状況説明しました。1
ナギサの家までは、会話をする暇もないほどに近い。
ましてや小走りで向かってしまえばものの10秒で着いてしまう。
サツキはナギサの家の前に着くやいなや、どこかを覗くように見上げる。
「どうしたの?」
「あ、うんとね、ナギサの部屋があそこだからいるかなーって思って」
「そんなのピンポーンってしてみればいいじゃん!」
「そうなんだけど、この姿をナギサ以外に見られるのは…」
サツキは図星と恥ずかしさからほんのり赤面する。
「だ!か!ら!もう記憶改変しちゃったから大丈夫なの!そんなにわたしの力が信じられないんだ…」
天使は露骨にあからさまに落ち込む。
誰がどう見ても落ち込んでいると判断する落ち込みよう。
「ち、ちがうよ!?展開が突飛すぎて私の思考が追いついてないだけで、すみのんは全く悪くないの!」
「そっか!ならもう行っちゃおうー!」
天使は脊髄で反射するように立ち直り、すぐさま小さく細い人差し指でインターホンを鳴らす。
「ピンポーン!」
音と重なるように何故か天使も呼び鈴を発する。
鳴らしてから数秒後、静かに淡々とした声が少しこもって聴こえる。
「はい、どなたですか?」
「あ、私!じゃなくて俺!サツキだよ!」




