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15/19

14:火種

なろうよ、私は帰って来たぁーーッ‼︎

と、言うことです皆さんお久しぶりです!そしてあけましておめでとうございますm(__)m(もう2月だけど)やっと投稿することができました。こんなに長い間お待たせしてしまって本当にすいませんでした。

イギリス軍とドイツ軍がベルマ軍と大規模な戦争をしている頃、自衛隊・アメリカ軍は別の厄介な敵と戦っていた。自衛隊基地とアメリカ軍基地、直線距離で約1000キロを結ぶ長距離鉄道、その名も「三千里鉄道」。この鉄道を建設するにあたって1番の問題になっているのがちょうど中間地点にある現地の人がセマスファの森と呼んでいる大きな森だ。鉄道の通過地点になるこの森にはエルフが住んでいると予想されており、森を壊す行為をする自衛隊やアメリカ軍にエルフ達が敵意を向けるのは目に見えていた。しかしこの森を迂回して鉄道を建設することは不可能なので、自衛隊総司令官如月とアメリカ軍総司令官長谷川は「鉄道建設の為ならエルフとの戦闘もやむなし」ということで意見は一致。早速セマスファの森へ侵攻・・はしなかった。まずは自衛隊とアメリカ軍の代表者達がエルフ達の説得を試みた。しかしエルフ達は予想通り自衛隊とアメリカ軍に反発、交渉は決裂した。その3回後、アメリカ軍と自衛隊はエルフ殲滅作戦を遂に決行。セマスファの森へ侵攻を開始した。最初は歩兵部隊だけで何とかなると考えられていたが、そんな簡単な話では無かった。エルフ達にとってこの森は自分の庭いや、部屋同然だ。地の利は完全にエルフ側にあり、エルフの人間離れした身体能力も相まってどこから現れるか分からないエルフ相手に陸上自衛隊とアメリカ陸軍歩兵部隊は一方的に蹂躙されていた。さらにセマスファの森にはエルフだけではなくハイエルフまで暮らしており、強力な魔法攻撃も受けていた。陸上自衛隊の普通科部隊は一部を除きこれ以上の戦力の消耗を恐れ前線をアメリカ陸軍に任せ撤退、アメリカ陸軍も新たにM2ブラッドレー歩兵戦闘車などを投入し必死の攻撃を仕掛けたが効果はいまひとつだった。この状況を打破する為に両軍は第2の作戦、「operation Smell of Napalm」を決行しようとしていた。

午前9時00分。 3月3日分、セマスファの森。セマスファの森侵攻作戦の為に作られた特別編成部隊の1つ、第2 エルフ鎮圧旅団隷下の第1普通連隊 第3普通科中隊 第2普通科小隊に所属する田中1等陸士は高機動車(II型)のタイヤを背もたれ替わりにして89式小銃を抱えて地面に座っていた。少し地面が湿っていたので一瞬服が汚れることを気にしたが今着ているのはバリバリの戦闘服である迷彩服2型だし、もう既にこれ以上汚れようがないほど泥や血などで汚れていたので気にしない。ぼーっと木々を眺めていると隣に誰か座った。井上3等陸曹だ。

「井上 三曹、本部との連絡はつきましたか?」

田中と井上3等陸曹は古い付き合いで、上官と部下と言う関係にありながら2人はとても仲が良い。

「無線機の調子が悪いからなのか、ここが密林だからなのか・・・何度か本部に呼びかけてみたが応答無し」

それを聞いた田中はうんざりしたような顔をしてため息混じりに言った。

「つまり自分達は敵地のど真ん中で孤立してしまった訳ですねぇ」

「そう言うことだな・・・タバコ残っているか?」

田中は無言で胸ポケットからOD一色のプラスチック製の長方形の箱を取り出した。その箱には「戦闘煙草」と書かれてあった。箱の蓋をあけると既に開封された銀の袋にタバコが五本入っていた。このタバコは面白いことに持ち手の部分が陸自迷彩の柄になっている。一本取り出し、井上3等陸曹に渡した。井上3等陸曹がタバコを咥えたのを確認した田中がジッポーライターで火をつけてあげようとすると井上3等陸曹は首を横に振った。

「火はいらん」

田中はジッポーライターをポケットにしまいながら聞いた。

「今は昼間ですし火で見つかる事は無いんじゃないですか?」

井上3等陸曹は火のついていないタバコを咥えたまま答えた。

「臭いだよ、奴ら身体能力だけじゃなく鼻も良いみたいだしな」

「へぇ、そうなんですか」

と言うか何でそんなにエルフのことに詳しいんだろうと田中が疑問に思っているとそれを察したのか何も聞いていないのに井上3等陸曹は知っている訳を話し出した。

「捕虜として捕まえたエルフ達の見張りをしていた時に少し離れた所でタバコ吸ってたらエルフ達が煙たそうにしたり咳き込んだりしていたから、もしかしたらと思ってな。あん時エルフ達との距離は25メートルはあったはずだから普通は咳き込むほど臭わないはずだろ?」

