予言者フラグが立ちました。
まさかの連日更新。
今回は、勘違いの伏線をいくつか張ったつもりです。
03/10 サブタイトル変更
気付けば、見覚えの無い部屋のベッドに寝かされていた。
現状を把握したいのは山々だが、何故か途轍もなくダルく、まぶたも身体も重くて仕方がない。
今にも落ちそうなまぶたと一人で格闘していると、ガシャンという大きな音が耳に届いた。
なんとか眼球を動かして音が聞こえた方向を見ると、そこに居たのは何やら見覚えのある青年。
はて、この目を見開いて俺を見ている青年は誰だったか、と働かない頭で考えていると、青年はゆっくりと口を開き。
「ぼっ、坊ちゃんがお目覚めになられたああ!!!」
叫びながら何処かへ走っていってしまった。
その大声で、青年が誰だったかを思い出した。
御者さんだ。
それと同時に、先ほど起こった色々な事を思い出す。
俺は、領地の視察へ行く父さんに着いて、彼が操る馬車に乗った。
そして道中、ナイトゴブリンの群れの襲撃に遭い、遠心力で馬車から吹っ飛ばされた俺は、ナイトゴブリンの群れに突っ込み、最終手段の自己防衛として魔力を爆発させた。
多少なりとも魔法の勉強をしている俺の予想では、あの後、恐らく俺は魔力を暴走させたんだろうと思う。
そして魔力切れを起こして気絶した、と。
詳しい事は分からないが、ここはあの場所に近い街の宿屋かどこかだろう。
自分がいま置かれている状況を把握した俺は少し安心し、落ちてくるまぶたに逆らう事なく眠りに就いた。
『ピコーン♪お仕置きフラグが立ちました』
「はぅあっ!」
何時間経ったか、俺は激しい悪寒に襲われ、布団をはね除け飛び起きた。
荒くなった呼吸を整えながら、額を伝う汗を拭う。
まだ身体のダルさは残っているが、動けない程ではない。
その前に重要なのは、悪寒を感じる直前に脳内に響いたメッセージ音。
何かのフラグが立ったのは覚えている。
ただ問題は、何のフラグなのか覚えていない事だ。
悪寒で起きる程なのだから、危険なフラグである事には違いないのだが……
焦点が合わない目でぼんやりと部屋を見回しながら懸命に思い出そうと頭を回転させる。
「フラグ……あぶない。起きる前に……」
ぼそぼそと連想ゲームの様に単語を口に出していくと、別のフラグメッセージが響いた。
『ピコーン♪予言者フラグが立ちました』
予言者って何だよ、と疑問に思うも、すぐに俺はより重要な事に思考を持っていかれた。
いつもの電子音声で思い出したんだよ。
【お仕置きフラグ】とかいう謎のフラグを……
まあ、俺は怒られても不思議じゃない事を仕出かしたという自覚はあるが、一体誰が俺にお仕置きをするのかと。
父さんは親バカだし、御者さんはそんな事出来そうにないし……
次に俺が思い浮かべたのは、父さんの部下であり、今回の視察に同行していたインテリ系眼鏡美人のリーネさんだ。
あんな美人になら、むしろお仕置きされたいかも知れん。
一瞬浮かんだ感情を慌てて打ち消す。
危ない、頭が朦朧としてるせいで新しい扉を開くところだった。
俺はSだ、と自分に言い聞かせる様に呟くが、脳裏にはムチを手にしたリーネさんが浮かぶ。
「うぅ……」
思わず頭を抱え込む。こうなっては仕方が無い。
俺は頭を抱えた状態のまま倒れこみ、三度眠りに就いた。