12:ベルマ人絶滅作戦
最近風邪をひいてしまいました。まぁそこまで酷くはないんで直ぐに治るとは思いますが。最近寒くなってきましたね、皆さんもお体には気をつけてください。そして投稿が遅くなってしまい本当にすいません。
「ここはドイツでも、ヨーロッパでもない。異世界と言う人類未踏の地だ。しかし異世界だろうが地獄だろうが栄えある我らドイツとしての、偉大なるドイツ人としての誇りは変わらない!かつての宿敵イギリスは今では我らの頼れる戦友だ。彼らと我々を結ぶ道を我らの手で切り開くのだ!東に進撃せよ!ベルマとか言うよく分からない国は抹殺せよ!我々の進軍の邪魔者には、死を‼︎」
この世界に転生し、ドイツ連邦軍の総司令官となった鈴木蓮のこの演説で始まったベルマ国侵攻。全ドイツ連邦軍にベルマ国侵攻作戦、「黄色作戦」の命令が下った。
まず第13装甲擲弾兵師団がベルマ国本土の前にある要塞に攻撃を仕掛けた。最初こそ敵の圧倒的な物量に押されていたが、後から増援に駆けつけたドイツ空軍とイギリス海軍、そしめ戦車部隊により要塞は3日で陥落。要塞が陥落したことにより空いた穴から戦車を中心とした本土侵攻部隊が侵入、要塞後方にあるベルマ軍防衛線を食い破って行き約2日でベルマ軍部隊は総崩れを起こした。北西にあるプロゼン地方から侵入した第10装甲師団がマナリ山を通っていると撤退中のベルマ軍に遭遇、山岳戦が始まるが約3時間で終了。そのまま第10装甲師団はベルマ国の首都であるシャラワに侵入、シャラワ市街地戦が始まる。ドイツ・イギリス空軍のタイフーン多用途戦闘機とトーネードGR4戦闘攻撃機による大規模空爆によりシャラワにいたベルマ軍は壊滅的なダメージを負い、それからはほぼドイツ陸軍による殲滅戦のような状況になる。シャラワ市街地戦は約3日で終了。ベルマ軍主力は早々とシャラワから後退するも、先回りしていたドイツ連邦陸軍の航空機動作戦師団と特殊作戦師団から足止めを食らう。が、ベルマ軍の方が圧倒的に数が多いので物量に物を言わせた戦法で突破した。結局ベルマ軍は東に東にへと数を少しずつ減らしながら撤退を続けているが、西からはイギリス軍が攻めて来ているのでベルマが堕ちるのは時間の問題だった。
ベルマ国チラナ地方、ヴァラウントの森。まるでベトナムの森のように木々が生い茂るこの森の中を1人の少女が歩いていた。いや、正確には彼女は人間では無い。その理由は彼女の容姿を見ればすぐに分かる。頭には髪と同じ栗色の獣耳が付いており、尾骶骨辺からは狐や狼のようなフサフサとした尻尾が生えており、時折小さく左右に揺れている。彼女は人間ではなくウェブルフと呼ばれる種族の娘だ。彼女が森の中何かを探していると元気な男の子の声が少し離れた所から聞こえてきた。声のした方を向いてみるとウェブルフ・・・ではなく普通の人間の男の子が手に何かを持ってこっちに走ってきていた。
「フィナお姉ちゃん、見て見て!大っきな魚取れたよ!」
フィナと呼ばれた少女は男の子が自慢げに持つ未だにピチャピチャと動いている川魚を見ると、男の子の頭を撫でて褒めてやった。
「凄いじゃない!これで今日の夕飯には困らないわね。お手柄よ、シャン」
「えへへ〜」
実際にはこの少し大きいくらいの川魚1匹では足りるわけもないのだが、それは言わないでおく。
「皆んなも魚を釣ってるの?」
「うん!あっちにキレイな川があってそこで皆んな釣ってる!」
どうやらシャンはフィナにこの大きな魚を見せたくてここまで走って来たようだ。
「ねぇねぇ、フィナお姉ちゃんも一緒にしよ!魚釣り!」
「ごめんね、私はまだここで木の実とかを探さなくちゃいけないの」
「えー行こうよ〜」
フィナの服の袖を引っ張って駄々をこねた。フィナは仕方ないなぁと言いたそうに溜息つくとシャンに言った。
「分かった。でも少しだけよ?」
「うん!」
シャンは服の袖を掴んだままフィナを川のある所まで連れて行った。森を抜けるとそこにはシャンの言う通り綺麗な水が流れる川幅の広い川があった。河原にはフィナと同じウェブルフ族の女性2人と屈強な男1人、そしてシャンのような子供達5人が釣りをしたり川の水をかけ合って遊んでいたりしていた。ウェブルフ族の剣を背中に背負った男ーベアがフィナに気づいて手を振る。
