表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

閑話:戦闘フラグを回収しました。

御者視点



旦那様や護衛の方々にナイトゴブリンの持つ武器が迫る度、私の口からは情けない声がこぼれる。


私は子供の頃から臆病で、誰かが流血しているのを見ようものなら恐怖で震えが止まらなくなるほど。


しかし、旦那様から坊ちゃんを頼むと言われた以上、戦況から目を離すなど言語道断。

もし魔物の意識が少しでもこちらに向いたりした場合、すぐにでも馬を引ける様に体制を整えておかなければならない。


そうして旦那様方と魔物の動向を見守っていたとき、ほんの一瞬目が霞んだ。

無意識に僅かばかり瞬きをした次の瞬間、私の目に映ったのは、旦那様の背中から生えた剣を引き抜く、醜い笑いを浮かべたゴブリンだった。


それが意味する事は、



「御者さん、馬を出してください!」


私が状況を理解する前に、すぐ隣から大きな幼い声が響いた。


「ぼ、坊ちゃん!?しかし……」


いつの間にか(ほろ)から身を乗り出していた坊ちゃんに驚くが、それと共に自分の口を衝いて出た言葉にも驚いた。


しかし、とは何だ?

どうして今、坊ちゃんの言葉を拒否した?

それは、さっき、旦那様が……


すぐに先程の光景を思い出し、私は頭が真っ白になった。理解しては、だめだ。考えてはいけない。


けれども、無意識から自己防衛をしている私に現実を突き付けるかの様に、坊ちゃんの声が私を引き戻した。



「大丈夫、何も心配することは無い」



それは天使の声にも、悪魔の声にも聞こえたが、どちらにせよ私の心を静める声だった。


私は自分の役割を果たすべく、自分に力強く頷くと手綱を握り馬を出し、前を見た。


刹那、私が見たのは、血を流す旦那様でも、醜悪な笑みを浮かべるゴブリンでも無く、ただただ近い戦場だった。

旦那様は無傷で、ゴブリンは確実に数を減らしており、200Mは先だと思っていた戦場は50Mほどにまで迫っていて。



では、私が先程まで目にしていた光景は、いったい?



呆然とした私は手綱の操作を誤ってしまい、馬車は車体が不安定になるほどの勢いで方向転換をした。


なんとか車体と自分の体勢を直したとき、私は坊ちゃんが隣にいない事に気づき、血の気が引いた。


「っ坊ちゃん!」


慌てて周囲を見回すと、坊ちゃんは戦場の真上に居た。


どうして、そんなに離れた場所に。


頭の片隅で疑問に思うのと、坊ちゃんの魔力を感じるのはほぼ同時だった。

魔力は、坊ちゃんが辿ったのであろう放物線にハッキリと残っていて。


「まさか、わざと……?」


私には、坊ちゃんを見つめている事しか出来なかった。

プロット無しで辻褄合わせるのって大変ですね……


「こんな奴が侯爵家の御者になれる訳ねーだろ!」と思った方、間違ってません。書いた本人もそう思ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