「まぁ確かに」

と言っても自分達の吸うタバコの匂いがどこまで届いているかなんて今まで気にしていなかったので本当にそうなのかは2人とも分からなかった。が、井上3等陸曹の考えは正しかった。エルフもハイエルフも人間離れした身体能力を持つが身体能力だけでなく五感も人間より遥かに優れていた。

「小隊、集合!」

この小隊の小隊長を務める吉村1等陸尉の声が聞こえて来た。田中は89式小銃のハンドガードを握ると89式小銃を杖代わりにして立ち上がって吉村1等陸尉のいる所に早歩きで向かった。小隊全員が集まったのを確認した吉村1等陸尉は後ろで手を組んで話し始めた。

「たった今本部と連絡が取れた」

それを聞いた田中達はこれでやっとここから撤退できると思い騒ついた。

「今から約4時間後の午後1時に、ここも含めた周辺のエルフ生息地域と思われるエリアに大規模な爆撃をするらしい。なので我々はまず安全圏まで退避する必要がある。退避が完了した後は迎えのヘリで我々は戦線から離脱する。何か質問はあるか?」

田中も含め誰も質問はしなかった。それを確認したさは話を続けた。

「我々は度重なる戦闘で体力も弾薬もかなり消費している。しかし、諸君らにはもうひと頑張りして欲しい。弾が余っている者は不足気味の味方に分けろ、最後の力を振り絞れ!必ず全員生きてここから脱出するぞ!」

田中達第2普通科小隊10名全員が吉村1等陸尉に向かって敬礼をし、「「了解‼︎」」と疲れを感じさせない返事をした。

「各員移動準備!」

隊員達は早歩きでそれぞれ荷物の置いていた場所に戻ると武器の点検や装備品の有無の確認などを手早く済ませて行く。田中も高機動車(II型)の側に置いていたリュックから予備マガジン2つ、取って置いたM26手榴弾2個、M84閃光発音筒3個を取り出し手榴弾を防弾チョッキに付いているポケットに突っ込んだ。予備マガジンは既に田中は弾倉入れに2本入っていたので1本は自分が持ち、後の1本は弾が少ないと言っていた他の隊員に渡した。88式鉄帽の顎紐をきつく結び直し、リュックを背負って89式小銃を手に取った。マガジンを一度外し弾が入っているのを確認、もう一度マガジンを入れてコッキングレバーを引き、セーフティーレバーが「ア」から「タ」に変更した。9mm拳銃も安全装置はかけたままだがスライドを引き弾は装填しておき、ホルスターに入れた。

「残弾は大丈夫か?」

田中の肩を叩き、井上3等陸曹が聞いてきた。田中は弾倉入れを叩きながら言った。

「予備弾倉は3つあるので大丈夫です。井上3曹は大丈夫なんですか?」

「あぁ、平野から分けてもらった」

2、3分ほどで準備は整い第2普通科小隊以下11名は移動を開始した。


セマスファの森から西に500キロ地点、この平原にはアメリカ空軍がセマスファの森侵攻の為に急ピッチで作った前線基地、「フェアリー」がある。急ピッチで作ったと言ったが滑走路は芝生などではなくアスファルトで舗装されたちゃんとした物で、ハンガーもあれば燃料庫や弾薬庫もあり、兵舎などもあるちゃんとした飛行場だ。そのフェアリー空軍基地のエプロンには現在、A-10AサンダーボルトIIとA-10CサンダーボルトII合計25機とF-15Eストライク・イーグル18機が3列にズラリと並んでいた。既に爆装を完了している機体達は出撃の瞬間を今か今かと待ち受けていた。

「壮観だな」

「A-10とストライク・イーグルがこんなに集まる事は普通無いですからね」

悠然と並ぶA-10とF-15Eを歩きながらを見ていたアメリカ軍の総司令官長谷川と秘書のヘレン・ブラウンはその光景に圧倒されていた。

「ほぼ全ての機体にコマンダーの命令通りナパーム弾を装備しました。これであのエルフどもを焼き払うことができますよ」

長谷川の命令でほぼ全てのA-10とF-15Eには航空機投下用ナパーム弾、通称「ナパームB」を大量に搭載していた。ベトナム戦争の時のように森ごとエルフを焼いてしまおうと言う考えなのだ。

