再会だよ
リアに着いていき、屋敷の中に入ると古い洋館という印象が良く合っていた。
汚くはなく全体的に古い感じを受けるがよく見ると貴族の屋敷にありそうな絵画やツボが無く子供が書いたような絵や家族の絵が飾ってありどこかホッとする。
「すみません。
お父様は来客の相手をしているようで…
人なんてめったに来ないんですが珍しいことです。」
不思議そうにリアが首を傾げておれに説明していたところで部屋の扉が開かれて人が出てくる。
容姿はあれだ。古き良き魔女のコスプレそのもの。
黒いトンガリ帽子とローブを羽織って紅い髪と猫のようなアーモンド型の眼で意思の強そうな雰囲気だ。
「あら、カーネリア久しぶり。
………え?」
魔女がリアに挨拶してふと、此方を見たと思ったら突然涙を溢し始めた。
「え!?
嘘…
嘘でしょ?
あぁぁ…
そんな、こんな、ことって、起こるんだ…」
ひっくひっくと嗚咽を漏らしながら魔女は涙に濡れた眼でおれを見ていた。
「え!?
おれなんかしたか!?
なんでいきなり泣かれてるの!?」
いきなり目の前で女性が泣きだしたら誰だって戸惑うよな?
薄情な奴ならさっさと逃げるが今回は動けない。
何故なら魔女が小さい子みたいに片手でおれの着てる服を掴んでいるから。こう庇護欲を誘われるから辞めてくんない?
見た目が15歳くらいなのに行動がやけに幼稚なのは大泣きして幼児退行でも起こしてんのか?
しまいには部屋にいたリアの親も出てきててんてこ舞いになった。
「ひっく…
ごめんなさい…
ありえないことが起きて嬉しすぎて混乱しちゃったわ…ひっく
…はぁ。
……よし!
もう大丈夫。
こんな奇跡って起こるのね…
それとも世界の意志でも動いたのかな?
説明するけど、カーネリア達は聞かない方がいいかもよ?
これはあまりにも衝撃的で知ったら私たちの敵に狙われるかもしれないし」
魔女はここで一度話を切ってリア達を見据えたがリアだけは動かないで父親だけが出て行った。
「そう。貴女は残るのね?
言っとくけど、後悔しないでよ?
これは歴史を覆すものだから。」
そう前置きをして魔女は語りだした。
…それは歪められた歴史。
英雄は自分たちを《ファミリア》と呼んだ。
彼らは各々が強い感情を有し心を燃料とする武器を持っていた。
それは自分の名声のためであったり大切な誰かを助けるためであったり見識を広めるためだったりであった。
彼らは戦った。
敵はあやふやな存在であり、いつか戻ってくることがわかっていたがそれでも笑って暮らせるために命を懸けてソレを退けた。
一時の平和が訪れて、数十年。
人々は忘れてしまった。
元々、表ざたになることの少ない戦いだったから知る者が少ないのも悪かったのだろう。
都合の悪いことを忘れた国や集団の上の者達はあろうことか英雄たる彼らに罪を着せ貶め殺した。
八人まで殺したのち、欲に溺れた者達は世界に言った。
「悪の根源は消えた。世界の再生だ。」と
「これが歴史の真実。
今の歴史が書かれてるものは全て簒奪者が書き換えた歴史で貴方は死んだ英雄のうちたった一人異世界へ逃がされた魂の持ち主よ。
死んだ英雄は『剣』、『盾』、『癒し』、『知性』、『天真』、『忠誠』、『夢』、『律』の八人。
多分、生まれ変わってるはずだから記憶なんてないだろうけど貴方は『剣』。
剣は勇敢にして不退転のシンボル。
英雄だった頃の貴方は剣を背に、拳で敵を屠ったわ。
下がらず臆せず先頭に立って戦ったの。」
「待て!
なんでそんなに詳しいんだよ!?
まるで見たみたいな話し方をしてお前なんなんだっ!?!?」
おれはたまらず、口を挟む。
魔女は容姿と相まってとても不気味なものに見えた…
「それは簡単よ。
ワタシも生まれ変わりだから。
死んだワタシ達は何度も生まれ直していったわ。
でも、一人が完全に欠けてしまったせいか全員があつまることはなかった…。
さっき、ワタシはこの魔眼を使って貴方を知ったの。
魔眼の能力は魂を色で捉える能力でそして、生まれ変わりだと理解したの。」
正直、頭がパンクしそうだ…。
あれ?
なんか景色が回る…?
ここでおれは意識を無くしたようだった。