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4話お勉強

 明け方にトイレで恥ずかしい思いをしたために、朝ご飯はとても気まずい気持ちでいっぱいだよ。お姉さんは私が恥ずかしがっているのが分かっているので、優しく微笑みながら何か話しているけれど、何を言っているのか分からないんだよね。たぶん慰めてくれているのだと思うけど。

 私は今日も動けなかった。頭はゆっくりとなら動かせるけど、それ以外は動くと痛い。特に右半身は激痛が走るの。左側はゆっくりとなら大丈夫だけど、それでも右側も一緒に筋肉が引きつる感じがして痛くなる。

 私は寝たまま、スープやパンを一口づつ口に運んでもらって、時間をかけてゆっくり食べた。でも結局、少し食べただけですぐお腹いっぱいになってしまって、沢山残してしまったの。

 もったいないな。ごめんなさい。

 食事が終わると、お爺さんが何かを持ってやってきた。


「エリナやおまえが動けるようになるのにまだ時間がかかるだろう。これから定期的に治療魔術を繰り返していけば、動けるようになると思うが、しばらくは不自由な生活になる。でも、諦めずにがんばりなさい。」

「いたいのなおる?」

「ああ、治るとも。どうだい?昨日よりは痛みがとれていないかい?」

「ん~。ちょっとだけ。」

「そうか。お薬をしっかり飲んで、治療を続ければ、だんだん痛くなくなると治療師も言っていたからね。お薬は少し苦いかもしれないが、我慢できるかな?」

「・・・がんばる」

「そうか。えらいな」


 お爺さんは痛くならないように優しく私の頭を撫でてくれた。うれしいな。


「おじいしゃん、それな~に?」


 頭を大きく動かせないので、私は目を向けておじいさんが持ってきたものに興味があることを知らせた。


「これは絵本だ。今日からエリナにはこの国の言葉と文字を覚えてもらうよ。俺以外の人ともお喋りしたいだろう?」

「・・・・・・・・・。おべんきょう?」

「ああ、お勉強だ。エリナはお勉強は嫌いかい?」

「おねえしゃんとおはなしできるようになりたい」

「そうか。なら頑張ってお勉強しようか」

「うん、がんばる」


 おじいさんは絵本を開くと、私が見えるように傾けてくれる。そこには椅子の絵と見たことのない文字らしきものが書かれていた。


「これは椅子だ。あ~とちょっと待てよ。勝手に翻訳されてしまうな。」

「・・・・・?」


 おじいさんは何か手を振ったり頭を振ったりしてからもう一度、椅子の絵を指さした。


「#$$%」

「??」


 急におじいさんが分からない言葉を喋ったので驚いたよ。世話をしてくれたお姉さんと同じような言葉だと思う。


「分かったかい?椅子は#$$%だ」

「#$$%?」

「そうそう、うまいじゃないか。じゃあ、次は・・・」


 おじいさんがページを捲ると、そこには机の絵があった。


「机は’&(だ」

「’&ぴ」

「’&(だよ」

「’&(」

「そうそう、発音は比較的大丈夫そうだな。あとは少しずつ覚えていこうか」


 しばらくそのようにお勉強をしていると、私はだんだんボンヤリして眠くなってきてしまった。おかしいな、まだそんなに時間はたっていないのに、頑張らなくちゃいけないのに。


「次はコップだな。コップは=~=だ」

「・・・)~=~。」

「うん?エリナ眠たそうだな。今日はここまでにしようか?」

「・・・ん~。え~り~な~がんばりゅよ。おべんきょうしゅりゅ~」


 頑張ろうとおもうのだが、どんどん思考がぼやけてきて、目蓋がとじてしまいそうになる。


「いいから、おやすみ、まだ体調も万全ではないのだから、無理してはいけない。勉強する時間はあとでいくらでもあるからね。」

「んふ~」

「おやすみエリナ」

「おやしゅみなしゃ・・・」


 もう眠気に逆らうことができなくて、そのまま寝てしまったらしい。目を覚ましたらお昼を少し超えたぐらいで、すぐお昼御飯を用意してくれた。お姉さんがドロドロのスープをスプーンにすくって一口づつ入れてくれる。少し味が薄いけど、昨日より味が分かるよ。


「おいしい」


 お姉さんに私が微笑むと、お姉さんも笑って何か答えてくれて、また一口くれた。早くお姉さんとお話しできるようになりたいな。

 食後、お姉さんはお爺さんが持っていた絵本を私に見せながら、読んでくれた。見開きに物の絵と文字が描いてあるだけなので、お姉さんが読んでいるのがその物の名前だと分かる。お姉さんが読むたびに、それを真似て言葉に出した。早く言葉を覚えたいから頑張る。私が間違えると、何度も同じ言葉を繰り返してくれるので、幾つか覚えることができたよ。

 でも、しばらくするとまた眠くなってしまった。なんでかな。あまり長く起きていられない。私が眠そうにしているのに気づくと、お姉さんは私の頭を撫でた後、布団を肩まで掛けてくれて部屋を出ていってしまった。

 目が覚めると、今度は夕食を食べさせてもらって、お爺さんと少しお喋りをしてまた眠って、そんな風に一日を過ごした。

 その日から毎日朝食の後、お爺さんはやってきて言葉を教えてくれた。私は物覚えが悪いのか、その場ではすぐ覚えてしばらくは繰り返し教えてもらった言葉を言うことができるのだけど、翌日になると、なかなか思い出せなかった。

 お爺さんはそれでも叱ることなく、根気よく繰り返し私に言葉を教えてくれた。お昼ご飯の後は、お姉さんが絵本を枕もとで読んでくれるようになり、忘れかけた言葉をもう一度復習出来た。

 早くお姉さんともお喋りしたいから頑張ってお勉強しよう。ああ、でもまず最初におトイレを何というのか教えてもらわないといけないね。恥ずかしいけど、絶対覚えなきゃいけないよ。あうん、でもどうやって教えてもらおう。おトイレに運んでもらった時に指さして聞く?うう~ん、やっぱり恥ずかしいな。



リーセ「ええっと、解説しまーす」

フェリオー「ねえ、この物語、いやにトイレのシーンが多い気がするけどなんで?」

リーセ「日常生活でトイレのシーンがないのはおかしいと作者が考えているからです」

フェリオー「普通、そこは端折るんではないの?」

リーセ「だから、大の方は端折っているでしょ?」

フェリオー「大って・・・・」

リーセ「ホントは全部赤裸々に書けたらよかったんだけど、そこは自粛したそうよ」

フェリオー「じゃあ、今後もまだあるの?」

リーセ「さすがに成長したら、書けないでしょ?幼児のころだけよ」

フェリオー「ま、そうよね。18禁になっちゃうわ!」


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