星と雪のダンス
冬の夜、リリは窓の外を見た。
空は深い藍色に染まり、無数の星がきらきら瞬いている。
雪は一面に積もり、月明かりに照らされて淡く光っていた。
「リリ、見て……星と雪が踊ってる」
耳に小さな声が届き、リリは振り向く。
雪の妖精のキラは夜の空気の中で、光をまといながらふわふわ舞っていた。
「踊ってる……どういうこと?」
リリは窓から見える景色に目を見はった。
雪の結晶が風に舞い、星の光を受けてきらきらと揺れている。
まるで空の星が雪の上でダンスを踊っているかのようだった。
「リリ、外に出よう」
「え……でも寒いよ」
「大丈夫、星と雪の魔法は冷たさを忘れさせるから」
キラはにっこり笑い、リリの手を引いた。
雪の庭に出ると、月明かりに照らされた雪は銀色に輝き、光が細かく舞う。
リリは手を広げ、冷たさと光の温かさを同時に感じた。
「うわぁ……きれい……」
リリの声は静寂に溶け、雪の中でふんわり響いた。
二人は庭を駆け回り、雪の上に小さな足跡を残す。
足が雪を踏むたび、微かな軋みの音が夜の空気に広がった。キラは光を散らし、リリに向かってくるくると舞う。
「リリ、見て……あの星が雪の結晶と手をつないで踊ってる」
「本当だ……まるで夢みたい」
リリは息をのむ。
雪の結晶は風に揺れながら、星の光を受けてきらきらと輝く。
二人は庭の奥にある小道に足を踏み入れた。
小道の両側には雪の木が並び、星の光が枝に反射して、まるで光のトンネルのように輝いている。
「リリ、ここで星のダンスを見よう」
「うん……」
リリは小道の真ん中に立ち、空を見上げた。
星たちは雪の結晶と手をつなぎ、ふわふわと踊っている。
光はリリの顔を優しく照らし、心の奥まで温かく染み込む。
リリは目を閉じ、深呼吸をした。
冷たい空気が肺を満たし、胸の奥で小さな感動が静かに広がった。
「キラ、星と雪って、こんなに仲良く踊れるんだね」
「うん、冬の夜だけの特別なダンスだよ」
キラは嬉しそうに光を散らし、リリの肩にふわりと止まった。
リリはその温かさに安心し、思わず笑った。
二人は小道を歩きながら、星と雪の光が作る模様を見つめた。
雪の上に落ちた光は、小さなランタンのように揺れ、リリの手で触れるたび、ぽんぽんと小さな温かさを伝えた。
やがて、森の中に大きな空間が現れ、そこでは雪の結晶と星の光が重なり、まるで巨大な舞台でダンスを踊っているようだった。
リリは目を輝かせ、足を止めてその光景に見入った。
「リリ、見て……星が雪を抱きしめて踊ってる」
「うん……すごい……」
リリの胸は感動でいっぱいになり、言葉が出なかった。
冷たさと光の温かさが同時に心を包み、まるで夢の中にいるようだった。
夜が更け、星と雪のダンスはますます幻想的になった。
リリは手を伸ばし、光をそっと触った。
光は指先に伝わり、心の奥に小さな魔法を残した。
「明日も、星と雪のダンスを見に行こうね」
「うん、もっときらきらがあるよ」
二人は手をつなぎ、雪の庭を後にした。
その夜の光と魔法は、リリとキラの心に永遠に残るきらめきとなった。




