員がなんでこんな所にいるのだろうか。

「なんで・・・」

「ん?何か言ったか?」

「なんで黒竜騎士団の団員がこんな所にいるの⁉︎早くあいつらをやっつけてよ!黒竜は世界最強の竜なんでしょ⁉︎」

ミリアさんは悔しそうに唇を噛み、目を閉じた。

「私だって出撃できたらたらそうしたいさ・・・ッ!でもな・・第十二黒竜騎士団駐屯地は敵の爆裂系魔法により完全に破壊されてしまった。18匹いた黒竜も全て死んだ・・・私は、逃げることしか出来なかった」

ビクトアはSu-25からの対地攻撃を受けた後、生き残った仲間達と共にここシナタ地区にある第十二黒竜騎士団の予備駐屯地に向かったのだが、既にそこも攻撃を受けており勿論黒竜は1匹も生きているやつはいなかった。

「ここも直ぐに火の海になる。お前もさっさとここから逃げた方が良い」

「逃げるって王宮に?」

「馬鹿か、この国はもう保たない。スクード国に逃げるんだ」

アレウト国と友好的な関係のスクード国はここから馬車で2週間位(距離は約600キロ)で行ける。

「アレウト国を・・見捨てるの?」

「見捨てはしない。一時撤退するんだ。今奴らに戦いを挑んでも無駄死にするだけだからな。お前も一緒に来るか?」

一緒ここに残ろうと思ったが、親友の遺体を思い出しあんな事にはなりたくないと思い、逃げることを決意した。




乗っていたヘリが撃墜されてしまった第56独立親衛空中襲撃旅団第2空中襲撃大隊、第4分隊は徒歩で目的地の王宮に向かっていた。

「人っ子一人いませんね」

周囲の建物を見ながら僕は呟いた。慌てて逃げたのだろうか、道端には日用品が散らばっている。

「気を抜くなよ?どこに敵兵が潜んでいるか分からんからな」

8人がそれぞれの方向を警戒しながら通りを少し早歩きで進んで行く。

「分隊長、10時の方向に対空兵器らしき物が」

左前の方を見てみると、街の中から淡い青色の細長い物が近くを飛ぶヘリ部隊に向かって飛んで行っている。

「とりあえずあれを潰しに行くか」

分隊長は小型の双眼鏡でヘリに向かって攻撃し続けている対空兵器を見ながら言った。それにPKM汎用機関銃を持っている隊員が反論した。

「ですが我々は爆発物は持ってませんよ?」

双眼鏡をしまった分隊長はAEK-971Sのセレクターレバーをフルオートに切り替えた。

「わざわざ破壊しなくても制圧すれば良い話だろ」

分隊長のやりたいことを理解した隊員はニヤリと笑った。

「なるほど、俺達で対空陣地を制圧しようってことですね」

「そういうことだ。よし、行動開始!」

対空兵器があると思われる場所はそう遠くない。僕達は走って目標に向かった。細い路地を進んで行くと、敵兵の声が聞こえて来た。分隊長は路地でみんなを集めると次々と指示を出した。

「よし、ローシャはあそこの建物の上からそのドラグノフ狙撃銃(SVDS)で俺達を支援しろ。ヤーラ、お前はローシャについて行け」

「「да(ダー)」」

2人はすぐさま移動を開始し、分隊長の指示した4階建の建物に向かった。

「よし、後は俺について来い」

僕達6人は姿勢を低くしてゆっくりと移動を始める。路地を抜けると巨大なバリスタが5つあった。バリスタには極太の矢が装填されており、さらにバリスタの周りには魔術師らしき人が複数おり何かの呪文を詠唱している。すると、バリスタの先端に円型の魔法陣が現れた。「放て!」と言う合図の後にバリスタの矢が発射され魔法陣に突き刺さり、矢は青く光りながら一気に加速して飛んで行った。何この発射方法!かっこいい!僕達はなるべく音を立てないようにしながら走って近くの物陰に身を潜めた。

