#3ふくよかな売り子
私が領内の市場を巡回していたところ、ある店員が言った。
「おそれながら嘘公よ。公は体重を気にしていませんか?」
私は言った。
「気にしている」
店員は嬉しそうに言った。
「恐れ入りますが、身長、体重はいかほどでいらっしゃるか。」
私は言った。
「身長が5尺7寸、体重は20貫である。」
店員はさらに言った。
「それでは太すぎるでしょう。そんな時にはこの飲み物を1日1回飲めば痩せることができますよ。」
そういって店員はこの飲み物を私に飲ませようとした。聞けば価格は一本で五千金らしい。五回分とはいえ、一回で千金である。
私は爺に問うた。
「この者の主張は真偽はどうだろうか。」
爺は言った。
「この者話の判断はついておりますが、それを明らかにするためにいくつか聞くことにします。」
このような言い方をいうということは、何かあると思ったが、私は言った。
「よろしい、かのものに質問せよ。
」
爺は店員に言った。
「毎日これをのんでいるのか?」
店員は答えた。
「のんでいます。」
「どれくらいの期間服用しているのか。」
「かれこれ一年半になります。」
爺は店員に言った。
「嘘公に身長と体重を聞かれたが、貴女の身長と体重を聞きたい。」
「5尺、16貫」
「それはちょっと少なすぎじゃないかな」
「5尺1寸と16貫2匁」
「服用する前は?」
「17貫です。」
爺はそれを聞くとうなづいた。
「嘘公よ。これで明らかです。」
「この者は一年半で8匁を痩せることができたと言っていますが、それ以上の効果はありません。8匁は約小さい米袋の半分もないです。これを一年半で痩せたとしても大した効果ははありません。それならば食事をたべずにと運動をした方が痩せる。」
「それもそうだ。」
店員は顔を赤くし爺を殴ろうとしたが取り押さえられた。
正統派コメディ