044 そしてまた僕は忘れていく
あそぶのはたのしい。
あそびはすき。
きもちいいからすき。
もっと欲しいから、もっとと強請り、オレは剣を振り下ろす。
「――ッ」
びちゃり。
顔に温かい液体が掛かる。
真っ赤な真っ赤な液体だ。
舐めるとおいちい。
おいちいからもっととオレは強請る。
びちゃり。ぐちゃり。ぶちゅり。どびゅり。
刺せば刺すだけ色んな音がきこえてくるよ。
たのしいなぁ。
うれしいなぁ。
きっと、きょうはおまつりなのだろう。
おもわず興奮しちゃう。
わくわくどきどき。
わくわくどきどき。
嗚呼、この興奮をキミにもあげたいなぁ。
一緒にしよう、気持ちいいこと。
教わったぶん。優しくされたぶん。
恩返しをしよう。
「ティーエス……」
寝転んだ彼へと魔術を使う。
黒衣の中は綺麗な顔をした男の子がいたよ。切れ長な睫毛に耳にはピアス。緑と青が混ざった様な髪色をした子だった。
正直、オレとしてはどっちでも良かったんだけど、折角だから試してみたくて使っちゃった。
作り変えられていく骨格。
引っ込んでいく喉仏は見てて不思議だった。
人体の神秘を感じちゃうね。
膨らんだ胸元は完全に女の子のものだった。
下の方も確認してみると、こっちは既に無くなっていた。
どう変形するのか見たかったなぁ。
こんどやる時はそうしよう。
心の中でそんな事を決めていると――
「ボクに……何を、した……?」
「??」
苦しそうな息遣いで、彼が呟いた。
あ、もう彼女だっけ?
しっぱい、しっぱい。
「……"何"をするとは、具体的に"何"の事を言っているのかオレにはさっぱりだけど。キミは自分の事さえ自分で分からないって事なのかなぁ? 攻めてる訳じゃなくて単なる疑問で、オレも本当に僕の事が分からないからキミに問い返してるんだ。言葉に意味は無いのかも知れない。けれど聞きたいのが人のサガだよね? 上等なワインを楽しむように黙って君の反応も見たかったけれど、会話が成立してしまったのなら仕方が無い。なぁ? 女の子になった感想は――どうなんだ?」
「……は? え?」
驚かす様にそう言ってやると、目の前の彼は――彼女は(どうしても間違ってしまうなぁ。ははは)慌てた様に己の胸を触り、股間を弄る。
「う、嘘だ……っ」
「嘘ぉ? 何で嘘なんて吐かなきゃいけないんだい?」
「だって、そんな! だって、だって――!!」
「くひっ」
取り乱す彼の反応に、オレは愉悦する。
「嘘かホントかは、これから決めれば良いじゃない……」
屹立した己の一物を見せながら、オレは舌舐め擦りをする。
「何だ、それ。おい、嘘だろう!? だって、ボクは男で――だってだってだってだって――ッ!?」
「はっはっは。はっはっはっは! はーっはっはっはっは!!」
覆い被さると同時に、女の様な悲鳴を上げる彼。
ほぉら、やっぱり嘘じゃない。
自身の正当性を確信しながら、僕は不当な蹂躙を開始する。
――さぁ、キモチイイコトヲシヨウ。
◆
「何てことじゃ……」
息を潜めながら、儂は事の顛末を見ていた。
割って入る事など出来ぬような、苛烈で高度な戦闘。
狂気染みた青年の存在に、その場から動く事が出来なかった。
「……惨いの」
倒れた鎌使いに接近するも、その様子は酷いものだった。
全裸へと剥かれた身体には至る所に刀傷がある。左手などは手首から切断されていた。白目を剥き、涙を流し、ひくひくと痙攣する姿は敵とは言え哀れみを禁じ得ない。
その身体は少年の者ではなく、少女へと変わっていた。
元々が性別不詳ではあったが、聞こえてきた会話から少年が強制的に女へと変えられてしまったのは明白だった。
血とは別の……飛び散った体液に眉を顰めながら、儂は件の帝国人へと目を向ける。
「気を失ったか……」
そもそも、正気であったかは怪しいが。
鎌使いを犯した後――彼は突然、奇声を上げて涙を流し、頭を抱えて倒れてしまった。
「ピストン=セクスか……」
余りにも――余りにも危険な男だった。
倒れているなら好都合。
此処で殺しておくのが最善か……?
儂がそう考えた時じゃ。
「お爺ちゃん……その人……」
「スーリヤか」
孫娘のスーリヤが、起き上がって来てしまった。
この子の前で、意識のない者を殺す事は出来ぬじゃろう。
「こやつらを連れて、迷宮を出るぞ。まだダンジョンには魔物がおる。気を引き締めて行くんじゃぞ?」
「……了解っス」
言って、スーリヤは気絶した帝国人を担ごうとする。
「あ……おちんちん……」
「……ズボンがある。履かせてやれ」
男の一物を見て、顔を赤らめる孫娘。
儂は思わず、呆れながら頭を掻いてしまう。
全く。
何で、こんなことになったんじゃろうなぁ……。
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