第二話 如何に君がアレなのか名状し難き豚
増えるよ増えるよワカメの如く〜♪
現東洋系集合自治区代表
『野蛮部心臓』男性89歳
この爺、こんなカオスな状況にも狼狽えず、
大変アレな事を思い付いていた。
サイコさんな首脳会議に乱入した二厨黒女に、
マッドサイエンティスト ノ ナマノ ケンキュウ セイカ ミテー!スグミタイ!デキンジャネ?
と、興味が湧いたので
ある提案をしてみる事にしたのだ。
見た目はいいのに…残念なロマンスグレーである…。
故にバカ代表の一人である。
良い箇所はマイナス査定により、更なるマイナス好感度な訳で…
あぁ虚しい〜!
「二厨さん、君はどのマッド分野が得意なのかな?機械に依存したつまらない兵器ではないといいが、もし手持ちの研究案があるなら緊さんで試してみてくれないかい?」
そんな分野あってたまるか!
あっても燃やせ!
あとつまらないもクソもないわ!?
お前らが原材料からなにから使い果たしたんだろが!!
そのせいで武器と言えば
石!ひのきの棒!
リアル●ラ●エか!?
いやド●●エに失礼過ぎるわ!?
自害しろ!!
さりげに緊を生け贄するな!?
「案ずるな我輩に任せろ!
従来の機械兵器や
核ミサイル、細菌兵器に頼りきっりなど
愚の骨頂!!
ナンセンスだ!
我輩のモットーは愉しく素材を生かし逝かす!
胸がときめき待ったなしのマッドな指針!!
つまり!
残った人類と残った動植物を有効活用した生物兵器!!!
任せるがイイ!!俗物ども!!!」
「「「おお〜〜〜!」」」
渾身のドヤ顔…。
腹立つ。
拍手するなバカどもェ…
「と言うわけで、
公開実験だ!昨日開発したガン細胞を無害化し、増殖機能と再生機能に特化させた!再生!分裂!擬態!なんでも御座れ!この特殊細胞に掛かれば、
人体欠損など恐れるに足らず!
これを適当な検体に注入すると…そら見るがいい!」
「あふん〜〜〜☆」
ブスっと注射した。
容赦なき一撃。
思わず喘いだカスは置いといて!?
そしてすぐに変化は起きた。
緊を核として、内側から膨張し始めたのだ。
「あ、私が昨日観たアニメ映画みたいね」
と、暢気な多種欧州連合大隊総帥
『アビスラグナ・ヘルエンド』女性69歳
何気に映画好き。
ただし、後味が良くないのが好物という…。
お前もかブルータス…。
「ふっよくぞ気づいたな!?アビスラグナちゃん!!
我輩もアレがヒントになっているのだ!
これは、愚かな合成廃棄肉が更に醜悪な姿に変化する!汎用型融合兵装『ミートスライム』だ!!
あぁ安心したまえ!!
人体と同物質ゆえ拒絶反応はない!!
ウハハハ!ウハハハ!」
「解説有り難う、二厨さん。しかし、これドンドン膨張しているが…最終的にどうなるんだい?」
見上げれば、既に顔も埋没している状態だ。
緊…おまえ…●杯になるの?
泥の代わりに脂でも出すの?
二厨なんとかしろよ!?
あと色々突っ込み切れないから突っ込み放棄する。
「ふふふ〜!まぁみたまえ!
膨張が終わり半液状化が、硬化し始めただろう?
ここからが本番だ!!」
話している間に緊だった肉塊はうねうねと蠢動し、形を変え始めた。
更に時間が経過し…
「なっがいのぅ…」
遊牧民系連帯邦人首長
『ナガレマクリス=イホ・ウジン』男性108歳?
終末いらっしゃいの癖にやたら下半身ハッスルし、現在18人の子供がいる。
なら、破滅願望が消えるはずじゃね?
いやいやこの狂人爺は、
そんな甘くない!
性欲を越える虐殺本能がある為、プラマイ0どころかマイナスぶっちぎり…。
本当になんだこいつらは………。
話が逸れた。
この狂人爺には待機時間で、どれだけ殺戮できんのかな〜?
時間勿体無い〜というイライラを込めた一言だった。
「なぁ…黒女ちゃん…わし…あと一分が限界」
「これはすまない!もう終わりだよ?ほら!
みてみたまえ!!ナガレマクリス君!!」
指射した方には緊だった肉塊に亀裂が走る!!
「では総仕上げだ!!
【緩怠の闇より再誕す異形の繭よっっ苗床の母に悲哀の聲を!肉叢の嬰児に絶望を!真生せよ!!侵食の外なる神ぃぃぃぃ!!!】」
二厨黒女の咆哮が会議場を覆う!!
「え?黒魔術なの?本物?凄い!!」
「マジかよ!?わし年甲斐もなく、ドキドキなんじゃがっっ」
お目々爛々のナガレマクリスとアビスラグナ。
(…多分ノリで言ってるンだと思うが…二厨さん…例の…だし?)
正解だ野蛮部。
あるわけないだろ…そんなダークファンタジーな展開…。
いくら終末まっしぐらな地球でも、原因のお前らが何信じていやがる!?
《ちょっと二厨ちん〜そんな厨二呪文で起こすのやめて〜?》
割れた肉塊の中から、緊の声がした。
「ん?」
「あら?」
「おや?」
三人はその異常さに、思わず疑問の一言が漏れた。
(((ミテハ ナラヌ モノガ アノナカニ イル!!)))
しかし、残念ながら
彼等はその肉塊の正面に立っていたのだ…。
逃げる事は出来ない。
直視するしかないのだ…!!
「失敬だな!!貴様は!これは荘厳なる祝詞だ!
便利な体にしてやったんだから、ささっとそこから出たまえ!!
いつまで我輩と野蛮部君とナガレマクリス君にアビスラグナちゃんを待たす気だ!!」
いやいい出てくんな!という叫びは音になる事はなく、無情にも奴は出てきた…。
《はいはい〜お待たせしたアルな〜新生・緊ちゃんアルよ〜》
返事は……多数できた…。
つまり…だ。
《緊ちゃんがひとり〜》
緊が肉塊から出てきた。
《緊ちゃんがふたり〜》
緊が肉塊から出てきた。
《緊ちゃんがさんにん〜》
緊が…(以下略)
会議場を埋め尽くす緊豚肉…。
見渡す限りの緊!緊!緊!緊!
「どうだ!!これぞ地上に這う破滅の蟲!破壊活動を行うには人手がいる!しかし君らは自分の手で終末を呼びたい!ならばどうするか?簡単だ!君らが増えれば良いのだ!!しかも単体を殺しても融合したミートスライムの増殖機能が働き、またその単体から派生するのだ!素晴らしいだろう!?」
これ迄に無いくらいのドヤ顔の二厨黒女。
《さっすが二厨ちん〜よっ!稀代のマッドサイエンティスト〜!》
実験体にされたにも関わらず、明るい緊豚肉。
余りに異様かつ最悪な絵面だ…。
《じゃっちょっと軽く体馴らしてくるアルね〜ついでに町ひとつ殲滅してくるアルよ〜行ってきます〜》
「うむ!行ってらっしゃい!」
然して無数の緊は会議場から退出していった。
「ふむ!久し振りに良い出来であったな!ウハハハ!」
満足とばかりに二厨は、
会議場から地下に去った。
いやなんでだよ!?
地下にあんのか!?
家が!?
おかしい!!
後に残された哀れにも全て見てしまった三人は…そのまま…ユックリと…白目をむき…倒れたのだった…。
合掌!!
二厨ちゃんは自重しない!