「なんか食えるもんはあったか?」
ベアの問いかけにフィナな首を横に振ると、手に持っていた持ち手付きの籠の中を見せた。
「これくらいしか見つからなかったわ・・」
「ま、仕方ねぇな。川魚がある程度釣れたから今日のメシは魚が主になりそうだな」
フィナは少し俯くとベアに謝った。
「ごめんなさい・・・私がこういったことに慣れていれば・・・」
「気にすんな、いきなりこんな野外生活になったんだ無理もねぇ」
ベアは少々荒っぽくフィナの頭を撫でながらそう言った。彼女達は元々ベルマ国の首都シャラワの街に住んでいたのだがつい最近、突如として現れた正体不明の侵略者から逃げる為にこんな山奥にいた。
「ん?」
元々聴覚の良いウェブルフ族の中でも一番耳の良いフィナは、川の上流の方から何か不審な音が聞こえてくるのにいち早く気づいた。しかし音の聞こえる方を見ても見えるのは右に大きくカーブした川と森だけ。
「ん?どうした」
フィナがいきなり川の上流の方を向いたのを不思議に思ったベアが聞いてきた。
「あっちから変な音がk」
「聞こえてくる」とフィナが言おうとした瞬間、突然ババババババッ!と言う空気を叩くような爆音が聞こえてくる。それと同時に、川に沿ってそいつーEC665、ティーガー攻撃ヘリ(UHT)が水面スレスレを飛行しながら現れた。川が右にカーブしているのに沿ってティーガーも右に旋回し派手に水飛沫を巻き上げる。機首を川で遊んでいた子供3人に向けると小翼のハードポイントに搭載してあるM2重機関銃の入ったガンポッドから火が吹いた。左右に計2個搭載してあるガンポッドから放たれた12.7×99mm弾は水深の浅い川に次々と着弾し細長い水柱を立てる。その射線上にいた子供2人に弾が当たりその小さな体は一瞬で肉片に変わった。射線上にいなかった1人はウェブルフ族の女性に抱きかかえられて川から退避していた。突然のことに呆然としていたフィナはベアの叫び声で我に返った。
「フィナ!早く森の中に逃げるんだ‼︎」
ティーガー攻撃ヘリは一度フィナ達から離れると、高度を上げて機首を河原にいるフィナ達に向けた。
「クソッ逃げるぞッ‼︎」
ベアはフィナの手を掴むと森に向けて走り出した。同時にティーガー攻撃ヘリが撃ってくる。狙われたのは川にいた子供を助けたせいで逃げ遅れていたウェブルフ族の女性だ、必死に走っていたが弾丸から逃げれる訳もなく背中に弾を食らった。さらに女性の体をいとも容易く貫通した弾丸は抱きかかえられていた子供にも命中し、2人とも先程の子供も同じく一瞬で肉片となり女性の頭が宙を舞った。ティーガー攻撃ヘリは一度銃撃は止めて次の目標に照準を定めようとしたが、さっきの女性を相手にしている間に森の中に全員投げ込んでいた。上から撃とうにも生い茂った木々が邪魔で狙えない。そこでティーガー攻撃ヘリはタイヤに水が被りそうになるほど高度を下げた。ティーガー攻撃ヘリの後部座席に座る副操縦士兼射手はメインローターの上に搭載してある照準装置で森の中を見回す。森の中は薄暗く視界は良くなかったが、この照準装置はFLIR(熱線映像装置の一種)も装備しているので森の中を走って逃げるフィナ達がハッキリと確認できた。しかしこのメインローター上に搭載されている照準装置は元々対戦車ミサイル用なのでガンポッド用として使ううことはできない。だがおおよその場所は分かるのでそこに機銃掃射し、弾の飛んで行く方向をFLIRで確認しながら狙いを微調整していく。
「隠れろ!」
後ろからの攻撃を確認したベアは近くにあった大木にフィナと一緒に身を隠した。直後大木に12.7×99mm弾が次々と命中し、幹が削れていく。
「ぎゃぁ‼︎」
後ろで女の叫び声が聞こえてきた、恐らく声の主は先程の殺されたヴェブルフ族の女性の妹、アネだろう。しかし木が邪魔なので後ろの様子を伺うことはできない。もし木から出たら殺される。フィナはアネの無事を祈る事しかできなかった。
「クソッ、好き勝手しやがって‼︎」