「ローシャ、敵の司令官を狙えるか?」

《狙えれます》

分隊長はAEK-971Sを握り直した。

「よし、3つ数えたら狙撃しろ。同時に俺達も突入する」

僕は無意識のうちに銃を強く握り締めていた。心臓がバクバクとなっている。

「3・・・2・・・1撃て!」

全員が一斉に隠れていた物陰から出てAEK-971を構える。同時に全体を仕切っていた敵の司令官の頭をSVDSの7.62×54R弾が貫く。他の敵兵が銃声に驚いて振向こうとする前にAEK-971Sが火を吹きあっと言う間に目の前の敵兵は全滅、1つ目のバリスタはあっさり制圧できた。しかし残りのバリスタを操っていた奴らは俺達に気づき魔法防壁を展開したり、バリスタに隠れたりした。

「魔術師を狙え!」

敵兵の中で唯一反撃できるのは魔術師だ。彼らは武器を持っていなくても魔術で攻撃ができるからだ。汎用機関銃(PKM)を持っているダーナがPKM銃身の下らへんにある二脚を展開して地面に置いて伏せ撃ちの状態でダダダダダダダダッ‼︎と魔術師に向けて乱射した。魔術師は余程の自信があるのか、魔法防壁を展開したまま動かなかった。7.62×54R弾は魔法防壁をいとも簡単に貫通し、魔法防壁はガラスのように割れて消えた。勿論魔術師も大口径弾を何発も喰らい絶命した。その光景を見ていた他の魔術師は魔法防壁を展開しながら走って回避行動を取り始めた。だが魔術師が今やっている回避行動はこの世界の攻撃に対しての回避行動であり、こっちの世界(現代兵器)に対してではない。あっさり魔術師達は倒されていく。中には魔法防壁を展開するのをやめて攻撃魔法でこちらを攻撃してくる奴もいたが弾速が遅いやつだったので難なく回避できた。

「貰った!」

走って逃げようとしていた魔術師に照準を合わせた僕はトリガーを引き絞った。毎分900発の速度で撃ち出された5.45×39mm弾は魔術師の胴体に多数命中、魔術師はそのまま地面に転けて動かなくなった。

「奥のバリスタが動いているぞ‼︎」

1番奥に設置されていたバリスタがこっちにゆっくりと旋回していた。奴らはバリスタで直接僕達を攻撃するつもりなんだ!

「バリスタを動かしている奴を撃て!早く!」

ダーナがPKMでバリスタを動かしている奴に向けて撃つが、バリスタが盾になって当たらない。僕はバリスタの周りで呪文を詠唱している魔術師達に向かって撃った。どうやら詠唱中は動けないらしく、魔術師は棒立ちのままだったので当てやすい。他の隊員も魔術師を攻撃する。魔術師は全員死んだが、バリスタは動き続けており終にバリスタに装填されている矢の先端が僕達の方を向いた。

「退避ーッ‼︎」

分隊長が叫ぶと同時に僕達も走ってバリスタの射線から離れる。その直後バリスタから極太の矢が発射される。魔法での加速もないのでそこまで威力はないだろうと思っていたが、腐ってもバリスタは攻城兵器。矢は僕達の後ろにあった建物の2階付近にぶっ刺さった。

「危ねぇなこの野郎!」

そう叫んだダーナはたったままPKMを腰撃ちの姿勢で構えて乱射した。しかしバリスタが盾になりやはり当たらない。しかしこれで良い。相手が迂闊に出れなくなれば良い何故ならー

「ローシャ、行けるか?」

《丁度頭が狙えますよ》

別角度にいるローシャからは射線が通っているからだ!

「撃て」

ダァーーン!と言う発砲音が聞こえるのと同時にバリスタの後ろに隠れていた敵兵の頭から鮮血が舞った。こうして僕達は余りにもあっさりと敵兵対空陣地の1つを制圧したのだった。

「さて、もう今から王宮に行っても出番無さそうだし俺達は他の敵陣地を潰しに行くか」

そんなことを分隊長はいきなり言い出した。

「ええ⁉︎それって命令違反じゃないですか?」

「良いの良いの、王宮には2008人の空挺兵が投入されるんだ、8人減った位バレないから。言い訳も幾らでもできるしな。それにどうせ後から殲滅作戦をやるんだ、先に仕事を減らしとこうぜ」

