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Pass Out

作者: SAME

休み時間。


先生からの言葉を聞いた桂くんは、廊下を駆け出しました。

途中ですれ違った児童たちはびっくりして振り返り、その背中に声をかける子もいました。



「何か楽しいことでもあったの?」

走ることは好きでしたが、今は全く楽しくて走っているわけではありませんでした。


「我慢してるの?トイレに行きたいの?」

我慢はちょっとしていましたが、今はトイレの我慢で走っているわけではありませんでした。


「嫌なことがあったの?」

気分は悪いですが、今は嫌なことのせいで走っているわけではありませんでした。


「悲しいことがあったの?」

胸の奥から何かがせり上がってきますが、今は悲しさで走っているわけではありませんでした。


「誰かから逃げているの?」

世界が崩れそうで不安でしたが、今は逃げたくて走っているわけではありませんでした。


「怒っているの?」

手当たり次第に八つ当たりしたいですが、今は怒って走っているわけではありませんでした。



ちょっと怒っていました。ちょっと悲しんでいました。ちょっと怖いと思いました。

ちょっと我慢していました。ちょっと逃げたい気持ちと戦っていました。


ちょっとだけの色々な感情


どういう気持ちなのか、全部混ざってめちゃくちゃです。



けれど、今は平気でいなくてはいけませんでした。今は誰にも心配してもらいたくありませんでした。

いつも通りに接することができません、今は、今は。



もしも…

流れる時よりも早くたどり着くことができたなら


運命を変えることができるでしょうか?

助けることができるでしょうか?


また笑いあうことができるでしょうか?




ただただ、ひたすら混ざった感情を力に変えて、桂くんは学校を飛び出していきました。


全速力で。息が上がるのもかまわずに。




お読みくださりありがとうございます



状況描写のみの話。

家族のだれか、意識不明の呼び出し。


一見、平気そうに見えても平気じゃないことはありますよね。

今流れている時間よりも先は、まだ何も決まっていないんでしょうか?

それとも結果はすでに決められていて、ただその通り進んでいくしかないのでしょうか?

答えのない問いは悲しいなぁ…。

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