第1.5話 フラウ、笑う
次に目を覚ました時、僕のぼやけた視界いっぱいに大っきなおっぱいが映った。
それが僕の異世界での母親の乳房だと気が付くのにそう時間はかからなかった。かからなかったのだが、あまりの衝撃的な光景に、僕は暫し目が離せなくなっていた。とにかく、とにかくデカくて迫力が大満点だった。
「フラウ、起きた?」
ひどく優しい声が聞こえ、僕は顔を上げた。しかし、相変わらず視界状況は酷いもんで、僕には声の持ち主の顔を見分ける事は出来ない。
「だぁ、だぁあうあ」
発声も上手くいかなかった。元々流暢に話すつもりも無かったのだが、今の僕では「ママ」の二文字でさえ上手く言葉にする事ができないようだった。
「まぁ! あなた、早くこっちに来て! 早く早く! 今、フラウが何か喋ったわ!」
「おお! フラウ、本当か! どれ、俺にもお前の可愛い声を聞かせておくれ。ほれ、パーパ、パーパって言ってごらん」
耳元で低く掠れた声が響く。恐らく父親の声だろう。その荒々しい声はなぜか今の僕には恐ろしく聞こえてしまった。
「う、うぐぅ、あう」
泣くつもりなんて全く無かったのに。
「もう! ーーの声が大きいから泣いちゃったじゃない! ほら、フラウ。怖くないですよー」
うーむ。聴覚の状態もあまり良くないらしい。肝心の父親の名前が聞き取れなかった。
それにしても、どうやら僕は本当に異世界に転生してしまったようだった。
「あら、フラウが笑ったわ」