分隊長は自由人だなぁなどと思いながら僕達は次の敵陣地へと向かう分隊長について行った。



合計4.072発のロケット弾と第2次戦闘爆撃機隊のSu-24MとSu-34から大量に投下された白リン弾によりサマリア地区は酷い有様になっていた。ロケット弾の破片で肉が引き裂かれて臓器をぶちまけて死んでいる者、脳みそが露出している者、白リン弾により全身の肌と肉が焼き爛れてゾンビのようにな見た目になった者、全身の皮膚が焼けてもなお呻きながら歩きまわっている人、焼けた皮膚と皮膚がお互いくっ付いた2人組、赤ん坊を抱き抱えたまま焼死している女性、手や足が無くなっている者、骨ごと白リン弾の熱で焼かれて溶け、原形をとどめていない人間なのがどうかもわからない死体。終にサマリア地区に到達した戦闘車両部隊はその地獄の中を進んでいた。サマリア地区に五体満足で生きている者はいるはずもなく、戦闘車両部隊はただひたすらアンモニアのような臭気と血の匂いと人の焼ける匂いと煙の匂いなどが混ざった最悪な匂いの中、市民の呻き声や建物などが燃え盛る音をBGMに死体の上を進んでいた。敵兵からの攻撃も来ないため、戦闘車両部隊の侵攻速度は一気に加速した。しかしこんな所に行くくらいなら敵兵と撃ち合いをしていた方がまだ気が楽だ。T-72Bに乗る車長兼第2戦車中隊隊長のレナート中佐は砲塔の上にある車長用ハッチから上半身を出して、まだ意識のある瀕死の市民にホルスターから出したスチェッキン・マシンピストル(略してAPS)を構えて頭を狙い、無言でトリガーを引いた。

「・・・・」

確実にとどめを刺すと同時にせめて楽にさせてやろうと言う気持ちで、レナート中佐は瀕死の市民に9×18マカロフ弾を頭に1発撃ち込んで行く。

「・・・すまんな」

レナート中佐は目の前に広がる死体の山に向かって言った。

「ザハール、こんな所早く出よう。速度を上げてくれ」

Да(ダー)

T-72B戦車が少し加速して死体しかない大通りを走り抜けて行く。街の中心に近づくにつれ生きている人間の数は少なくなっていき、そしてさらに進むと原形をとどめていない人間の死体が多くなっていく。

「これは南京大虐殺より酷いな・・・・ん、どうした?」

死体の山を見渡していると突然レナート中佐の乗る戦車が停止した。レナート中佐の乗るT-72Bが停車すると当然第2戦車中隊が停車し、その後ろを随伴していた兵員輸送車両部隊の車両も停車する。レナート中佐は車内に戻って操縦士のザハールに停車した訳を聞いた。

《車長・・・前に人が、生きた人がいます》

「何?」

私が見た時は死体しかなかったがと思いながらもう一度ハッチから顔を出して前を見てみると、そこには確かに生きた人がいた。

「なっ⁉︎」

しかも全身血まみれであちこち怪我しているが、五体満足で立っている。まさかこの地獄の中、生き残りがいるなんて!と言う驚きでレナート中佐はしばらく固まっていたが、突然力尽きたようにその場に倒れてしまったのを見てレナート中佐は砲塔から地面に飛び降りて倒れた人を抱き抱えた。

「おい、大丈夫か⁉︎」

返事はない。レナート中佐は兵員輸送車両部隊の方を向き、叫んだ。

「衛生兵ィ‼︎」


あの後すぐさま衛生兵が治療をしてくれて、今は担架の上に寝かせていた。

「一応治療はしておきましたが、手持ちの医療品だけでは何とも・・ちゃんとした所で治療する必要があります」

「分かった、ありがとう」

報告に来た衛生兵に礼を言うと、衛生兵はレナート中佐に敬礼をしてから戻ろうとして止まり、レナート中佐の方に振り返った。

「それと・・・その、左目は・・・何と言うか・・・もう、治らないと思います」

「・・・分かった」

衛生兵はもう一度敬礼をすると足早に戻って行った。レナート中佐はもう一度助けてしまったその人を改めて見た。抱き抱えた時は必死だったので気づかなかったが、高校生位の見た目のこの人は女性だった。しかも人間ではない、頭の上に犬のような狼のような耳と尾骶骨から尻尾生やした獣人だった。

