興奮と喜び
「やっとくっついたのね!」
シャリアンの言葉に会場が静まり返った。
でも、そんなことは気にしない。それほど興奮しきっていた。
「ずっとずっとずーーーっと、2人が結ばれればと思っていたの!こんな茶色い髪と目で木と同化してどこに行ったか分からない私のような地味な女よりマリーの方が美男美女でゼーッタイお似合いだと思っていたの!」
「シャ、シャリー……。」
クレインが何か言いたげだがお構い無し。
「皇太子殿下。もう愛称などで呼んでは行けませんよ!
あなた様にはもうマリアンがいるのですから。
2人がいつ、どこにいても熱く見つめあっているのを私知っていましたのよ!ずーっと見ていた私にはわかったわ!」
私、鋭いでしょう?とでも言いたげに自信満々だった。
「あの、シャリ……」
「あぁ、マリーのウェディングドレス姿はそれはもう素晴らしいでしょうね。普通にしていても可愛さが留まるところを知らないのに、一体どうなってしまうの!
早く見たいわ!
おふたりとも!結婚式はいつなの!?」
「ちょっと待っ……。」
「あ、まずは婚約破棄ね!婚約破棄しましょう!!ちょうど良かったわ!!ここにいる皆さんが承認よ!!
そして新しく、クレイン・アルテンド皇太子殿下とマリアン・ルヴェータの婚約を!!」
「………………。」
皇太子はもう何も言えなくなっていた。
「お、お姉様!!」
「マリー。私は幸せよ!ずっと我慢させてごめんなさい。
もっと早く婚約破棄していれば良かったのに。
あなたのことだもの。婚約者がいる相手を、ましてや姉の婚約者を好きになった時、あなたはきっと苦しい思いをしたはずよ。
でももう気にしないで!もともと愛のない親同士が決めた婚約だったし、お互いに恋愛感情はなかったわ!
デートだってほとんど行ったことがないし、手だって繋いだことないの!だから安心して!!」
シャリアンの口は止まることがない。絶え間なく話し続けていて、誰も口を出せなかった。
「早くお父様とお母様に報告しないと!こうしちゃいられない!私はこれで失礼させてもらうわ。皆さん御機嫌よう。」
最後は公爵令嬢らしく上品に去っていった。
そして置き去りにされたものたちは地獄のような空気になっていた。