訓練フラグが立ちました。
お知らせ:フラグシリーズとして前世の小説追加。
三対の視線に晒されながら、俺は小さい子供だということを意識して父さんにねだる。
「ダメ、ですか……?」
気持ち目を潤ませ、子犬を彷彿とさせる幼児特有の円らな瞳で父さんを見つめる。
俺は子供!純粋な幼児!
「いや、ダメでは、ない……が、しかし……」
あれ、いつもなら親バカな父さんは即OK出すのに。
何やら目を泳がせ渋っている父さんを見つめていると、例のあれが脳内に響いた。
『ピコーン♪訓練フラグが立ちました』
何だ、この辛そうなフラグ……
深く考える間もなく、紳士が父さんにこう言った。
「しばらく王都の御屋敷で入学に必要な座学をお教えされながら、魔力制御の訓練を行われる、というのは如何でしょう」
ああ、なるほど。わざとだけど一回魔力を暴走させたから、制御訓練が必要なのか。
そして、いくら学校に年齢制限がないとはいえ、ある程度の知識が無ければ授業についていけないから入学前に座学も習う、と。
ふふん、その程度の両立、何でも人並みにこなしてきた俺には余裕だぜ。
まあ、悪く言えばただの器用貧乏だけど。
などと色々考えてる間にも父さんたちは勝手に話を進めていたらしく、御者さんに突然言われた。
「では、行きましょうか」
え、どこに?
そう疑問に思ったものの、つい反射的に頷いてしまっていたので訊くタイミングを見失い、仕方なく何も言わずに部屋を出る御者さんについて行く。
「私のことはミケとお呼び下さい」
宿屋らしい建物の廊下を歩きながら、御者さんに言われた。
「ええと……ミケ、さん?」
「敬称及び敬語は不要です。私は一介の御者ですので」
猫っぽいなと失礼なことを思いつつ名前を復唱すると、微笑みながら訂正された。
元日本人として、職種を理由に年上の人を呼び捨てにするのは躊躇う。
でも、パッと見で二十代前半っぽいミケさんは、前世の年齢と今世の年齢を足した場合、恐らく俺とほぼ同い年。
もしここで駄々をこねて呼び方や話し方にこだわれば、迷惑をかける事になるかも知れない。
……よし、吹っ切れた。
もう同い年だと仮定して、友達になったつもりで気軽に接しよう。
「わかった。よろしく、ミケ」
これでぼっちフラグ回避には……ならないよな、やっぱり。
とっとと座学も魔力制御も身に付けて、すぐに学校で友達百人作ってやる……!
サブタイトルを今と同じ感じで付け続けていると、小説を書きにくくなる事態に陥っております。
プロットを作らないことでこんな弊害が……