「車長、どうします?」

戦車から降りて来たザハールが聞いて来た。レナート中佐は女性、と言うにはまだ幼い獣人を見ながら考え、そして自分を自嘲するかのように笑った。

「全く、俺は最低な人間だな。今まで散々人を殺して来たのにこいつは助けるなんて・・・。おい、こいつを乗せるスペースはあるか?」

さっきの衛生兵が載っていたの搭乗員に聞いた。

「ぎゅうぎゅう詰めだが入るぜ」

「なら乗せてやってくれ。王宮で捕虜としてヘリに乗せて病院に搬送させる」

「Да《ダー》、お前らぁ!怪我人を乗せっからもっと詰めろぉ!」

レナート中佐は「すまんな」と言って自分の戦車に戻った。

「さて、色々やってたら遅れてしまったな。他の戦車中隊に追いつくぞ!中隊、前へ!」

ギュイイイィィィィン!とディーゼルエンジンが唸り、T-72Bが再び動き出す。ここの死の大通りを道なりに進んで行けば王宮に行ける。

《車長、どうやら空挺部隊が王宮に降下を始めたようです》

王宮の周りには65機の大小様々な輸送ヘリと30機の攻撃ヘリが蜂の大群のように飛び回っており、輸送ヘリからは空挺兵が次々と王宮に降下して行っている。

王宮は庭や隣接する建物などを合わせるとかなりの大きさのを誇り、近くには上位貴族の暮らす豪邸が所狭しと並んでいる。空挺部隊の目標は王宮の制圧とアレウト国国王の確保もしくは殺害。そして上位貴族の確保または殺害。

「俺達も急ぐぞ!」



先にMi-24VとMi-24Dで王宮に侵入した先行部隊が王宮の屋上を制圧してくれたお陰で後から来た空挺部隊は安全に王宮に降下していた。バリスタや投石器、大砲といった対空兵器になり得る物はMi-28DとMi-35MとMi-24VPからなる30機の攻撃ヘリ部隊がミサイルやロケット弾、機関銃や機関砲で攻撃し無力化した。そしてミサイルなどがまだ残っている機体はなおもヘリに攻撃して来ようとしている兵士をひき肉にする。

ダヴァイ(行け)ダヴァイ(行け)ダヴァイ(行け)!」

屋上に舞い降りた空挺部隊はラペリングなどで王宮内に窓やステンドグラスを破りながら突入して行く。室内に侵入した空挺部隊は素早くロープを外し前後左右を警戒しながら廊下を進む。部屋と言う部屋に手当たり次第突入して行き、次々と制圧して行く。順調に進んでいると思っていたが次に進もうと曲がり角を曲がると廊下にベットやタンス、椅子や机などを乱雑に置いて即席のバリケードが作られてあった。そしてそのバリケードを盾に親衛隊や兵士からなる防衛部隊待ち構えていた。


「敵だ!」


廊下で激しい戦闘が始まった。親衛隊や兵士は弓矢や魔法で攻撃し、空挺部隊の隊員達はAN-94やAEK-971で応戦。空挺部隊が足止めを食らったかの様に思われたが別の所から侵入していた別の空挺部隊がバリケードの裏に回り込み攻撃。逃げ場の無い廊下で前後から挟まれた防衛部隊は全滅。他の場所でも同じように王宮の防衛部隊と激しい戦闘が勃発したがあちこちに侵入した空挺部隊に対応できず各個撃破されて行った。地上からの侵入に備えていた王宮の防衛部隊は当然の空からの侵入に対応出来ず初めから王宮内に居た必要最低限の戦力しか空挺部隊に対応出来なかった。防衛部隊次々と倒されて王宮内は上から徐々に空挺部隊によって占拠されて行く。しかし上階にある玉座の間は守りが堅く、なかなか占拠できないでいるが占拠されるのも時間の問題であろう。


