従兄弟と買い物していたら
次の日、クレインは公爵家に訪れた。
「シャリー、話をしよう。」
マリーと二人並んで私に話しかけてくる。
これは、きっと私に悪いと思っているんだわ。
「クレイン皇太子殿下、私本当になんとも思っていませんよ。クレイン様がマリーと結ばれて嬉しいです。
マリアンは本当にいい子なんです。これからも末永くよろしくお願いします。
これで話は終わり。あとは2人でゆっくりして!」
ふたりの近くにいるのは居心地が悪くてすぐに自分の部屋に戻った。
ベッドに倒れ込んでシーツを握りしめる。
少し、涙がこぼれた。
「……これは、嬉し涙よ。マリーが幸せでたまらないの。」
誰も聞いてない部屋で自分にいい訳をした。
メイドが何回かノックをしたけど全て無視してしまった。
次の日、ずっとクヨクヨなんてしていられないと思って仲のいいメイドと街に買い物に行った。街をブラブラしていると懐かしい顔に会った。
いとこのジーン・アンケルトだった。高身長に広い肩幅。剣の腕がたつことで有名な騎士で、叔母の息子の伯爵令息だ。
久しぶりに会ったので会話がよく弾んだ。
一緒にカフェでお茶をして、私好みの可愛い雑貨店に行くのに付き合ってくれると言うので少し歩いているといつ来るだろうと思っていた話題になった。
「皇太子と婚約破棄するって?何がどうしてそうなった。」
「どうしてって理由なんてしっているんでしょう?意地悪な聞き方をするのね。」
少しムスッとして口を尖らせた。
もちろんジーンも皇太子の気持ちを知っている。
本当に何がどうして状態だ。
なので彼はかなり軽く考えていた。
もうすぐ雑貨店に入るところで彼は
「もし良かったら俺の元に来るか?」
そう冗談で言った。
「それもいいかもしれないわね。」
シャリアンがそう言いながら店のドアを開けると、
皇太子がおつきの者と買い物に来ていた。
その会話を聞いていた皇太子が顔面蒼白だったのを
シャリアン・ルヴェータだけが知らない。