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過ぎた日には

作者: 室岡 勇実
掲載日:2026/03/10

 僕はモテるということを体験したことがある。今にしてみればそれは酷い思い過ごしということなのかもしれないけれど、僕はモテた。端的に言えばそういうことになる。


 大学二年生という時期は、精神的にも身体的にも全盛期といって差し支えないだろう。それがどんなことにおいてかはここでは控えるとして、全てにおいて元気な時期であるのは確かだ。

 先にも言ったが僕はモテた。大学に一足踏み入れば、同級生から下級生、上級生に至るまで、僕は女性を魅了した。遊ぼうと思えばいくらでも遊べたと思う。でも僕は決してそういった踏み入った行為には及ばなかった。

 それは所謂『チキン』といった性格によるものではなく、僕の信条といった具合のものによるところが大きい。

 

 僕は二人きりの空間を好んだ。二人が同時に話しかけて来ても、僕はそれぞれと時間を作った。そしてその人の人となりに触れて来た。

 この時いつも僕が考えるのは決まって将来のことだった。この人とは一緒にいるべきではない。はたまた一緒にいるべきだ。といった具合だ。

 そして付き合う時があれば、この人だという確信が走り、それは本当に僕の相手方を引き合わせた。


 今思えば、ここで彼女をもっと大切にしていれば、もっと会っておけばと後悔してやまない。

 僕は自惚れていたんだ。


 帰ってこない彼女に想いを馳せるようになったのはいつからだろうか。あれから僕には先のような確信めいたものは得られなくなっていた。相変わらずモテるというものは存在しているし、女の子はひっきりなしに僕の下にやって来る。

 それでも彼女以上の電撃を走らせる女性は現れていない。僕はいつまでこれを苦悩として抱え込むことになるのだろうか。


 過ぎた日には、僕という存在が、この世から名声も何もかも薄れて消えていくだろう。

 過ぎた日にすら、僕は彼女を憂い想う悲しき待ち人となり、その骨をこの地に埋めるのだろう。

なぜかわからないが、このような確信めいたものは存在する。それは偶然ではなく如何何億という必然の糸が紡ぎあった結果なのだと思う。

ふとそんなことが頭を駆け巡り、ここに走り書きし置いておくことにする。

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