《上階の占領はほぼ完了しつつあり。ただし玉座の間は魔術師と近衛兵の激しい抵抗により膠着状態になっています》

「ラペリングで窓から王座の間に直接突入して制圧しろ。外の状況はどうだ?」

《上位貴族は我先にと逃げ出しており、今それを追っているところです》

「1人と逃すな、足を撃ってでも捕まえろ。最悪殺しても良い」

Да(ダー)

王宮の外では豪邸から逃げ出した貴族が空挺部隊と追いかけっこをしていた。当然まともに運動もしていない貴族が百戦錬磨の空挺兵から逃げれる訳がなく、しかも発砲許可も出ており、殺害もやむなしと言われているので容赦無く足や体を撃ち抜く。

「動くな!両手を頭の後ろにやれ。大人しく投降すれば命は取らない」

壁に追い込んでAEK-971SやAN-94を構えた空挺兵が豪華で煌びやかな服を着た貴族達に言う。大半の人は両手を頭の後ろにやって大人しく投降したが、空挺兵の隙をついて若い男が若い女の手を引いて逃げ出した。

「止まれ!止まらないと撃つぞッ‼︎」

銃と言う物を知らないこの世界の人達は、銃口を向けられても恐怖心を殆ど抱かない。なので今の2人組のように「逃げれるかも!」と思って逃げ出す奴がいるが、無知とは怖いものだ。ババッ!とAN-94から毎分1.800発という凄まじい連射速度で2発の5.45×39mm弾が撃ち出される。AN-94は最初の2発だけが毎分1.800発という高速で撃ち出す特殊な構造の銃で、バーストで撃てば安定して2発の弾丸を撃ち出すことができる。ほぼ同時に撃ち出された2発の弾丸は男の腹に命中、男は短い悲鳴を上げて倒れた。素早く照準を女に向け発砲。倒れた男を気遣ってしゃがんだのが運の尽き、2発の弾丸は女がしゃがんだことにより狙いがずれ、運悪く首の大動脈に当たった。ガハッと声にならない声を出して倒れた女は首に開いた穴を手で押さえるが大動脈から出てくる血の量は半端ではない、ドクドクと流れ出る血はすぐに血の水溜りになる。

「ごっ・・!がぼっ・・‼︎ゴボッ・・・か・・はっ・

・あがっ・・だ・・げぼぉ・・・」

息をしようとしても穴の開いた大動脈から溢れ出てくる血によって上手く呼吸ができなくなる。女が息をしようとする度に口と穴の開いた首から大量の血が出てくる。彼女は血で溺れているようなものである。他の貴族達の見せしめの為、わざととどめを刺さずそのままにしておく。

「他にこうなりたい奴はいるかぁ⁉︎」

AN-94の銃口を空に向けてバーストで撃つ。彼女の踠き苦しむ姿を見た貴族達は恐怖し、銃声を聞き悲鳴を上げた。これで大人しく投降してくれるだろうと思ったが、違った。彼らの友達なのだろうか、彼らと同じくらいの年齢の男が「よくもアディオとシャリスティアを!」とか言って隠し持っていたナイフで2人を撃った隊員を殺そうとしたが、勿論AN-94で頭をぶち抜かれて死んだ。それからは貴族達は大人しくこちらの言うことを聞いてくれた。

「こちら第635独立空中襲撃大隊。 上位貴族10名を確保、しかし3名を已む無く射殺。以上報告終わり」

《了解、引き続き貴族確保の任務にあたれ》

時同じくして、ラペリングで外から浸入された玉座の間も制圧されそこにいた国王を捕まえた。さらにしばらくすると、戦闘車両部隊が次々と正門から中庭に入って来た。戦車の後ろにいたBTR-82とBMP-2からロシア陸軍兵士が次々と降りて行く。敵兵は殆どいなかったので簡単に王宮の周りの庭などは全て制圧された。

「王宮周辺の庭の制圧を完了」



一方その頃、この国の国王は魔動飛行船内に居た。王宮から伸びる長い地下道の先には魔動飛行船と呼ばれる莫大な魔力を使い空を飛ぶことが出来る船が森の中に隠されたドックに置いてあった。


