表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/383

3.5話アン視点 やってきたお嬢様

補完です

短いので明日もう一話投稿予定です

 私は侍女のアンと申します。バリュッシュ伯爵家の侍女として働き始めてまだ2年目の若輩です。バリュッシュ伯爵家は非常に由緒正しい御家柄です。貴族様としては伯爵は公爵・侯爵に次いで3番目になるそうですが、にもかかわらずバリュッシュ家は非常に高い権威を持っているそうです。その証拠にお屋敷がお城の敷地のすぐそばにありますからね。なぜ、その様なことが許されているのか、私は詳しく知りませんが、

 とにかくそんな素晴らしいお屋敷の侍女として採用されたのは奇跡でしょうね。もちろんそのための努力はしてきたつもりですけどね。お屋敷では良い先輩方にご指導を受けて、最近では責任のある仕事も任せていだたけるようになりました。そんな私ですが、このたび、トロワ先輩と共に専任侍女として担当させていただけることになりました。

 トロワ先輩はわたしより3つ年上で、スラっとしたスレンダーな女性です。茶色い長い髪を紐で縛って、颯爽と歩く姿は、如何にもできる女!で憧れてしまいます。とても物静かな方ですが、とても後輩思いで、憧れの先輩です。

 さて、私がお世話させていただくお方は大旦那様のクーガ様が連れていらっしゃった、まだ3才のお嬢様でした。魔獣が生息するため、人の立ち入ることもないラージュの森でシャークギルに襲われ大怪我をされたところを助けられて運び込まれていらっしゃったのです。

 お城から高位治療師が呼び出され、私共も治療のための準備などで大騒ぎでした。屋敷には高級魔法治療薬がありますので、大抵の怪我ならばたちどころに治ってしまいます。

 治療魔法薬は高級・中級・低級と効果の強い順に希少価値も上がりますので、高級治療魔法薬はとても一般人が手に入れることは出来ません。それを惜しげもなく使用しても完治できないほどお嬢様の傷は重症でした。

 そもそも、この治療薬は大昔にはポーションと言われていたものを改良したものらしいです。ポーションの種類によっては、生きてさえいれば、例え腕が千切れていようが治してしまうような物もあったそうですが、そんな物は今は伝説で、現代にあるのは一番効果が弱いとされるポーションを改良して効果を高めた物だそうです。

 とにかくそのように最高の治療を行ったことで、お嬢様は、何とか一命を取りとめ3日目の夕日が落ちた頃にようやく目を覚まされたと、看護していた準侍女長のミーシャ様が大旦那様をお呼びにいらっしゃいました。


 今は大旦那様とミーシャ様がお部屋でお嬢様とお話をされていて、トロワ先輩と私は扉の外で待機しているのですが、どうも様子がおかしいです。

 しばらくすると、ミーシャ様がお部屋から出ていらっしゃいました。少し眉を潜めて怪訝な顔をしています。


「ミーシャ様、お嬢様のご様子はいかがですか?」

「まだ、痛みがあってひどく辛そうなのだけれど・・・・。」

「?どうされたのですか?」

「言葉がね。分からないのよ。音楽のように奏でるような話し方で、聞いたこともない言葉なの。」


 ミーシャ様は大変博識で、王都近辺の他国の言葉ならば分かるということですが、まったく知らない言葉なのだそうです。


「ずいぶん遠くの異国の方なのでしょうか?なんでラージュの森なんかにいらっしゃったのでしょう?」

「分かりません。でも、大旦那様とはお話しできているようですから、我々はそんな心配しないで、仕事をしましょう。私は大旦那様のご指示がありましたので、これから出かけてきます。たぶん、お嬢様がなにか召し上がるかもしれないからトロワは厨房に行って、水と何か消化の良いものを作ってもらってきてちょうだい。アンはこのまま待機して、大旦那様の指示に従いなさい」

「「はい。承りました」」


 ミーシャ様とトロワ先輩がそれぞれにこの場から離れてしばらくすると、私が呼ばれました。ミーシャ様が予想された通り、水とスープを持ってくるように言われました。さすがミーシャ様、先の先まで考えてご主人様のお役に立てるなんてすごいです。見習わらなければないりませんね。

 部屋を出ると、ちょうどトロワ先輩が水とスープと白パンを運んできたので、そのまま受け取り、すぐ部屋に戻って、お嬢様の元に持っていきます。

 お嬢様は私に気が付かれ体を起こそうされると、苦痛の声を上げられました。まだ、かなり辛そうです。細くてしなやかな薄いピンク色の髪はこの国では珍しい色合いですね。幼いながら驚くくらい愛らしいお顔をしていらっしゃるのに、今は顔色は青く、まだ体中に包帯が巻かれていて大変痛々しいです。

