僕の大好きなシャリー
「初めて会った時から、シャリアンだけが好きだった。」
「…………え?」
いま、なんと…………。
するとバッと振り向いて私にズンズン近づき、ガシッと肩を掴んだ。
「ずっとずっと、君が好きだった!!たとえシャリーがジーンを好きでも、彼の元には行かせられない!!」
待って欲しい。情報が追いつかない。
何故そこでジーンの名前が出てくるの?
それにクレイン様が私のことが好きなんてありえない。
だって、ずっと見ていた。マリアンと楽しそうにして、私には素っ気ない態度ばかり。
「そんなこと、ありえない。殿下はマリーのことが好きなのに。」
「それこそありえない!いつもいつも僕の邪魔ばかりして、シャリーに近づけさせない!嫌味な笑顔で僕がいない所でシャリーがどれだけ可愛かったかを自慢して、シャリーからの差し入れだとなんともおぞましい味のクッキーを焼いてきた。シャリーという言葉が聞こえれば僕が断れないと知りながら!その上、剣術の練習中にわざわざシャリーと腕を組みながら(いいでしょう?羨ましいでしょう?)と見せつけてくる!
あんな女!どうしたって好きになれない!
何より、僕にはシャリーがいるのに他の人を見れるわけないだろう?」
なんだか、少しずつ、点と点が繋がっていく感覚が……。
「じゃあよくふたりで会っていたのは?」
「今日どれだけシャリーが可愛かったか、どちらがシャリーを好きか競い合っていただけだ。ほとんど向こうからつっかかってくる。僕から会いに行ったことなんてほとんどない。」
「二人で楽しそうに笑っていたのは?」
「極々たまーに2人の意見が合ってやっぱり僕らのシャリーが一番という結論に至った時、もしくは嫌味な笑顔にお返しをした時。それ以外で彼女の前で笑ったことはない。」
「ヴァイオリンの発表会など、よくマリーを見に行ったのは?」
「剣術の練習でシャリーを見せつけられたから自分も同じことをしただけだ。」
クレイン様がマリーを好きでは無いとわかってとても安心していった。
そして、彼がこんなに目を合わせてくれたことなんて初めてでドギマギしてしまう。
そうだ、いつもは、
「いつも、私と、目も合わせてはくれなかったではありませんか。」
すると殿下は急に口ごもった。
やっぱり何か後ろめたいことが。
そう思った時、
「そ、それは、シャリーが可愛すぎるから!」
「……へ!?」