創作時ツール:世界を『創る』要素について
読者に『物語へと没入してもらう』そんな世界観の基礎。
コレは固めておくと『話がスムーズ』だったり『描写に悩まず済む』という物語のパーツです。
部品なので、直接物語に出す必要がありません。
むしろ出さない方が円滑まである。
なので。
裏側は『こう』だとした上で話すのがスマート。
事柄を埋めていき舞台を『整える』のが設定、と理解し積み上げましょう。
今回はファンタジーには偏らずいこうと思います。
(異世界ファンタジーは一から十まですべて組み立てなくてはいけないので長くなります)
1️⃣全体的な時代・生活水準
①全体的な時代…… 現代を基準として、過去や未来という世界の『歴史的背景』、現代と比べ参考になる時代(文明)。
技術の有用性が大きく変わってくる。
違う時代背景の文化を混ぜないよう注意。
産業、軍事、食生活、行動時間、流通などや雇用についての性差など。
市街都市の有り様は時代の中、様々に変化しています。
②生活水準…… 食文化、食糧事情について。
地理条件と文化、流通形態によって食料事情は変わります。
時代背景があっても特に食事には明らかな貧富の差が出てくるので、特産品、日常生活情報としてまとめておくと良いです。
特筆されるような『食糧事情』があると、物語のキーにも成り得ます。
2️⃣舞台地域の地形
……地域、地形、標高などによって季節、気候が左右され、地下資源、天然資源が変わるように、ヒトの有り様が違います。
物語の要素として『主産業』や『食生活』つまり人々の生活が左右されるので、比重は大きいのに文章にはほとんど出てこない。
まさに世界の『基盤』です。
山脈や河川の位置(配置)により都市の発展性が変わりますので、地図までこだわりたい作者さんは大変です。
①平地は温暖であれば河川の水によって山から肥沃な土が流されてくるために農耕に適した土壌があります。
しかしその分、水害なども多くなります。
馬車や鉄道など、文化水準によって変わる移動手段も平地が一番の恩恵を受けます。
②海に面した街では、運輸、漁業が盛んになります。
大きな港は貿易業などで発展しやすく、他地域性の文化や風土が交わります。
しかし海と山に挟まれた地域は、大気の流れにより雨や雪が降りやすく、そのため建造物にも特徴が出てきます。
そして海辺からすぐの山によって絞られ乾いた風は、陸地をカラカラに乾燥させます。
③山岳地帯では鉱山や森林などから様々な恵みを受けるコトが可能です。
炭鉱や鉄鉱は産業技術の発展に欠かせません。
軍事的、産業的な影響力を持ち、だからこそ地下資源の奪い合い、戦争の引き金となりやすい。
☆世界観としての背景にどの程度余力を割けるのかは作者さん次第ですが、舞台となる地形は『うっすら』考えておいてもいいのではないでしょうか。
3️⃣気候
……地形に準じつつ、季節の移り変わりによるもの、時期的、通年として加わる要素。
地形だけでなく海流や季節風などもあるとなおよし。
日照、雨量によってその地域の自然環境、産業、移動手段などなど決まります。
①降雨量が多い地域は植物が育ちやすく農耕が主体になります。
また森林資源としても豊富となり木造建築が多くなり、水害に対応した構造を持つようになります。
②降雨量の少ない地域は乾燥に強い植物を使った繊維産業、移動して行う牧畜、長い日照を活かした農耕などを行います。
水資源確保のための活動、輸送のための技術発展などあったかもしれません。
③極端に乾燥した地域の場合、森林資源が不足しているため、地下住居や石材を多く使った建築などが発展します。
そして環境に伴った文化が育まれ、また地下資源についての開拓は広く早く行われるでしょう。
④寒冷地域の場合、生活するに向いていない場所であるコトもあって森林資源は豊富ですが、農耕を行えない場所が多く短い夏で蓄えてもわずかとなります。
主産業は牧畜から毛織物、乳産業などに限られてくる。
☆モロに情景、環境に直結する気候。
気候がこうだったから、というオチとしても使えたり…… まぁソレで終わるとトンデモエンドになりがちですが。
4️⃣経済発展度
……産業技術的水準、そして貨幣制度と識字率。
世界的な規模でなくとも経済面は天然資源と住人たちの生活が重要。
石炭や鉄鉱のような鉱物資源の『鉱山』。
海産物、そして塩(食料保存・調味料)の『港』。
農業による食糧生産の『農地』。
経済発展の土台はこういった人々の生活そのもの。
技術的な部分、魔法的な部分も含めた外貨に成り得る活動、及び流通についてなども含まれる。
貨幣については参照する時代をそのまま使ってもいいけれど、世界観としては少しだけこだわりを出したい部分でもあります。
時代などで通貨も流通形態も違うので(現代なら電子マネーとか)表現とイベントの進行時に注意が必要です。
5️⃣天然資源
……水、木材、石材、鉱物などなど、天然資源の豊富さは、その地域の暮らしに直結し影響します。
①森林からは燃料としての薪、建材として木材、食糧として果実が調達できる。
それは火を多用するコトが可能となり、食品に安全性を、また道具、加工品(工芸)を作りやすくなります。
②平原からは農地利用の他、草花、薪、牛や馬、羊の餌としての飼料が得られ、それを土台とした大規模農業、畜産業へと繋がります。
③地下資源として……【石炭】都市へ輸出するために大規模かつ輸送に適した形とする近辺の『炭鉱街』が生まれます。
しかし掘り尽くし枯渇すれば労働者は離れ、街は縮小されていきます。
