やぁ、異世界だよ
「はっ!?」
目が覚めるとおれは森にいたが、ここでとんでもない誤算が生じていた。
おれは変態だった。
今おれを覆うのは葉っぱ一枚とて無い。
つまり、全裸だったのだ。
「なんでだぁぁぁ~!?
あのアホ神ーー!!
服のこと触れないからてっきり体と同じようにくれるものとばかり思ってたのに…!」
深く深く落ち込んだおれは、とりあえず局部を隠せる葉っぱを探して森を流離うことになった。
やがて、なんとか一枚の葉っぱと蔓で大事な息子を隠せたおれは水場を探す。
水場なら近場の人とかいるかもしれないと思っていたが、見つけた水場で水を飲もうとして偶然映り込んだ自分の姿を見て愕然とした。
元々おれは20代後半だったのに、今水面からこっちを見ているのはどう頑張っても幼さを残した大学生くらいだった。
髪も眼も色が変わり。髪は透明感のある白髪へ眼は薄い青紫色に変化していた。
これだけ変わると別人にしか見えない。
いや、別人なのかもしれないな…。
顔つきも日本人のものとは違って見えるし。
途中で拾った傷んだリンゴみたいなものと水で腹を満たしたおれは現状を整理することにした。
体が若返ったせいか軽く感じるな。
まず、知識っと…
頭にインターフェイス埋め込まれたみたいだな…。
思い浮かべた単語に関する知識がズラズラと並ぶ。
例えば、蜘蛛と思い浮かべるとネタにしかならないスパイダーマンから近年見つかった新種の蜘蛛まであらゆる情報が閲覧できたしこれならなんかあっても対応できるだろ…多分。
…家はどこだろう?
歩き回って最初いたとこなんて全くわからないぞ!?
慌てて立ったら何もない空中から鍵が出てきた。
古いアンティーク調の大きなものだ。
もしかして、これで家に行ける?
「よし…!
開けゴマ!!!」
シーンという無音が耳に痛かった。
なんで開かない?
鍵だろ??
…もしかして扉が無いせいか??
いやいやいや、だったらせめて人の住んでるとこに送るよね?
だが、あの笑いの神だ…。
面白そうとかって理由で送りそうだ…
とりあえず、思いつく限りの呪文やポーズを取って得たものはおれの黒歴史だけだった。
もういやぁ…
精神的苦痛で動けなくなったおれは鍵をどこかに仕舞っておこうと手を近づけた。
不思議なことにおれの手は鍵に触れることなく鍵があった地面に触れた。
「あれ?
鍵が消えた?
あれ?
どこ行った??」
辺りを見渡しても何処にもない。
焦って手を見ると手のひらに鍵の刺青があった。
もしかして、これ…?
ふと、思い立って手のひらを見つめながら鍵よ出てこいと念じると刺青からウニョ~ンと鍵が浮き出てきた。
なんかキモいなこれ…。
もらった力の考察を終わらせておれは思った。
人がいる方向って何処?と。
何時までも水場にいてもこの辺りに住んでる人がいないならおれは遅かれ早かれ森で野垂れ死ぬことになる。
しかし、進むべき道が全く分からないのも事実だ。
ほんとどないしよ…。
そんなことを思っているときにおれの耳は声を拾った。
最初は分からなかったが、これは誰かが誰かを呼んでいる声だ。
人がいると確信できたおれは声を頼りに進むことにした。