OF ③
家の見た目が広い!と言ううか、広いでは表せない感じの大きさがある。あまりの大きさに、見とれていたらムーンさんが不思議そうな顔で、私の顔を覗き込んできた。
「ここはなに?」
ライトが、本当に不安そうな顔で聞く。
「私の家だけど」
と、誰かの声がした。
えっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ここが、人が住む家?しかも、声が、聞きなれない透き通るような不思議な声だったからこれが、ムーンさんの家?まさか・・・でも、1人を除いてみんな驚いた顔をしている。その1人は、当たり前のような顔でむしろ、驚いている私たちの顔に驚いている。それは、予想通りムーンさんだ!
「まさか、ムーンさんの家?」
やっと声が出た。なんと、驚く事にムーンは
「私の家では狭かったかしら・・・」
まで言ったの!これよりも、広い家ていうのが存在するの?
「それとも、母の家のほうが良かったかしら?」
・・・・・・・・・・・・・・・・。意味が、わからん!もしかして、ここはムーンさんだけの家っていうこと?
「ここで、いいです。」
とっさ答えたのは、さつき。
「とりあえず、外で話すのもどうかと思うので、家に上がってください」
あ、そういえば私たち外だったんだ。
なんとなく、外とは思えない感じの場所だったから・・・
ムーンさんが、歩き出した。
私も、後に続いて、歩いた。
歩いて、10分くらい。私たちは一言もしゃべらなかった。
だって、私はこんなに大きな家で、いまだに頭の中が、混乱してるし、初めて会った相手になんて話したら、いいのかわからないしぃ・・・
そうこうしてるうちに、ようやくムーンさんの部屋までたどり着いた。
やっぱり、ムーンさんの部屋も広いなぁ・・・
この広々とした屋敷の中で、1番広いんじゃないのかな?
「いすに座って」
ムーンさんが、言った。
素直に、私にしたがった。
他のみんなは、少し戸惑っているみたい
でも、それも当たり前か。
みんな、突然こんなに大きな家に連れて行かれたしね・・・
これで、疑っていないほうがいじょうなのかもね
でも、私が座ったらさつきも座った。
最後に、ライトも座った。
すると、さつきが、
「自己紹介まだだね」
と言った。
「そういえば、そうだな!」
ライトも言った。
「そうですね。」
ムーンさん。
やっぱり、ムーンさんは、お嬢様だから言葉遣いも、いいし・・・
私も、こんな風な人になれたらなぁ。いいのにね。
それにしても、自己紹介か・・・
なんか、懐かしいな・・・
自己紹介なんて、小学校の入学式にやったのが最後だったからね。