③……【鉄鉱】鉱床として近しい石炭、金資源が多ければ並行し採掘される。こちらも大規模な輸送のために街が作られ、直近で精錬したり、鉄製品の生産も行われるでしょう。
石炭のみの鉱床とは違い、希少金属資源もある場合は細長く坑道を作るコトになるため枯渇までは長く掛かるものと思われる。
6️⃣産業技術・動力源
①技術…… 経済発展度にも通じるが、産業技術の高さは人々の生活に大きな影響がでるため比重は高いです。
人々の労働とは『ちから』と『技術』。
それを『肩代わりする』機械とそれを動かす『動力源』が組合わさった時、ヒトの暮らしは激変します。
この進歩に伴い生活を変えて『消えなくてはならない』職人なども転換期にはありますが、大きくは生活を豊かにします。
新たな雇用と衰退する業種も物語とはなりますが。
例:蒸気機関が確立した頃、仕事を奪われる恐怖から機械を壊す、使わないという運動もありましたが大多数の希望に沿わず鎮静化しました(ラッダイト運動)。
産業技術は物資運搬の効率化や作業効率向上に寄与するので、どの程度のレベルなのかは決めておくと良いでしょう。
②動力源…… 産業技術に準ずるものの、世界観としてのオーパーツにすがって生きるパターンなどもアリ。
技術が高ければ電力、蒸気、風力、水力など利用する仕組みを構築していくので、時代的背景と矛盾しない。
現代なら原子力、火力、水力など利用した発電がメインである世界だが、技術的な齟齬やブレイクスルーがあった場合はその限りではない。
魔法的なモノならばそれを利用し運用する人的(資源的)仕組みを構築していこう。
7️⃣宗教・魔法の有無
①宗教…… 神、そして創世の設定に関わるコト。
魔法の有無によって大きく異なってくるが、ヒトの心は支えを求めるため、無神論者ばかりではない。
一神教、多神教など形態も定めよう。
ただし、現実と異なり『実際に利益をもたらす存在』は大きな影響があるので、恩恵との兼ね合いを注意する。
②魔法の有無…… 威力、習得難易度、歴史的格付け、仕組み、珍しさ、世界的に見た『立ち位置』など。
その世界での『特異』、超能力などとの区別も考えましょう。
便利のためならヒトは結構貪欲に危険を普通へ変えていきますので、魔法は充分に世界を左右します。
しかしメインとして扱われるファンタジー世界は別に取り上げるので細かな部分は省略とします。
一般的にはキャラクターの風味とパワーバランスの意味が大きいモノとして設定しましょう。
8️⃣魔物・脅威の有無
……ヒトの、主人公たちの命を脅かすモノ。
純然たる敵と、物語の中での『ちから』の有り様を説明するための存在。
弱すぎるor強すぎるとキャラクターが霞むのでほどほどに。
組織としての脅威か、個体としての脅威かでも変わります。
9️⃣政治
……王政、共和政など、権力構造と統治形態と軍事技術。
経済的水準に通じるものの、一定以上の人口があれば統治と経済は切っては語れない。
特に軍事、防衛のために統治というモノが必要不可欠になってくる。(軍は統治者が居なくては成り立たない)
地域差も考慮して政治方針を変えましょう。
①王政の場合…… 王が権力者、統治者です。
王の決定によってすべてが左右されますが、世襲制であれ独裁者という立ち位置になるのは難しいです。
王様がお金や人員、防衛、治水などすべてできるなら独裁者足りえますが、補佐官の首を落とした時点で王様は何をして良いのか解らないので終わります。
なので、王様ごと丸め込んでの腐敗、もしくは一部地域での腐敗が『有り得る』範囲でしょう。
なんにせよ王位継承は権力に甘んじ上爵位(貴族)の腐敗を生みやすいです。
税金や人材確保などを国民に課す、いわゆる圧政ですが、一定以上の統治能力がない貴族は反逆を起こされ滅びます。
いつの時代も戦闘狂は居ますからね。
②共和政の場合…… 人々の中から選ばれた議員が政治を執り行います。
なので王政のような暴走、腐敗は起こりづらく、民意が反映されやすい。
ただし共和政も権力争いは起きるし、金銭に絡むトラブルが無縁とはいきません。
内部腐敗は起こりますし、様々に権力を持った人間は自己利益や尊大さをマシマシにしていきます。
共和政が必ず平等な政治となるワケではないように、経済的機能からの横やりや圧力なども発生し混迷を極める場合が多いのです。
ニッポンを見てれば解りますよね。
☆
いかがでしょうか。
世界観とは、ひとりひとりのキャラクターが見ている世界の見え方、そして読者に見せたい物語の背景。
一言で表せば、世界の雰囲気。
ここまでつらつらと挙げてきましたが、つまるところ完成度です。
読者に常に現実世界と比較されているつもりで描いていきましょう。
突飛な設定を導入している時、その設定で『萎えさせない』『醒めさせない』物語の軸を用意しましょう。
主人公視点を失わないように、物語の方向を見失わないように。
(視点を壊し、メタ視点とするならそれが読者にどう受け止められるのか、充分に考慮してください)
現代の日本を舞台としない物語を書く時、自分の感性でそのまま描写していると思わぬ『抜けた言い回し』や行動をさせがちです。
物語の雰囲気が破壊されるのは、そういった何気ないところから。
物語の雰囲気を壊す危険性がある設定は考え直しましょう。
以上です☆
ご覧いただきましてありがとうございます。
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