状況説明しました。2
「サツキ…?」
ナギサが応答してしばらく、インターホンからはジーっと機械的な音だけが流れる。
ナギサの気配は未だ感じ取れる。
その場から離れたわけではないらしい。
勘のいいナギサのことだから、きっと様々な可能性を巡らせ熟考しているはず。
そしてそろそろ結論が…。
「申し訳ないけど、俺の知ってるサツキは男だ。それに一人称が俺という痛々しい女の知り合いも俺にはいない。じゃあそういうことで」
「待て待て待て、わかる、わかるよ。ナギサの言いたいことは一つ残らずわかるよ。だけどここは一つ千歩譲って俺の話をもう数十秒だけ…」
サツキが説得に勢いを増そうとした途端、ナギサはそれをすぐさま遮断する。
「上がれよ」
「え?」
「口ぶりや言葉の選び方で嫌でも察するわ。最初からお前がサツキだって分かってんだよ。あーあ、腐れ縁ってこえーな」
「ナギサ…」
「長い付き合いだ。状況はよく分からんが、お前のことならだいたい分かるわ。ほらさっさと入れ。今うちには親もいないから安心しろ」
サツキの不安の種をナギサは一瞬で粉々に砕く。
「凄いな、お前ほんとに俺のこと分かってんのな。もしかしてお前俺のこと」
「アホさっさと入れ」
ブチッとインターホンが切断される。
サツキはふぅ…と深呼吸をして天使と目を合わす。
ナギサの対応は素っ気なさの中に温かみを感じる。
友達の上位交換のような関係がそうさせていた。
「ということみたいだから、入ろっかすみのん」
サツキは天使の左手を掴みナギサ家のドアを開く。