そう言ってベアが木から出ようとした瞬間、また銃弾が近くに飛んで来たのでベアは慌てて木に隠れた。ティーガーからの銃撃により幹の細い木がメキメキと音を立てながら倒れて行く。しばらく木に身を隠していると、ピタリと攻撃が止んだ。そしてティーガー攻撃ヘリのローター音も遠ざかっていった。
「・・・諦めてくれたようだな」
そう聞いてはぁとフィナは安堵して息を吐いたが、すぐにアネの事を思い出し勢いよく立ち上がった。
「アネは⁉︎」
フィナが弾痕の残る森の中を探すと、隠れていた大木から後ろに100メートルほど離れた所にアネらしき人物が倒れているのを見つけた。
「アネ‼︎」
倒れていたのはやはりアネだった。アネは右足が太ももから先が吹き飛んでおり、そこから真っ赤な血がドクドクと大量に出ていた。このままだと大量出血で死んじゃうと思ったフィナは治癒魔法が使える仲間を呼んだ。
「エレナ‼︎いるなら返事して!」
「フィナ!大丈夫だった?」
意外に近くにエレナはいた。呼ばれたエレナはフィナに何かあったのかと思いフィナを心配するが、横で血を流して倒れているアネに気づくと、アネに駆け寄った。エレナはアネの吹き飛んだ右足に両手をかざすとすっと目を閉じた。すると、エレナの手がほのかに光りだした。アネの足の傷口はみるみる塞がっていき、出血も止まった。
「とりあえず傷口は塞いだけど、野営地に戻ってちゃんとした治療をしないと」
「俺が運ぶからお前らは先に行っとけ」
アネを軽々と抱きかかえたベアはフィナ達にそう言った。
「私も一緒に行くわ」
そう言ってフィナは他の人達に「貴方達は先に帰っておいて」と言った。全員頷き、仲間のいる野営地に向かって行く。
「・・・・」
フィナはすぐには動かず、河原に広がる血だまりとバラバラになった死体を無言で見つめた。それに気づいたベアはフィナの肩に手を置いた。
「・・・行くぞ」
そう言われてもフィナは直ぐに動くことができなかった。
「・・フィナ」
「分かってる」
ベアから名前を呼ばれたフィナはやっと歩きだした。
その日の夜、何とか無事に仲間達のいる森の開けた場所にある野営地に戻った。ここにはフィナと同じようにシャラワから逃げて来た人達が集まっていた。皆んなが寝静まった深夜、フィナは眠れずにいた。焚き火の前に体操座りの体勢で座り、焚き火の木がパチパチと小さく爆ぜる音を聞きながらぼんやりと火を見ていた。慣れと言うのは怖いものだなぁとフィナは思った。シャラワからここまで来るときに、フィナ数えきれないほどの仲間やベルマ人の死体を見てきた。最初は人の死体を見るだけで激しい吐き気などに見舞われていたが、今では平気で死んだ人の来ている衣類などから使えそうな物を取ったりしている。でも流石に今日みたいに仲間が目の前で殺されるの光景に慣れるわけもなく、ずっと彼女達の死んだ瞬間が頭の中で再生されていた。
「まだ寝ていなかったのか・・・」
夜回りから帰って来たベアがフィナをみつけて言った。
「あいつらのことを思い出していたのか?」
フィナは何も言わず焚き火を見続けていた。ベアはフィナの横にあぐらをかく体勢で座った。
「忘れろつってもああゆうのは忘れることもできんしなぁ」
フィナは顔だけをベアの方に動かしてベアに質問をした。
「・・・ベアも、こんなことあったの?」
「そりゃ勿論、今だって殺した敵や死んだ味方を夢で見る」
「そう・・・」
「色々考えても無駄だ、疲れているだろ?もう夜も遅いし、さっさと寝とけ。眠れないのなら横になっとくだけでもいいから」
「・・・そうしとく」
フィナは立ち上がると自分のテントのある所に向かった。
「すまんな、もうちょっと気の利いたことを言えたら良かったんだが」
「私は大丈夫、ありがとう」
そう言ってフィナが自分のテントに戻ろうとした時、再びあの羽音がどこからともなく聞こえて来た。フィナは顔を強張らせ、ベアは腰につけていた鞘に手を伸ばす。羽音は急速にこちらに接近して来る。そのことに気づいたフィナは急いで仲間達のいるテントまで行って寝ている人を叩き起こした。
「みんな!起きて‼︎」
「ん〜どうしたんだ?フィナ」
「奴らが来たの‼︎」
