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冴えない俺と異世界の召喚術士  作者: sumiman
序章 やってきたのは金髪ロング
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第5話おまけ「はじめてのおつかい&初めての賭博」

ギャグ回です 蛇足とも言えるかもしれません。 気にならなければ、飛ばしていただいても大丈夫です。

私はその日、直樹さんにペチペチ頬を優しく叩かれて目が覚めた。彼いわく一時間近く叩いても起きなかったらしいが、まるで感覚がない。


「おはようございます。」


私はいつもの様に挨拶する。挨拶は基本ですからね。直樹さんは「おはよう」と私に言うと、新しい日課である『らじお体操』なるものを再開し始めました。なんでも朝の目覚めに最適だそうです。私も見様見真似で踊ってみますが、なかなか難しいですね...


私は直樹さんに教えて貰った台所にある器具の使い方を思い出しながら朝食を作る準備を始める。最初は直樹さんが私の為に料理を作ってくれたのですが、彼の作る料理はなんというか...そう!独創的でした!私も料理は苦手ながらも彼に進言して、台所の器具の使い方を教えて貰いました。彼は私の作る料理はなんでも美味しいと言ってくれるのですが...私の為に美味しくない物まで美味しいって言ってないか不安です...


朝食を完成させると『えぷろん』を取って食卓まで運びます。二人で食卓を囲んでから「いただきます」の挨拶。彼は遠慮無く私の作った料理を食べてくれて嬉しいです...あんまり嬉しいので、私も自分で作った料理を食べながらじっと彼の食べる様を見つめていました。


「...ん?どうかしたか?」


あんまりじっと見つめる私を不審に思ったのか、食べる手を止めて私の方を向く直樹さん。ビクッと驚いた私は慌てて、つい手元のスプーンを落としてしまいました。


「...あ。悪い。」


うぅ...無駄に彼に謝らせてしまいました...


「い、いえ!私の方こそぼーっとしてて...」


私はスプーンを拾い上げると、台所の水道で洗い流す。私は『オハシ』なる物が扱えないので、誰でも扱いやすいスプーンをお借りしているのですが...いつまでも手やスプーンで外食を食べる訳にいかないので、はやくオハシを扱える様にならないと...私は練習を兼ねてオハシを取り出すと不器用な手つきでそれを右手に持つ。


「お、箸使うのか。よし見せてみろ。」


彼は私の不器用な右手をじっと見つめる。私の指に不自然な点を見つけると、彼は私の手にそっと指を添えて丁寧に教えてくれます。その大きな手はなんだか暖かくて、とても頼りがいがありました。


「こ、こう...ですか?」


私が直樹さんの言う通りに指を動かすと、不思議と手元の食べ物を不自然ながらも掴める様になる。彼はそんな私の様子を見ると、嬉しそうに言いました。


「そうそう。そんな感じ。やっぱりクレアちゃんは物覚えがいいな。」


「そ、そんな事ありませんよ...」


彼に褒められると嬉しいのですが、なんだか気恥ずかしくなってしまって、つい謙遜してしまいます。



「「ご馳走様でした」」


朝食を終えると、直樹さんは食べ終えた食器を洗いながら私に言いました。その顔はなんだか不安そうで、連られて私も不安になってしまいます。


「いいかクレアちゃん。今日俺は『バイト』に行ってくるから、留守番をよろしく頼む。」


『ばいと』がなんなのかはわかりませんが留守番ならわかります。家で待っている事ですよね。私は確認の為そう訊ねると彼もその通りだと言ってくれました。


「そうですか...それで、何時頃(いつごろ)戻られますか?」


できるだけはやく帰ってきてほしいな...


「遅くても夕方には帰ってくる。誰も来ないとは思うが...インターホンが鳴ったらチェーンをかけてから出てくれ。」


「...いんたーほん?...ちぇーん...?」


私が言葉の意味を解らずにいると、彼は私を玄関の前まで連れてきて、丁寧に玄関の周りの物を説明してくれました。


「そろそろ行かないとまずいな...そうそう、あと一つ。」


「なんですか?」


「誰かが来て、『判子』って言ったらその時点でドアを閉めろ。何があってもな。」


ハンコってなんでしょうか?でも、言われた時点で入り口を閉めれば良いなら知らなくて良いのかな?