「出航準備急げ!準備でき次第直ぐに出るぞ!」


「国王は対魔法室に避難させろ!」


この船の中央部にはあらゆる魔法を無力化する魔法陣を四方に張り巡らした部屋、通称「対魔法室」と言うのがある。対魔法室は船内に敵が侵入して来た時に備えて作られた部屋で、そこらの魔術師の魔法攻撃程度ではビクともしない。ただこの部屋は内装が未だ未完成で室内は灰色という国王様の部屋とは思えないものになっていた。

この船も今回のように首都、最悪王宮が敵対勢力などによって占領された時に国王を逃がす為に作られた特別製だ。


「ハルラース国王!危険ですので何があってもこの部屋から出ないで下さい!」


「分かっておる!それより出航を急がせろ!」


「はっ!直ちに!」


対魔法室から出た船員は部屋の前で待機している近衛兵達の隊長に頼んだ。


「人手が足りないんだ手伝ってくれ!」


船の乗組員からの頼みに近衛兵の隊長は少し悩んだ。


「さっさとしないと飛ぶ前に奴らに追いつかれてしまう!」


「・・・分かった。必要最低限の人数だけここに残して後は出航の準備を手伝え!」


魔動飛行船内は慌ただしくなり、乗組員の人達が走り回り出航準備を急ピッチで進める。しかし国王を連れて慌ててここに来た為、船の準備に必要な人数が足りていなかった。なので船乗組員だけでなく国王を護衛して来た兵士や近衛兵も一緒に準備を手伝っていた。そのせいで周囲の警戒をする人はほとんど居らず、タラップを使って船内に侵入して来た奴らに気づいた者は居なかった。


対魔法室に用意された豪華絢爛な椅子に座った国王は王宮からここまで走って来た為息切れしていた。


「くそッ何者なんだ奴らは!」


正体不明の攻撃で城下町などは火の海になり、正体不明の武装勢力と正体不明の空飛ぶ怪物によって高い防衛能力を持っていた筈の王宮はあっさりと占領されてしまった。国王自身もここに投げてくる際に遠目からだが奴らを見た。見たこともないような服を着て黒い棒のような物を構えていた奴らは呪文の詠唱もせずに高威力の攻撃を連続で出し、熟練の近衛兵達をバタバタと倒して行った。


「一体相手は何者なんだ⁉︎そもそも人なのか⁉︎」


国王が自問自答していると部屋のドアの前からゴトッガタッと何か重いものが落ちる音が微かに聞こえた。国王と共に部屋にいた近衛兵4人がドアに近づき外にいる筈の仲間に向かって声をかけた。


「どうした!」


「・・・・・」


しかし返事は返って来ない。だがドアの向こう側から何か物音は聞こえて来る。


「返事をせんかい!」


国王がそう叫んだ瞬間、ドアが爆発した。それもド派手に。ドアの近くにいた近衛兵1名はその爆発に巻き込まれ即死。魔法だけでなくある程度の物理攻撃にも耐えきれる筈のドアが木っ端微塵に吹っ飛んだ。残りの近衛兵達が剣を抜きいつでも戦えるように構える。しかし爆発から数秒後に入って来たスペツナズ(特殊任務部隊)の隊員が素早く照準を近衛兵の頭に向けて発砲。サプレッサーにより軽減された発砲音が鳴り近衛兵達は一度も剣を振ることなく死亡。対魔法室に突入したクリアーナは爆発に驚いて明日から転げお落ちていた国王に素早く銃口を向けた。


「ハルラース国王!大人しく降伏しろ!降伏すれば命は奪はない」


「わっわ、わ、分かった!降伏する!降伏するから殺さないでくれ!」


両手を挙げた国王にスペツナズの隊員が近づき国王を素早く拘束する。その様子を見ながらクリアーナは作戦司令本部に連絡した。


「こちらスペツナズ、国王の身柄を確保」


《了解、そちらに迎えのヘリを向かわせる。着陸地点を確保せよ》


Да(ダー)




