8.聖女と元王国騎士団長
よろしくお願いします
いい酒だった、そうネフィロリィは思っていた。
まだまだ飲めるし、まだ食べ足りない。
でも、今日はこのまま家路に着きたい気分だった。
自分が騎士団を去るには、心配事が多すぎた。
育ちきっていない部下が気がかりで仕方なかった。
騎士は辞めるが、いつでも後方支援できるように王都に残るつもりでいたぐらいだ。
だが騎士団を去る今日、聖女来訪の鐘が鳴った。
この問題だらけの、プベルル王国をなんとかしてもらえるかもしれない。
空気は浄化され、川の水で子ども達が遊べる日が来るかもしれない。
王都でも決して安全とは言えない今だが、王都以外でも安心して暮らせる日が来るかもしれない。
騎士団を去る自分へのいい餞別をもらった気分だった。
いつもは馬車で帰る道を、ゆっくり歩いて帰る。
川の音を聞きながら、ふと川沿いに光るものを見つけた。
「なんだあれは…」
しばらく目を凝らして見ていると、人である事に気がついた。
「お、女の人だ!」
急いで駆けつけれると、年若い少女であるようだった。
「お、おい!しっかりしろ!!」
脈があることを確認した。
少女は意識を失っているのだとわかった。
少女に触れることで、不思議な光は消えてしまった。
声をかけながらも、怪我がないかを確認していく。
すると、少女に髪色に視線がとまる。
この辺りでは見かけない髪色だな。黒とは珍しい。
そして身体の方に目を向けて、目を見開いた。
なんて、格好してるんだ!!
上のジャケットは別に構わない、だが下のこれは…スカートなのか?足がほとんど見えてしまっている。下着が見えてしまいそうなくらいだ。
こんな所に寝ていたら、誰がに襲われてしまうじゃないか!!
ネフィロリィは、慌てて自分の着ていたジャケットを少女にかけた。
そして、ようやく気持ちが落ち着いてたことで気づいたことがあった。
「身体が濡れていない、服も汚れていないし怪我もしていない。どういうことだ?川から流されてきたんじゃないのか…?」
そこで、川に目を向けて驚いた。
「川の水が綺麗になっている⁈
どういうことだ…毒水のはずの川の水が、なぜ…?」
いつもなら汚臭がするはずが、酒を飲んでいたこともあって今まで気付かなかった。
この少女がここに倒れていることと、川の水が浄化されていることに何か関係があるのか…?
しかし、ずっとここに寝かせて置くわけにもいかない。
王都は今、聖女の鐘で忙しいはずだ。
一度我が屋敷に連れて帰って、この少女が目が覚めたら王都の警備隊に連れて行くか。
そう考えて、器用に片方で少女を持ち上げて帰路についたのだった。
ありがとうございました