「わかりました!任せて下さい!」


「よしいい返事だ。それじゃ、行ってきます。」


「はい。行ってらっしゃい。」


彼は靴を履いて、玄関を出ると『ばいと』先に向かった。私は言われた通りに入り口の鍵を閉めると、『ちぇーん』をかけてから居間に戻ってベッドに腰掛けた。


ふと外を見ると、パラパラ雨が降っていました。直樹さん『カサ』持ってったかな...私はガラッと雨戸を開けて、外に干してあった洗濯物を部屋の中にしまい込みました。


洗濯物をしまい終えると、私は案外暇な事に気付いてしまいました。文字のお勉強をしようかな...と思い、直樹さんに貰った「カタカナ表」を開いて読み始めました。『カタカナを覚えれば外来語ぐらいは読める』と直樹さんも言っていましたので、私は早く覚えて直樹さんの負担を少しでも減らそうと思い必死になって読んでいました。


私がカタカナを覚えるのに熱中していると、不意に「ピンポーン」と軽快な音が玄関から聞こえてきました。私はカタカナ表を置いて、玄関の鍵を開けると、『ちぇーん』をつけたままそっと顔を覗かせました。


「はい。どちら様ですか...」


「...あら。可愛い子ね。住吉くんの親戚さん?」


そこに居たのは、近所のおばさん...でしょうか?私は魔法士である事を悟られない様に取り繕うと、その人と話し始めました。


「はじめまして。アメリカの親戚のクレアと申します。」


私は直樹さんに『出身を訊ねられたらこう言え』と言われた通りに答えました。『あめりか』って何処の国なんでしょうか...


「あら〜やっぱりそうなのね〜。いつも住吉くんには世話になってるから、今日はお礼に野菜を渡しに来たんだけど、住吉くんはお留守?」


「はい。なんでも『ばいと』だそうです。」


よしよし。私にしてはしっかり直樹さん以外の人と会話できている。最もこんな風に話せればあの日あの場所で行き倒れになる事も無かったんでしょうけど...


「あらそう...残念ね。じゃあ悪いけど、代わりに渡しといてくれる?」


おばさんはそう言うと私に野菜が沢山入った籠を手渡して来る。


「わかりました。私がお渡ししますね。」


私はそれを大事そうに抱えると、「お任せ下さい」と言った感じに見栄を張る。


「お願いね。住吉くんにもよろしく伝えといて。」


おばさんはそう言うと自分の家に帰っていきました。私はその野菜を『レイゾウコ』なる物にしまうと、再びベッドの上に腰掛ける。


先程閉じたカタカナ表を再び開いて、それを見ながら発音の練習を始める私。


「あ...え...い...う...え...お...あ...お...」


どうも私は「はひふへほの列」が苦手だと直樹さんから聞いたので、そこを重点的に復習する事にしました。練習に集中していると、気付けば雨も止んでいたので、私は再び洗濯物を外に干しました。


それから、お昼頃の事でした。私は呑気に鼻歌を歌いながら台所でお昼ご飯を作っていました。お昼の『めにゅー』は『くっくぱっど』という本に乗っていた『ちゃーはん』という料理です。私にとっては未知の食べ物ですから、是非とも料理を成功させて食べてみたい!


とはいえ初めて見る『くっくぱっど』には私にはまるで読めない『漢字』が使われているのです...『切る』とか『炒める』とか一体何をする為の行為なんでしょうか...私はやたら綺麗な『絵』に反って調理を進めていく。それにしてもこの絵、凄く立体感があってわかりやすいです。まるで何かをそのまま写したような...



私は完成した『ちゃーはん』を食べて驚いてしまいました。明らかにしょっぱすぎます...そう言えば味付けの部分は全部漢字が使われていましたから、つい多めに入れてしまったのかも...やっぱりちゃんと漢字を覚えないと駄目なのかな...