まだ寝ぼけている仲間に手短に今の状況を説明する。説明を聞いた人達は顔を真っ青にして急いで逃げる準備をする。寝ていなかった人達は鐘を鳴らして他の仲間にも危険を知らせた。一気に野営地は騒がしくなり大量の荷物を持った人達が我先にと森の中に逃げて行く。しかし、まだほとんどの人が逃げ切らないうちに奴らが来た。猛烈な風が吹き込んで来るのと同時に野営地が昼間のように一気に明るくなった。光の差してくる方を見ると、あの空飛ぶ怪物の顎らへんから直視できないほどの光が出ていた。突然現れた空飛ぶ怪物から照らされたことにより野営地の人達はパニックになった。フィナもこのままだと不味いと思い荷物も持たずに森の中めがけて走る。次の瞬間、野営地の中央にオレンジ色に光る矛のようなものが飛んで来て地面に当たると同時に爆発した。その爆発で近くにあったテントが吹き飛び、燃えたテントが空を舞った。走りながら後ろを振り向いてみると空飛ぶ怪物が少なくとも3匹飛んでいた。
ティーガー攻撃ヘリのパイロットからの報告を受けて逃亡中のベルマ人をMBB Bo 105M(偵察型)ヘリで探しているとたまたま野営地を見つけた。しかも偵察でそこに大勢のベルマ人が屯していたのが分かったので戦術輸送ヘリTTH90 1機と汎用中型ヘリUH-1D 2機による奇襲攻撃が実施された。UH-1Dの両側に搭載してあるロケット弾用発射ポッドM260からハイドラ70ロケット弾が次々と発射される。弾頭はM151と呼ばれる対人・対資材用の高爆発威力弾頭(HE)で、殺傷範囲は50mを誇る強力なものを使っている。UH-1Dに乗る兵士はヘリのドアに装備してあるMG3汎用機関銃やホロサイトを付けたG36A2で逃げ回るベルマ人を撃ち殺していく。
「行け行け行け!」
TTH90が直接野営地に着陸するとキャビンから20人ものドイツ陸軍兵達が次々と出て来てG36A2を構え素早くヘリの周りに展開する。10秒もかからない内にヘリから全員降り、兵士を降ろし終えたTTH90はすぐさま離陸して安全な所まで退避する。
「第1分隊はここの制圧、第2分隊は逃げた奴を追え!」
「「了解」」
第2分隊は返事をすると暗視ゴーグルを付けて真っ暗な森の中に入って行った。第1分隊は逃げ遅れた者または怪我をして動けなくなった者などを射殺してまわる。UH-1Dの発射したハイドラ70ロケット弾の威力は絶大で、設置してあったテントや人間は木っ端微塵に吹き飛んでいた。計76発ものハイドラ70ロケット弾が撃ち込まれたことで、野営地は地獄絵となっていた。女子供の泣き叫ぶ声や怒号で野営地は騒がしくなっている。森に向かって逃げる人達に銃口を向けると躊躇なくその背中に5.66×45mmNATO弾を撃ち込む。するとドミノ倒しのように次々と人が倒れていく。
「や、やめてっ・・・お願i」
足を撃たれてしまい歩けなくなった若い女がドイツ陸軍兵に向かって命乞いをしようとするが、それよりも前にドイツ陸軍兵はその女の腹に弾1発を撃ち込んだ。撃たれた女はガハッ!と言って口から血を流す。
「ころ・・・さ、ない・・で・・」
バン!バン!バン!っと心臓に3発撃ち、最後に虫の息になった女の頭にとどめの1発を撃った。
「テントの中も調べろ、隠れている奴がいるかもしれん」
「「了解」」
運良くロケット弾からの攻撃を免れたテントを一つ一つ調べていくが、どれもこれももぬけの殻だっだ。
「まぁ流石に残っている奴なんかいないよな・・・・ッ⁉︎」
何気なく見たテントの残骸の中から中年の男が小刀をこちらに向けて突進して来ていた。突然のことで反応が遅れ、G36A2を構えた時には刃がそのドイツ兵の腹に深く突き刺さっていた。
「テオ⁉︎クソッ、この野郎‼︎」
近くでそれを目撃した仲間が中年の男の背中に撃とうとするが、弾が貫通して刺されている仲間にも当たる可能性があったので躊躇ってしまう。するとホルスターから取り出したP8拳銃を構えた小隊長が男の背中を撃ちまくった。撃たれた中年の男のは刺された隊員と一緒に倒れた。
「メディクを呼べ‼︎早くッ!」
森の中に逃げ込んだフィナはただひたすら走っていた。少しでも奴らから離れないとと言う気持ちでいっぱいだった。
