2.魔法陣から逃げる (逃げれません)
よろしくお願いします
光る丸いこれって、なこが言ってた魔法陣?じゃない?
懸命に走りながらも、結衣は冷静に考えていた。
なこは、魔法陣が現れたら異世界に飛ばされるって話してたけど、逃げる方法は聞いていなかった!
こんなことになるなら、もっと真剣になこの話聞いて、もしものときの対処法聞いておけばよかった!
と後悔していた。
結衣は、運動神経がよかった。
小学生の時は、運動会の時も男子と走っても負けない、中学ではいろんな運動系の部活からスカウトされるほどだった。
だから、結衣は走って逃げ切れるかもしれないと思っていた。
あとは、結衣の体力の限界を迎えるか、魔法陣があきらめるかだ。
走りながらも、結衣は器用にスマホを操作してなこに電話する。
なこは高校から家が徒歩圏内のこともあり、もう家に着いているはずだ。
2コール目で、なこが出た。
「どした?」と何か食べながら、電話に出た。
「なこ、私の足元に魔法陣みたいのがでてる!走って逃げてるけど、着いてくるの!!助けて!」
なこは、たっぷり2秒フリーズして
「なんだと!!」と叫んだ。
耳が痛い。
「とりあえず、逃げて!わたしも結衣の家に向かうから!なんとか逃げ切って!電話は、通話のまんまにしてて!」
非常識の状態にも、疑うことなくすぐに駆けつけてくれる友に目が潤んでくる。
「ありがとう、がんばる!!ありがとう!!」
もうどれくらい走っているかわからない。
ずっと全力で走り続けて、もう限界が近い。
もう肺も痛いし、手も足も思うように動かせない。
そんな時、知らない女が前から走ってきた。
大きな体を揺らしながら、向かってくる。
そして大声で叫んできた。
「大人しくしろ!動くな!」
「これでわたしもようやく、やっとよ!!」
動くなって、何⁇
怖い、怖すぎる。魔法陣の回し者?
なんとか大きな女の人を避けて、走り抜けた。
それでも、その女は「逃してたまるか!」と走って追いかけてくる。
そんな攻防を繰り広げる中、とうとう結衣の持っている通学鞄をその女が掴んだ。
「離して!」
周りの目も気にすることなく、その女は離さない。
スマホからは、なこの声がする。
そんな時、魔法陣が一際光った。
鞄を掴まれたことで、その場から動けなかったのがよくなかった。
次の瞬間には、2人の姿は消えてしまっていた。