残したら勿体無いので、私は塩辛い『ちゃーはん』を全部平らげると、ごちそうさまの挨拶を済ませてお皿を片付ける。一人でご飯を食べると、なんだか虚しく感じてしまいます。はやく直樹さんが帰って来ないかな〜...


皿洗いを終えた私は再び暇になってしまいました。何となく私は『べらんだ』に出て、景色を楽しむ事にしました。目の前に広がる大きな河。直樹さんは『アマゾン川』とか呼んでいましたが正式名称はなんなのでしょうか...その河の向こうには直樹さんの言っていた『ビル』が建ち並んでいます。私の今いる『まんしょん』より遥かに大きいらしいので、いつか私もビルを間近で見てみたいな〜...なんて。そんなビルよりも遥かに大きく聳え立つのが...えーと...名前をド忘れしてしまいました...直樹さんが教えてくれたのに忘れちゃうなんて...


私は直樹さんが帰って来た時にパパッとドアを開けられないと迷惑じゃないかなと思い、玄関に行って『ちぇーん』を外してしまいました。私は再びベッドに腰掛けると、暇つぶしにこの前直樹さんに読んでもらった『でんしゃにのろう!』を読んでみました。


前は読めなかった平仮名が読めるだけでとても気持ちがいい。まるで訳がわからなかった文字からしっかり意味が伝わってくる感覚。新しく物事を知る事の面白さ。私はこの時、人間に生まれてきて良かったな〜なんて、哲学的な事を考えてしまいます。ぼーっと読みふけっていると、ウトウトと眠くなってしまいました。このまま寝ちゃおうかな...なんて考えた矢先。


私の目の前を『黒い何か』が通り過ぎていったのです。私はそれがなんだろうかと気になって目を開けると...


「キャアアアアアアアア!!」


とても大きな虫。黒くて、テカテカしていて、カサカサしている。なんだか本能的にあの虫は危ない虫だと察知した私は、急いでベッドから飛び上がる。黒い虫は私には目もくれず、壁をつたって部屋を縦横無尽に動き回る。私はあんまり怖いので、ひとまず『といれ』に駆け込んで、ガチャッと鍵をかけました。


「怖い怖い怖い怖い怖い怖い....」


私はもはや怯える事しかできませんでした。幸い『べらんだ』のドアは開けっ放しだったので、そこから出て行ってくれた事でしょう。小一時間程『といれ』で立てこもっていました。しーんとした感じがしたので、もういなくなったんだなと思い、私は『といれ』のドアを開けようとしました。


ガチッ...


「あ、あれ...?開きません...」


ガチガチッ...


何度やっても扉は開きません。困った事に、私は自分自身に閉じ込められてしまったのです。鍵の開け方を直樹さんに聞くのをすっかり忘れていました...


「うぅ...狭いです...怖いです...」


先程の『黒いの』の件と、今トイレに閉じ込められている件が混じりあって、私はなんとも言えない恐怖に震えていました。私が一心に願うのは『直樹さん、早く帰ってきて。』それだけでした。ふとドアがガチャガチャと鳴り、聞き慣れた声が私の耳に届きました。


「おーいクレアちゃん!上手く留守番できたか!?」


直樹さん!良かった!助けて!...そう言おうと思いましたが、何故か恐怖で緊張して声が出ません。なんとか声を振り絞り、彼に助けを求める。


「な、ななな...直樹さん...たたた助けて...」


「どうした!?無事なのか!?」


彼は心配そうに私に話しかけてくれる。私は震える声をなんとか抑えながら返事をする。


「私は無事です...でも、黒いのが...黒いのが私を襲って来て...あんまり怖かったのでここに立てこもったのですが...今度はここから出られなくなってしまって...」


「わかった。すぐ開けてやる。ちょっと待ってろ。」


彼は何やらガチガチとドアを弄って鍵を開ける。私は彼が助けに来てくれたのが嬉しくて羞恥心も考えずに彼に抱きつきました。


「良かった...直樹さんがいるなら安心です...」


彼はそんな情けない私を見て、安心した様にフッと笑いました。


「まったく。...まぁでも、よく留守番できたな。お疲れ様。」


そう言って私の頭を撫でてくれる直樹さん。私は子供みたいにデレデレと彼に頭を撫でられる感触を楽しんでいると...あるモノが目に留まりました。


「な...なな...直樹さん...あ、あれ...」


私はそれを見た瞬間再び本能的に恐怖を感じる。そこに居たのは間違いなく先程の『黒いの』でしたから...