「フィナ!無事か⁉︎」
フィナより遅れて森に逃げ込んだベアがフィナを見つけると聞いて来た。
「うん、私は大丈夫」
「なら良かった、後ろから奴らが追いかけて来ているからさっさと逃げるぞ!」
フィナが頷いて前を向いた瞬間、後ろから乾いた破裂音が聞こえて来た。それと同時にベアが呻き声を上げた。ベアの方を見てみると、左の肩ら辺から血を流していた。
「ベア!」
「大丈夫だ、俺に構わずお前は走れ!」
「でも!」
「いいからいk」
またあの破裂音、それと同時にベアの腹に人差し指ほどの穴が開き、そこから血がドクドクと流れ出てきた。ベアはふらつくと走っていた勢いのまま転倒した。
「ベア!」
フィナ達のいる場所から後方に200メートル、4倍率のナイトスコープを装着したG3A3を構えたドイツ兵がいた。
「武装した男を排除、女も殺るか?」
《そうしてくれ》
「Ja、射殺する」
倒れた男に何か話しかけている女に銃口を向けた。女の方は狙われているなんて知らずその場を動こうとしない。外しようのない状況だ。そう思いながらトリガーを引いた。が、それとほぼ同じタイミングで突如現れた人が女を抱きつくと女もろとも跡形もなく消えてしまった。弾は女のいた空間を通過して行き当然女には当たらなかった。
「チッ、魔法か」
他の所を見てみると、同じようにいきなり姿を消す人がチラホラいた。しかし全員が魔法使いではない。
G3A3に装備しているナイトスコープを使って他の逃げている人を探した。すぐに必死に走る集団を発見した。その集団に銃口を静かに向け、トリガーに指をかけた。
「 Hab keine Angst vor dem Tod 死を想え、偶然ではない産物を受け留めろ」
目標を照準内に捉えトリガーを引く、この銃の作動メカニズムには、ローラー・ロッキング・ディレイド・ブローバック方式と言う物を採用している。この機構により反動が少なくなり、連射する時でも高い命中精度を保つことができる。弾丸は走っていた男の頭に命中、男は派手に転ぶ。
「Hab keine Angst vor dem Tod 死を想え、誰の許にも平等にやってくるその意味を」
次にその倒れた仲間を心配して駆け寄った男に狙いを付けて、トリガーを引く。胸に命中、しかしふらつきながらも走って逃げようとするので胸に追加で3発撃つ。撃たれた男はパタリと静かにその場に倒れて動かなくなった。
「Hab keine Angst vor dem Tod 死を想え、そして恐れ慄け」
次に子供を抱きかかえて逃げる女の背中に7.62×51mmNATO弾をぶち込む。女は2、3歩ふらつきながら歩いた後、近くにあった木にもたれかかた。女の頭に照準を定め、トリガーを引く。
「Hab keine Angst vor dem Tod 死を想え、そう、我々は死の案内人、Sensenmannである」
次に老婆をおんぶして必死に逃げる若い男。まずおんぶしている老婆を撃つ。老婆は男の背中から落ち地面に突っ伏する。それに驚いた若い男が老婆に駆け寄って来たところでその男に向かって発砲。撃ち出された4発の弾丸は手と胴体に命中、男もその場に倒れこむ。
「Hab keine Angst vor dem Tod 死を想え、Sensenmannは微笑みながらお前の魂を刈り取るだろう」
次に恐怖のあまりその場に座り込んで泣いてしまっている少女に銃口を向ける。
「Hab keine Angst vor dem Tod。死を想え、恐怖しろ、恐れ慄け、絶望しろ」
一撃で殺せるように頭に狙いを定め、引き金を引いた。銃弾は寸分狂わず少女の頭に命中、脳みそを撒き散らしながら少女は倒れた。
「周辺のベルマ人は全て射殺した」
《了解、こっちで合流しよう》
この襲撃によりベルマ人の野営地は壊滅、逃げたベルマ人も18人射殺したが9人に逃げられてしまった。
今回はいつもより長めになりました。色々と突っ込みどころがあるものになってしまいましたね。すいません。なるべく良いものを作っていこうと思うのでこれからもこの小説をよろしくお願いします。