「B-52には予定通りモアブ(MOAB)を?」

「はい、少々強引にですがB-52の主翼下のパイロンに計2発。数の問題でモアブが搭載出来なかった機にはMk.84かナパームを装備しています」

長谷川は順調に準備が整いつつあることを確認し頷くと、次に陸軍の方の状況を聞いた。

「現在セマスファ陸軍基地で攻撃ヘリ部隊の出撃準備を行っているところで、もう暫く時間がかかるとのことです。機械化歩兵部隊の方は既に準備が整っています」

「よし、全て順調だな。森にいる歩兵部隊は全て退避したのか?」

仲間を爆弾やナパームで焼いてしまうと言うのは出来るだけ避けたいと思っていた長谷川は3日前からこの大規模攻撃のことを現地にいる歩兵部隊に知らせていた。

「連絡の取れた部隊は全て爆撃予定地点からの退避を完了しています。しかし一部の部隊との連絡がつかず、消息が分からないのもあります。JSDFの方でも同じような消息不明の部隊がいくつかあるみたいです」

「やっぱり全ての部隊の完全退避は無理か・・・」

そう言いながら長谷川は白い雲の浮かぶ水色の空を仰ぎ見た。

「現在JSDFと共同でペイブ・ホークやドルフィン、ラコタなどのヘリや航空機を複数機飛ばして行方不明者を捜索しており、今までに18人もの兵士を発見、救出しました」

自衛隊はアメリカ軍よりも早く行方不明になった隊員を探す為の捜索部隊を編成し、U-125AやUH-60Jなどを使って捜索活動を行なっていた。そのすぐ後にアメリカ軍もHH-60G ペイブ・ホークやHH-60W、HH-65 ドルフィンやUH-72Aラコタなどを使った大規模な捜索活動を行なっていた。

「で、連絡がつかなくて退避も確認できていない部隊は あとどの位あるんだ?」

「第2歩兵師団第2旅団戦闘団所属の第17歩兵連隊第1大隊と第2歩兵師団第1旅団戦闘団所属の第23歩兵連隊第1大隊第1中隊、JSDF所属の第2普通科小隊と第3普通科中隊。そして戦闘中に部隊から逸れて行方不明になった隊員両軍合わせて35人です」

「結構いるな・・・いや、まだ少ない方なのか?どちらにせよ、俺は彼らに爆弾が当たらないことを祈ることしかできないんだがな・・」

爆撃開始予定時刻まであと2時間と45分。


航空写真を元に作られた地図を頼りに密林の中を進むこと約15分、第2普通科小隊以下11名を乗せた高機動車(II型)はゆっくりと、しかし確実に目的地へと進んでいた。後部座席に座る9名の隊員達はいつ敵が来ても良いように全方向を警戒していた。

「・・・・怖いくらい静かだな」

89式小銃を両手に握りしめて窓から外を警戒していた井上3等陸曹が隣にいる田中に言った。

「もしかして罠だったりするんですかね?」

「さぁな。エルフさんに聞いてみてくれ」

井上3等陸曹はさっき田中から貰ったタバコを胸ポケットから出すとまた火をつけずに口に咥えた。

「森自体はこんなにも綺麗なんだけどねぇ・・戦争してなかったらピクニック気分で散歩しているところだよ。んで木下で涼みながらカンメシを食うんだよ」

「何でピクニックにカンメシなんですかwピクニックだったら普通自分で作ったサンドイッチとかでしょ」

近くで話を聞いていた別の隊員が井上3等陸曹に突っ込みを入れた。それに田中が答える。

「井上3曹は手料理出来ないですもんね」

それを聞いて何かを思い出したのかまた別の隊員が反応した。

「あ〜!そう言えば前井上3曹が卵焼のような何かを作っているのを見たことある!」

「あ、それ俺も見たぞ。発煙筒並みの煙を出して慌てていた」

「発煙筒ってwふふふっww」

い井上3等陸曹は少し恥ずかしそうにしながら話を無理矢理中断させた。

「うるせぇ、お前ら黙って周囲警戒してろ」

「「りょ〜かい」」

その時だった。前方から淡い青色の粒子を帯びた矢が弾丸のような速度で飛んで来た。矢は助手席に座っていた吉村1等陸尉めがけて飛んで来たが、この高機動車(II型)は防弾ガラスと防弾板の車内への付加などの改良が行われた国際任務仕様の物なので矢は防弾ガラスに阻まれ吉村1等陸尉を貫くことは無かった。蜘蛛の巣状にひび割れた防弾ガラスを見た運転手は叫んだ。

「敵襲ーッ‼︎」

吉村1等陸尉は舌打ちをすると指示を飛ばした。

「構うな!走り抜けろッ‼︎」

機動車(II型)が一気に急加速し襲撃を掛けて来たエルフ達から逃げようとするが、何処からともなく飛来して来た青白い火の玉が高機動車(II型)の周辺に着弾し爆発、高機動車(II型)は爆煙の中に消えた。

どうだったでしょうか?この対エルフ戦はもう少し続く予定です。お楽しみに。そしてこの対エルフ戦が終わると戦いの場はまたイギリスとドイツに戻ります。お楽しみに。


そしてこれはちょっとした報告なんですが、知っている方もいるかもしれませんがこれとは別に私がが書いて見たかった架空航空戦記小説「蒼空の彼方へ」を投稿しました。興味のある人は見て行って下さい

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