「な、なんつーデカさだ...クレアちゃん、とりあえずトイレに隠れてろ!『黒いの』は俺がなんとかする!」


直樹さんはそう言うと私を再びトイレの中に戻す。私は直樹さんが『黒いの』を打ち倒してくれる事を願いながらじっと息を潜めました。少しするとシューと言う音がした直後に、直樹さんの絶叫が響き渡る。


「...ぎゃあああああああああああああああ!!!」


「な、直樹さん!?どうしたんですか!?直樹さーん!!」






結局私と直樹さんは『黒いの』を倒すのに二時間ほどかかってしまいました...私は『黒いの』の名前を『ゴキブリ』と教えて貰いましたが、なんだか名前を聞く度に悪寒が走るのは何故なのでしょうか...





初めてお留守番を完遂できた私は何処か誇らしげな気分になりました。

明日からも上手くお留守番できるかな...










────またある日の事。


俺は店長に呼び出され、バイト帰りに一緒に帰ることにした。すっかり夜も老け、辺りはしんと静まり返っていた。


「(クレアちゃん…今日の留守番は大丈夫だろうか…)」


俺が物思いに耽っていると、店長が何やら楽しそうな顔をして俺の頬をつんつんと指でつついてきた。この顔は何やら思いついた顔だ…嫌な予感が頭を過ぎったが、それを隠す様に店長の方を向く。


「どうしたんすか?店長。」


「なあ住吉、今から一緒にパチンコ行かねぇか?」


「い、今からっすか…」


クレアを待たせているのであまり長居は出来ないのだが…俺は少し考えてから断ろうとすると…


「いや〜、実は今日は…」


「行・く・よ・な・?」


おぞましい笑顔を向けて、ぎゅっと俺の二の腕を掴んできた。その力は半端なものじゃなく、確実に俺の腕を破壊しに来ていた。


「あだだだだだだっ!わかった!行くから離せ!」


「よろしい。じゃあ着いてきな!」


店長は嬉しそうに俺の手をぐいぐい引っ張ってくる。俺は半ば強引に連れ回され、成り行きで店長の賭博に付き合わされる事になってしまった。果たして俺は無事に生きて帰れるのだろうか…?


「おーし!到着だ〜!」


店長に連れてこられたのはパチンコ店。平日も休日も、真昼間から深夜まで毎日営業しているあれだ。中は常にざわざわとした大音響に包まれ、冷暖房は強すぎるんじゃ無いかってくらい完備されている。こんな所に居たらどうにかなっちまいそうだ。


「住吉、アタシがギャンブルの基本って奴をお前に教えてやるよ。」


「え、俺は別にそんな…」


「いいから教えてやる…いいな?」


────ぎゅぅ〜…


「ぎゃああああ!!」


ギリギリと俺の腕を摘む店長。俺が痛みに悶えていると、聞いていないのに説明を始めた。基本的な遊び方、球と商品の変換方法、そして台の選び方まで。パチンコに関してはかなり詳しい様である。


「まずは手本を見せてやるよ。アタシは…これだ!」


時間が時間なので席はガラガラであり、店長は自分の思うがままに席を選んだ。俺は台の選び方など知らないので、適当に隣の台で見学する事にした。


「しかし店長がギャンブラーだったとは…信じられな……(…いや、全然信じられるな…)」


「それじゃ始めるぞ!しっかり目に焼き付けとけ!」


と言って店長はハンドルを回す。カチャカチャと球が発射される音が聞こえ、球がコロコロと釘を伝って下へ降りていく。ピカピカと台が光り、演出に拘っているのが感じられる。





