6 呼び出しを食らうも全部ふっとんだ
誤字報告ありがとうございます、助かります…!
これまたいっぱい出てきたな、とポケットに入れてあったお菓子回収袋2号を出して中にお菓子をしまっていく。
生菓子がないのは助かるけれど、その辺は私が無意識に調整しえいるのだろうか。だとしたらお菓子が出ないように調整するなり、任意のタイミングで出るように調整するなりしたい。
回収し終わったお菓子袋を片手に、そっと空き教室の扉を開く。
周囲に人はそんなにいない。左右を確認してから廊下に出て、教室に戻った。
教室の扉を開いてすぐ待ち受けていたのは、厳しい目をしたフィーネさんだ。
腕を組み可愛らしい顔を険しくして私を睨みつけている。普通に怖いんですけど……。
「ちょっと、ニナさん。ランチの時、お話がありますわ」
「私はないんですけど……」
「私が話があるって言ってるのよ、いいから、昼は空けておきなさいよ」
それだけ言って席に戻っていく。
茫然とその背中を見送り、私も席についた。
「ねぇ、どこに行ってたの?」
「あ、えっと……ちょ、ちょっと、おなかが痛くて」
すかさずベルノート様に先程の行動を尋ねられ、苦しいながらも言い訳をする。
何が悲しくて好きな人にお腹が痛かった、という話をしなければならないのだろう。
私が困惑と悲しみに眉根を寄せながらもできるだけ笑顔を向けると、ベルノート様の表情が拗ねたようなものから一変、心配そうなものに変わる。
「それ、大丈夫? 保健室で休んだ方がいいんじゃない?」
「あの、いえ、もう大丈夫です」
「本当に?」
(ひぁあぁああ!?)
本当に? と言いながら私の手を握るベルノート様に、心の中で悲鳴をあげる。
自分でも拗らせていると思うけど、大好きなベルノート様の少しヒンヤリした大きな手が私の手を握、握って、大事そうにくるまれていく。
「……ニナの手、こんなに小さいんだね。可愛い」
「ヒュッ……」
いよいよ呼吸の仕方を思い出せない。どうしよう、なんか変な声出たし、きっと今変な顔してるはず。
目の前のベルノート様は整った完璧なスマイルなのになんで私は変な顔になってるんだろう、いや順当です当然です当たり前ですだって私の手を! ベルノート様が! 両手で!
酸欠でくらくらしてきた。やばいやばいやばいファンサが手厚すぎませんこと!?
ここで振り払ったらまずいことだけは理解してる。でもドキドキしすぎて手汗が心配になってきたいやだ乙女が心配するのはそこじゃないでも悪いように思われたくないので手に触れるのはまず0.1秒からのお試しコースでお願いできませんか!?
大混乱に陥っていると授業の始まりの鐘がなり、ベルノート様の手がするりと離れていった。
「残念。でも、授業は真面目に受けなきゃね」
「は、はい」
心臓がドキドキしてつらい。
つらいけれど、ベルノート様に授業は真面目に、と言われたので頑張って前を向く。
朝から2回お菓子を出すなんて初めてだったけれど、今の私はどれだけドキドキしてもお菓子が出てきそうな感覚はなくなっていた。
次の休み時間は空き教室にかけこまなくてもよさそうだ。
相変わらずベルノート様の視線を感じるけれど、私は前を向いて精一杯真面目に授業を受けた。
そういえばさっき、誰かに何か言われた気がしたけど、もう全部忘れちゃったな……たぶん、たいしたことではなかったと思うし、いいか。
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