 痛みのため少し目じりに涙が浮かんでいる姿は見ているこちらも辛くなりますが、私はそんなことを気づかれないように注意して笑顔での対応を心がけました。


「お嬢様。無理しないでください。私が口まで運びますから」


 私が、そう言うと、お嬢様は少し首を傾げて、また痛そうにしています。

 私はゆっくりと水の入ったコップをお嬢様の口元に当て、零れないように慎重に傾けると、とても美味しそうに飲んでいただけました。それ様子は痛みを我慢しながらも私にも気を使い、微笑もうとしているのが分かります。

 その後、スープもお運びしましたが、スプーンで2匙程で、疲れたのかもう召し上がろうとはされません。

 何度か私に声を掛けていただいたのですが、子供の幼い声なのにずずやかなメロディーのようなとてもきれいな言葉で私には何を言っているのか全く分かりません。大旦那様とは言葉が通じているようですが、私の言葉はお嬢様には理解できていないようです。

 なぜでしょう?大旦那様がお嬢様に話しかける言葉は私にも分かるのですが?

 お嬢様はしばらくしてお休みになられたため、持ち回りで看護することになりました。

 朝方、お嬢様がご不浄で起きられたとき、言葉が通じず大旦那様に起きていただく羽目になり、それでお嬢様が大変御心を痛められたご様子でした。


お嬢様がまた眠られると、私とトロワ先輩とミーシャ様が大旦那様に呼ばれました。


「アン、トロワ、お前たちでエリナの勉強の手助けをしてやってくれ。」


 大旦那様はお嬢様にこの国の言葉を教えることにしたようです。


「私共がお嬢様の言葉を覚えた方がよろしいのではないでしょうか?大旦那様はお嬢様のお国の言葉をご存じなのですよね?私共に教えていただけないでしょうか?」


 ミーシャ様は知らない言語があったことがちょっとショックだったようです。ぜひ自分も言葉を覚えて、お嬢様のご希望をかなえたいとのことですが、正直他国の言葉を覚えるのは私は苦手です。お隣の国の言葉をなんとか理解している程度の若輩ですので。


「・・・・あ~。お前たちが言葉を理解できてもエリナが言葉を理解できるようにならなければ、今後この国での生活に支障がでる。」

「たしかに、私共がお嬢様の言葉を覚えるよりも効率が良いですが、まだ幼いお嬢様には大変ではないでしょうか?」

「少しずつ、慣らしていくために、アンとトロワが交代で絵本を読んでやってくれ。俺は時間のある時に教師役でエリナに教えるつもりだ。今エリナの言葉が分かるのは俺だけだからな」


 こうして、私共はエリナお嬢様のお世話をしながら、エリナ様に言葉を覚えていだたく手助けをすることになりました。エリナ様は大変聡明で、言葉に関してかなり短期間で習得されていきました。どうも物事への理解力や記憶力は年相応で結構忘れっぽいのですが、言葉に関しては乾いた砂が水を吸い込むようにどんどん吸収されていきます。

 まあ、よく考えれば、これくらいのお年の方なら赤ん坊が言葉を覚えるように、比較的楽に習得できるのかもしれませんね。

 たまに、大人顔負けの話をされることがありますが、いったい誰が教えたのでしょうね。大旦那様あたりが怪しいですが、私からはなにも言えません。


フェリオー「フォロー?エリナにフォローなんて出来る?」

リーセ「え、えっと。本体とは分離して成長を始めるわけでしょ?ちょっとは外交的になるんじゃない?」

フェリオー「まあねー。本体と同じままで人間になったら、あっという間に野垂れ死にそうね」

リーセ「そうそう。成長物語だから、きっと大丈夫。・・たぶん。・・・・きっと・・・・だといいな」

フェリオー「あなただって、自信なさそうじゃない!」

リーセ「だって、あの子、ずっと木に腰かけてボーとしているだけなのよ!何もせずにずーと」

フェリオー「まあ、本体はは女神だから、死にゃしないものね」

リーセ「たまに、移動したかと思ったら、孤児院で子供の振りして世話されてるし」

フェリオー「まあ、3歳児のままだったからね。見つけた人もほっとけないでしょ」

リーセ「成長しないのがバレたら、また場所を移動して、ボーとしているだけなのよ」

フェイオー「あ~リーセ。あなたもフォローしていない」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