「うぬぬ…」


可愛らしく唸り声を上げる店長。始めてから10分ぐらいしたが、未だに当たりのひとつも来ていない様だ。俺は暇なので見様見真似で店長と同じように台を操作していたが、こちらはなかなか当たるようである。


「…おい住吉」


「なんすか?」


「場所変われ。」


「は、はあ…」


とりあえず、店長と場所を入れ替えてみる。こちらの台はハズレなのか、いくら引いても当たりの一つも来やしない。一方で店長は、いわゆる連チャン状態になっている様だ。


「おお!きたきたー!住吉!ここからが本番だぜ!」


「そ、そうなんすか…」


ジャコジャコとゴミみたいに球が台の中を進む。店長は子供のように大はしゃぎするが、俺には何が凄いんだかさっぱり理解できない。興奮する店長に同調するように、台の演出もヒートアップしてきた。


────ピロリッ…


と、突然店長の遊んでいた機械が完全に停止した。


「え?ちょ…おい!」


「…どしたんすか?」


先程までチカチカと瞬いていた演出とは打って変わって、シーンとした空気が辺りに流れる。真っ暗な画面に表示されているのは「ERROR」の五文字で、それ以外は何も凍りついた様に停止していた。やがて最後の球が下に落ちると共に、店長の怒りが爆発した。


「てめえこら!ふざけやがって!止まってんじゃねぇよ!アタシの当たり分を返しやがれ!」


────ダァン!!


────ガシャァ!


拳銃でも撃ったかの様な音。続いて硝子が破壊される音。店長は何度も何度も台を殴りつけ、復帰する様に怒鳴り散らした。俺は急いで店長を止めに入った。


「店長落ち着いて!ほら!俺の方当たってますから!そっちで取り戻しましょう!」


「うるせぇぇええええ!!運喰らいめが!死ね!」


ガッと店長に掴まれ、稼働中の台に叩き付けられる。プツーンと回線がショートし、折角当たっていた俺の台も停止してしまった。俺が目を回していると、店長は怒りのあまり店の台を次々殴りつけて行った。








「…出禁、なっちまいましたね…」


「…仕方ねぇよ…アタシが悪いんだ…」


とぼとぼと川沿いの道を歩く俺と店長。あの後警察が来てどうにか事は収まったのだが、俺と店長はガッツリ厳重注意を受け、店側からも出禁をくらってしまった。


「ごめんな住吉。アタシが短気なばっかりに、台に怒って…お前まで巻き込んじまって…」


「いやいや。店長は悪くないっすよ。自分の気持ちに素直で居られるって、羨ましいと思いますよ。俺なら当たらなくても、自分の運が無いってだけで済ましちまうと思いますし。」


最低限フォロー。というか、店長の行動力には驚かされる。聞いた話では、店長は高校時代、鬼神と恐れられる程のヤンキーであったそうだ。並々ならぬ面子を纏めた彼女は、その高い統率力を買われ、前店長から薦められて現店長になったそう。だからこそここまで暴力的であり、危なっかしい。その反面親しみやすく、頼りがいのある人なのだ。


店長はしばらく落ち込んでいたが、急に何かを決意したのか、すっと顔を上げて声を上げた。


「……仕方ねぇ。今日の事は水に流す!また新しい場所を探さなきゃな!その時は、手伝ってもらうぜ?」


「えぇ!?お、俺もっすか…」


「あったりまえだろ〜!お前はアタシの大切な小間使いだ!」


「せめて部下って言ってくださいよ…」



バシバシと店長が俺の背中をぶったたく。少し痛いが、それがまた彼女の思いの表現方法でもあるのだと悟り、軽く笑ってみせる。


満天の空に無数の星が煌めき、二人の帰り道を軽く照らしていた。朧月は軽く雲を振り払って、地上の光にも負けぬ、大きな輝きを放っていた。


閲覧ありがとうございます。

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