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女の子になりました。3
天使はふーっと深く息を吐き、右手を天にかざす。
「ぴーりらぴりららぽぽりらぽんぽぽぽーん!」
「何その呪文!?さっきまであんなに荒っぽかったのに!?」
「このパターンもある」
「あんの!?ならそっちでやってよ!あと呪文が某日曜朝アニメに酷似してるから気をつけて!」
サツキは嫌な汗を流しながら注意を促す。
天使は素知らぬ顔をしている。
「いやーこの呪文でやるとね、フラットした気持ちがシャープになるんだよー」
「もうやめようかそれ」
完全にわざとだろ。
「あ、もう終わったからそろそろ行くねー!」
「やりたい放題だな!って、え?行くってどこに?」
天使は当然でしょと言いたげに、上を指さす。
「ちょっと待て!もう行っちゃうのか?」
「うん。もうお仕事終わったもーん。それにさっきはまだいたのかー!って言ってたじゃん。どっちなんだよー」
天使はサツキのモノマネを挟みながらクレームをつける。
頗る似ていない。
「いやー何と言うか、ほんとにいなくなると思うと少しばかり怖くてな」
サツキは不安を隠し切れず思わず弱音を吐く。