同時刻、ロシア軍総合司令基地作戦指令本部。佐藤の秘書兼副官であるカチューシャが佐藤に報告した。

「司令、準備が整いました。ヘリも用意できております」

「意外に早かったな。分かった行こう」

佐藤は椅子から立ち上がると作戦指令本部を後にした。廊下を移動中、何時もの口調に戻ったカチューシャが話しかけて来た。

カマニディール(司令)、一応これを持っておけ」

そう言ってカチューシャが佐藤に渡したのはホルスターに入ったグロック17に似てなくもない拳銃、ストリジェ拳銃だ。最近作られたロシア製の最新型拳銃で、良くも悪くもロシアらしさが薄れた拳銃だ。

「護身用にってか?」

佐藤はホルスターを腰らへんに付けると上着で隠した。

「我々がカマニディールを守るが、もしもの時の為にな」

外に通じるドアが目の前に現れた。カチューシャがそのドアを開けると、凄まじい風とエンジン音、そしてローターが高速回転する音が聞こえて来た。

「スパーハインドMk.V(マークファイブ)!まさかこの目で見れる日が来るなんて!」

Mi-24/35Mk.Vスーパーハインド。南アフリカがMi-24を元に作った改良型、と言うか魔改造型。徹底的にアップデートが図られており、性能は飛躍的に上がっている。その漆黒の機体のそばで立っているドットサイトを付けた9A-91アサルトカービン銃を持っている6人の兵士は佐藤を護衛する為に編成された武装親衛隊だ。佐藤は開けられていたサイドドアから兵員用のキャビンに入った。それに続いて武装親衛隊もヘリに乗り込んで行く。サイドドアが閉まりスーパーハインドMk.Vは佐藤を乗せて離陸した。別の場所から離陸して来た護衛ヘリのKa-52アリガトール攻撃ヘリ4機がスーパーハインドMk.Vを囲むようにして飛行する。


約45分後、アレウト国シナタ地区上空。スーパーハインドMk.Vはアレウト国上空を我が物でゆっくりと飛行して王宮に向かっている。

「間も無く王宮です」

前を見てみると無駄にでかい王宮が見える。王宮のあちこちから細長い煙が上がっており、戦闘の激しさを伺える。武装親衛隊達が9A-91アサルトカービンのコッキングレバーを引いて弾を装填する。俺も服の乱れがないかもう一度確認する。スーパーハインドMk.Vは王宮内に入ると機体の左側面を王宮に向けて王宮前の戦車や歩兵戦闘車が並ぶ中庭に堂々と着陸した。中庭で佐藤司令の到着を空挺部隊代表として待っていた第31独立親衛空挺旅団の第116独立空中襲撃大隊大隊長が左側面のサイドドアをゆっくりと開けた。先に武装親衛隊が降りて危険がないか確認し、その後から佐藤司令と秘書兼副官のカチューシャが降りて来た。第116独立空中襲撃大隊大隊長は佐藤司令に敬礼すると今現在の王宮内の状況を報告した。

「お待ちしておりました。カマニディール。現在王宮は我が空挺部隊が完全に制圧しており、王宮周辺もほぼ制圧が完了しております」

「良くやった同志よ。流石空挺部隊だな」

「お褒めいただき、感謝の極み」

佐藤は王宮のドーム型の屋根の上に立ってはためいているアレウト国の国旗を見て言った。

「あの国旗を落として、我々ロシア連邦の国旗を上げろ」

Да(ダー)!」

第116独立空中襲撃大隊大隊長は敬礼をすると部下達に国旗を立てるように指示する。佐藤はまるで我が家に帰って来たかのような態度で王宮内に堂々と入って行く。大隊長に案内されて来たのは最後の最後まで敵兵が守り切ろうとしていた玉座の間だった。佐藤は玉座の間に入るとアレウト国王用に用意されていた黄金の椅子に佐藤は座ってニヤリと悪役がしそうな笑顔を作った。

「ここは我々がが占領した。ここは今から我がロシア連邦のものだ!」

佐藤司令がアレウト国の占領を宣言したのと、王宮の上にロシア連邦の国旗が立てられたのはほぼ同時だった。

なんか変な終わり方になってしましましたね。すいません。一応これでアレウト国侵攻はひとまずおしまい。次回はまた自衛隊のお話に戻ります。

そして今回挿絵を描いて下さったマーラントさん、本当にありがとうございます!

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