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閑話:予言者フラグが回避不能段階に移行しました。

今回は主人公の出番が無いです。次回も怪しい……他者視点が続く模様。

アルノルト視点


「お疲れ様です、旦那様」


気絶したロベルトが運び込まれた宿屋に着くと、御者の【ミケ】が出迎えてくれた。だが、その表情はどこか硬い。


「ああ、出迎えご苦労……ロベルトの様子はどうだい?」


「ハ、まだ疲れがお残りの様ですが、医師によると身体に異常は見られないとの事です」


それを聞いて一先ず安心したけれど、ミケの顔を見る限り他にも何かあるのだろう。


「中で、ゆっくり聞こうか」


「……畏まりました」


ミケは短く頭を下げると宿屋内へ僕を誘導した。



どことなく気品を漂わせる受付ロビーを抜け階段を上ると、ミケがやはり硬い顔のまま言った。


「坊っちゃんの御部屋は左手最奥、その向かいと手前の部屋が侍従と護衛の部屋となっております。先に、坊っちゃんの様子を見て行かれますか?」


「ロベルトは起きているのかい?」


「いえ……一度お目覚めになられて直ぐ、眠りに就かれましたので」


「そう。では起こすのも悪いし、後にするよ」


心配ではあるけれど、まだ疲れているロベルトを無理に起こす必要も無い。

だから先に話を聞こうと促せば、ミケは一つ頷いて僕を右手最奥の部屋へ通した。



街の宿屋としては広めの部屋には応接家具が備え付けてあり、僕がソファに座るとミケがお茶を用意してくれた。


「ありがとう」


向かいのソファに座るミケを視界の端で捉えながらお茶を飲むと、思いのほか疲れていたらしい身体に染み渡り、思わず息をつく。


カップを置き顔を上げると、ソファに確りと背筋を伸ばし座っていたミケが微かに肩を揺らした。


「ミケ?」


予想外の反応に思わず声を掛けると、ミケは突然大きく頭を下げた。


「申し訳、ありません……っ!」


「……それは、何に対する謝罪かな?」


僕はミケに謝ってほしいとは思っていなかったんだけれど。というより、謝罪を受ける心当たりが無くて少し驚いた。


「旦那様に直接言い付けられたにも関わらず、自身の力不足ゆえ、坊ちゃんを危険にさらしてしまいました」


頭を下げたままのミケの発言に、僕は無意識に片眉を上げていた。


そう言われれば確かに、ミケの事も少しは咎めるべき状況なのかも知れない。

ロベルトに対するお仕置きで頭がいっぱいで、そこまで考えが至らなかった。


「頭を上げなさい……そのことに対する罰は後で考えよう。それよりも」



本題は、別にあるのだろう?



僕の言葉に、ミケは頭を上げて軽く息を吸い、僕を真っ直ぐ見据えて言った。


「坊ちゃんの様子が、おかしいのです」

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