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拒否権無しの国家案件

 ゲーム世界と思っていたのは地球ではない別の世界だった。

 よくある話ですね、わかります。

 

 とか言ってたらスピーカーの1人がキレた。


 『君は国家の重大案件を何だと思っているのかね!』


 いや、知らんがな。


 どうやらゲーム世界は人口減少が激しくてヒトが1種族につき50~200人以下らしい。

 レッドデータブック的にはアウトじゃないですかねと考えてたら即座に金色美女が親指立ててウインクしてくれた。肯定っすか。

 で、このまま滅亡するのも何だかなってことで前から知ってた地球にコンニチワしてみたらしい。いやんばかん、いつから見てたのよ。


 地球人との違いは、髪色と虹彩のバリエーションに食べない・寝ないこと。あとは魔法があって科学技術は地球より進みまくっていること。

 まぁ、別の惑星にアクセスして相手の環境に合わせてネットに自分とこの世界を相互反映させるとか技術力が尋常じゃないわな。

 ヒト種は黄色・青色・赤色に近年目撃情報の無い白色・黒色・虹色の6種だそうな。

 ついでに後半三色持ちは神か悪魔みたいに思われているらすぃ。

 チュートリアルで皆さんが逃げ出した理由が分かりますた。言葉も通じない俺は、現地人に悪魔か何かだと思われていたのね。


 「凹んだ。まぁいいや。どうしてトリップしてるの? 元に戻れる?」


 スピーカーが一斉に沈黙した。

 ぉぃ、マジで落ちるからやめろ。


 「どうしてこの国? 地球侵略しないの? そっちのメリットなくない?」


 沈黙に耐えられず目の前の3人を見ながら質問を追加してみる。

 普通に考えたらもっと予算をかけられる国や、もっと守秘義務的なものが強制できる国がある気がする。

 そもそもパソゲーとしてリリースする気があるのならパソコン発祥の国のほうがよさげじゃないか?


 「異なる視点から、絶望を食い止められないかと、試行する気持ちでおります。侵略は、致しませんし、ご協力頂いているこちらのお国の他は、物騒もしくは技術不足でしたので、ご遠慮させて頂きました。お休みに、なられている原因は特定できておりませんが、お体は、正常に機能しております。徐波睡眠の時間が長くなっておりますので、お目覚めも、近いでしょう」


 赤色お婆ちゃん喋った。なんか読点が多い感じで上品に喋った。

 この人がゲーム世界のトップなのか?

 赤色お婆ちゃんの発言後あからさまにスピーカー達の空気が和んだ。というか次々離席していく。

 うおーい、俺、今いるからね? こっちの世界に精神だけ来てるみたいだから!

 今いるただから!!


 青色お兄さんが画面みたいなのを持ってきてくれた。

 そこにはおいらが寝ていた。

 めちゃくちゃ白い防護服着た人がわさわさ居るんでけどw

 計器の数がありえないんすけどwww


 『キスでもしてみますか』


 スピーカーから聞きなれた天の声が聞こえた。どこの姫だよと笑おうとする間もなく画面の向こうで防護服なしで俺に近づいてくる人間がいる。なかなか好みのバディで眼福なり。周りが慌てて止めようとしているが、防護服と普通服では機動力に差がありすぎる。てか、人の許可なく頭触んな。無抵抗の人間の顔に近づくんじゃねぇ!


 「あほか!!」


 計器がわさわさついた腕を振り上げながら俺は起きた。

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